本作では、記憶をなくした女ミドリと警備員の男が惹かれ合っていく様子が描かれる。ミドリを小松、警備員の男を松田が演じ、大竹しのぶ、片岡千之助、石橋静河、田中泯、内田也哉子、森山開次、辰巳満次郎、田中椿、三島天瑠も参加した。
物語の舞台に選ばれた佐渡島は、富名の長編第1作「Blue Wind Blows」のロケ地でもある。彼は「1作目の撮影を終えたときに、佐渡金山という場所に惹かれるものがあって、それは言葉にすることができない“何か”でありました。それが何なのか自分でも不思議に感じ、後日再び佐渡を訪れました。そこで目にしたものが“無宿人の墓”というものでした」と述べたあと、“無宿人の墓”の歴史に触れ、自分なりのストーリーで映画にしたいと考えたと明かす。富名と二人三脚で映画製作をしている畠中は「監督は北海道出身で私は鹿児島出身。佐渡島はちょうど真ん中に位置します。もともとは先祖の墓が石川県にあったので最初はそこでロケをしようと思っていましたが、ふと思い立って佐渡島に行ってみたら、2人で気に入ってしまったんです」と続けた。
続いて、富名は「どこか現実的ではないこの物語に、どう説得力を持たせるかが重要でした」と回想し、「いるだけで説得力があり、また第一線で活躍されている方に演じてもらうことで、この小さな映画がたくさんの方に届いてくれることを願いました」と主演の2人にオファーをした経緯を伝える。俳優たちには特別な演出指示をしなかったそうで「心理劇があるわけでもなければ、物語が劇的に展開していくような作品でもありません。私の中には、そういったものに依存しない作品を作りたいという思いが根底にあるため、おのずと佇まいや身体表現が大事になっていきました」と撮影時を懐かしんだ。
本作の特色の1つである“色”に話が及ぶと、富名は“ミドリ”を例に挙げて「生命を感じる色でもあり、また死を感じさせる色でもあると考えています」とコメント。さらに「『Blue Wind Blows』やその前の短編『終点、お化け煙突まえ。』のキャラクターも名前を色にしています」と色へのこだわりを語った。
「わたくしどもは。」は2024年に全国でロードショー。それに先駆けて、11月に富名が手がけた作品の特集上映が行われる。詳細は追って発表される予定だ。
映画「わたくしどもは。」特報
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