映画監督・
大田原愚豚舎の新作「
天願は「これからも自分を狼や虎だと誤解せず、ひたすら豚の如く泥の中を這い回れ。運だけはいい男なので、そろそろ本物のトリュフを見つけるかもしれない」とエールを送り、リム・カーワイは「日本では塚本晋也、北野武のあと、監督として役者としても唯一無二の存在感を放つ人はおそらく渡辺紘文しか居ないと思う」と述べている。全22名のコメント詳細は下部に記した。
※塚本晋也の塚は旧字体が正式表記
相田冬二(映画評論家)コメント
大田原愚豚舎=渡辺紘文・雄司兄弟の作品は「自由とは何か」を、シャツの背中に氷のひとかけらを滑りこませる手つきで教えてくれる。
自由とは、この世の外に飛び出して徘徊することではない。
おのれのテリトリーを拡張したと錯覚して悦に入ることではないのだ。
世界で一つの場所に留まり、そこを無限の空間として塗り替える「新しいゲームの規則」を創造する機知にこそ、ほんとうの自由はある。
コーエンより優雅に。ダヴィアーニより深遠に。ウォシャウスキーより勇敢に。ワタナベブラザーズは、世界兄弟監督の頂点に悠々と立つ。
児童映画の極北であり少女映画の核弾頭である「
音楽映画の最果てであり芸術映画の底なし落とし穴である「
めくるめく表裏一体の合わせ鏡「テクノブラザーズ」「
もはやこの惑星は彼らのものである。
足立紳(映画監督・脚本家)コメント
僕が渡辺紘文監督の姿を初めて目撃したのは、2014年新宿武蔵野館での「
主演の渋川清彦さんと登場した渡辺監督は、ギロッと客席を睨みつけました(ように僕には見えました)。あの時の目が今も忘れられません。
「お前らなんかに俺の映画が分るのか」とその目は言っているような気がして、僕は椅子に深く腰をかけて身を隠してしまいました。
それから2年後、2016年の東京国際映画祭で初めてお話した渡辺監督の腰がとんでもなく低かったので、僕はいきなり先輩面ふかせてしまいました。
でも、同じ部門に出品していた彼らの「
「プールサイドマン」は見事にその部門の作品賞に輝きました。やっぱりな・・と思いました。
それから瞬く間に、渡辺紘文監督とプロデューサーで音楽を担当している渡辺雄司さんの大田原愚豚舎は世界へ行ってしまいました。
僕もいつか追いつきたいともがいている日々です。
大田原愚豚舎旗揚げ10周年、おめでとうございます。まだ観ることのできていない「テクノブラザーズ」を観られるのが何より楽しみです。
池田暁(映画監督)コメント
「大田原愚豚舎」という名前を初めて聞いた時、きっと怖い人たちじゃないかと尻込みした。
話しかけられたらどうしようって...
でも映画を観て安心した。観れば観るほど、出演する監督と愚豚舎と大田原の風景にいつも安心する。そしてこれほど映画づくりを楽しんでいる人たちいないと思う。羨ましいくらいに。
石坂健治(日本映画大学教授 / 東京国際映画祭シニア・プログラマー)コメント
油断してた! いつの間にか大田原愚豚舎がマルチな変貌を遂げているじゃないか。
圧倒的な身体面積を誇り全国のラーメン食いすぎの兄・紘文は俳優としてリム・カーワイ「あなたの微笑み」に主演。
放浪派のリムが定住派の渡辺を放浪させて絶妙の化学反応を起こしていた。
兄よりは面積少なめの弟・雄司も「点滅する女」など演劇の劇伴作曲でいい仕事をしている。
イタリアで絶賛の「テクノブラザーズ」で凸凹兄弟はついにレニングラード・カウボーイズを超えたか?
今泉力哉(映画監督)コメント
渡辺紘文監督の映画が好きです。
それと同じくらい渡辺紘文さんが好きです。
大田原愚豚舎旗揚げ10周年おめでとうございます。
これからも映画をつくり続けてください。
私もなんとかやっていきます。
宇賀那健一(映画監督)コメント
大田原愚豚舎、10周年おめでとうございます!!
世界中から注目される大田原愚豚舎の作品は、無骨で優しくて、寡黙で雄弁で、毒で良薬で、路上のゴミみたいだけど額縁にも飾りたくなるんです。
…なんだよそれ、最高じゃないか。
映画を愛し、映画を小馬鹿にし続ける、彼らのカッコ良い作品を僕はこれからも追いかけ続けきたし、これからも追いかけ続けます。
ここからの10年も楽しみにしています。
菊地健雄(映画監督)コメント
大田原愚豚舎の旗揚げ10周年おめでとうございます!
自分たちが生活する周辺をミニマルな体制で描き出す地に足のついた感じと、日常には決して踏み止まることのない映画的な飛躍によって、完成したどの作品からもスケールの大きさを感じさせる作風に毎回とても刺激を受けています。
表現をする行為が自らのパンツを下ろす行為に似ているのだとしたら、これほど見事にパンツを下ろしている人たちを私は他に知りません。
だからこそ、大田原の片隅から全世界を視野に入れてコンスタントに作り続けるそのスタイルは、きっとこれからも世界を席巻していくのだろうと確信しております。
同業者としては嫉妬と羨望を同時に覚えますが、同じ栃木県出身者として心から誇りに思います。
これからも大田原愚豚舎の作品を楽しみに待ちながら、一人のファンとして、いつも応援しています! いつか一緒に何かやりましょう!
工藤将亮(映画監督)コメント
大田原愚豚舎10周年、そして「テクノブラザーズ」公開おめでとうございます。
自分のコメントなんて厚かましいとも思いましたが、かれこれ6年以上大田原愚豚舎を追いかけているので、ご褒美だと思って僭越ながらコメントあげさせていただきます。
大田原愚豚舎の作品はいつも挑戦的で実験的。かつ内向的なテーマを外向的に発信する風変わりな作風。
監督自身が自分のメタファーを演じる滑稽さに加えて、アイロニカルな物語と観客を突き放すかのようアート的な音楽。
僕らに見て欲しいんだか、ほっといて欲しいんだかよく分かんないんだけど、すごく可愛い映画たちが僕たちに襲いかかってくる。
みんなに見て欲しいんだけど、映画館でしか見れない。「もう! いい加減配信してよ!」って言いたいけど、映画館でしか見れないニッチな良さもある…。
そんな渡辺兄弟もついに10周年。そして次のステップへと駆け上がる新作「テクノブラザーズ」は間違いなく新しい領域へと連れて行ってくれるはず…と思って観たら、とんでもなく渡辺兄弟丸出しの作品で驚きました。
「八月の軽い豚」(2007)以来となるカラー作品、テクノにふさわしい魅力的な楽曲。相変わらず僕を嫉妬させる物語。どれを切っても渡辺印が押されている作品で、大田原愚豚舎の入門編にもおすすめです。
どこまで行っても僕らを惹きつけては、突き返すツンデレ具合に「あれ、もしかして大田原愚豚舎に恋してる!?」と感じる今日この頃です。
鈴木太一(映画監督)コメント
映画は個性だ。
個性に頼る自分が嫌になる時もあるけど、でも、名前も経験も技術もない私には個性しかないのだ。
俺は、俺にしか撮れない映画を撮る!
なーんて、今だにわりと本気で思ってる。
だから自分にとって、ゴリゴリの個性で突っ走る大田原愚豚舎の映画は生きる希望です。わりと、マジで。
自分には大田原愚豚舎、渡辺紘文のような才能はないけど、俺にはまだ個性があるぜ!って思えるのです。
ありがとう、大田原愚豚舎。
旗揚げ10周年おめでとうございます。
せめて心だけでも、あなたたちに負けない映画をつくりたいと思っています。
鈴木洋平(映画監督)コメント
トライバルフィルムメーカー東国代表、北関東南東北発、大田原愚豚舎。
彼らのトーテムは豚だ。
天孫降臨は「磐船」だったが、彼らは八月に「泥船」で降臨した。
愚豚神話「降臨編」は、この10年で完結し次の章へ移行する。
中央の歴史に対する愚豚文明からのアンサーとは、ローカルに留まることが決して妥協ではないことだった。
中央の歴史を素材として、その構造を剥ぎ取ってから活用することで彼らは軽やかに移動し続けた。
この方法論が正統化されるのは、彼らがトライブだからこそだ。
その意義を再確認するために、この10年の節目から次章の神話へと想いを馳せたい。
塩出太志(映画監督)コメント
渡辺ブラザーズと出会ったのは10年前の東京国際映画祭でした。そうです。第26回東京国際映画祭の同期なのです。
映画祭で出会った渡辺ブラザーズは黒スーツだったので、渡辺紘文監督のいかつい風貌も手伝い、強者きた。いきなりしばかれそうと思ったものです。ですが喋ってみると渡辺ブラザーズはとても優しくて好きになりました。そういうやり口かもしれませんね。
初めて出会った作品「そして泥船はゆく」は大田原愚豚舎第一回作品でいきなり東京国際映画祭てすごすぎやんけ。と思いましたがコンスタントに映画を世に出し続けている姿にとても感銘を受けました。そういうやり口かもしれません。
いつも渡辺ブラザーズの創作活動をネットの隅からチラ見して心の中の小さい声で応援してます。
これからも共に心折れずに、いや、たとえ心が折れたとしてもがんばりましょう。
大田原愚豚舎10周年おめでとうございMAX。
武正晴(映画監督)コメント
大田原の美しい夕陽の中で演奏するテクノブラザーズの正体はみんな大好き渡辺兄弟だ。
大田原愚豚舎、旗揚げからの10年。
僕の人生において希少な楽しい時間を提供してくれたことに感謝したい。
いつの日か大田原という地で渡辺兄弟とその仲間達と共に撮影してみたいというのが僕のささやかな希望だ。
天願大介(脚本家・映画監督)コメント
「大田原愚豚舎」の名は私が付けた。
東京の映画界で挫折し、地元に戻った渡辺君が「悔しいです」と泣くので腹が立ち、「東京でしか映画が撮れないと誰が決めた? 頼まれないなら勝手に撮りゃいいじゃないか!」
その勢いで「大田原愚豚舎」という素晴らしい名前を進呈したのである。
愚鈍者ではない。愚豚舎だ。世間に愚かと笑われようが、豚の如く泥の中を突き進めという意味で、けっして渡辺君がデブだからではない(わが流派では豚は蛆虫と並ぶ神聖な存在だ)。
一年後、渡辺君は地の果て大田原に高々と豚色の旗を揚げた。そして止まることなく十年間、泥の中を突き進んだのだった。
これからも自分を狼や虎だと誤解せず、ひたすら豚の如く泥の中を這い回れ。運だけはいい男なので、そろそろ本物のトリュフを見つけるかもしれない。
それにしても、少し痩せたほうがいいと思う。いくら何でも太りすぎだ。
夏都愛未(映画監督)コメント
旗揚げ10周年おめでとうございます!
素敵な兄弟が互いに支え合いながら映画を作る姿に、いつも刺激と勇気をもらい、ずっと尊敬しています。
この時代に大田原愚豚舎が存在してくれること、そして自分も同じ時代を生きれていることが嬉しい。
これからも唯一無二の存在を貫き通して、かっこいい映画を作ってください!
いつか大田原にも遊びに行かせてください!
マーク・シリング(ジャパンタイムズ映画評論家)コメント
多くの映画作家が「良い」「素晴らしい」と評価される中、強い個性を持ち、一目でそれとわかるスタイルを持つユニークな映画監督はそう多くはない。
その一人が渡辺紘文である。
彼の作品は、ミニマルなスタイルと自虐的なユーモアのセンス、そして完全に彼独自の世界観が融合している。
最新作「テクノブラザーズ」では、いつものモノクロではなくカラーを使い、
登場人物たちはこれまでの作品の撮影地である地元・大田原を離れ、オープンロードの道を歩むが、
その結果はやはり渡辺映画であり、渡辺映画は日本や世界のどこにもないものである。
松林うらら (俳優 / 映画「蒲田前奏曲」プロデューサー)コメント
目の前に映し出される映像は一体、何が行われているのか。一度、目を擦って前のめりに、見つめ直してみる。
…この面白さ、どこか、懐かしい…
クラシック映画を彷彿とさせ、時に子供達の目線から大人達、人間達への皮肉を描き、罵る大男の姿。
時には祖母である平山ミサオ、渡辺紘文と豚や牛との日々。飯を共に食う、人間と動物、自然との共存。
その眼差しは優しく、愛に溢れ、斬新なのである。
映画音楽は弟の渡辺雄司が織りなす旋律と繊細なメロディー。心を癒し、震わせる。
彼ら独自の映画創作活動には心から敬意をしめす他ないだろう。
大田原愚豚舎旗揚げ 十周年記念 全作品特集上映、おめでとうございます。
今後も、大田原愚豚舎、渡辺紘文、渡辺雄司、世界の渡辺兄弟と共に最高の映画創りをご一緒できる事、
いちファンとしても楽しみにしています。
矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)コメント
最初の驚きは今村昌平の血を継ぐ土着的な迫力だった。
次にモノクロの美学に痺れ、ミニマルな奔放さに打たれた。
そして地方都市の絶望的な孤独に打ちひしがれ、豚の
つぶやきとラジオの音声だけで社会を切り裂くことが出来ることも知った。
その世界に優しさがあることも分かってきた。
渡辺紘文監督は誰も作らない方法で、誰も作らない映画を作る。
大田原愚豚舎の10年は、唯一無二の10年だ。
そして大田原という映画の小宇宙は、さらなる拡張へと向かっていくだろう。
まだ始まりに過ぎない。
山内ケンジ(劇作家 映画監督)コメント
10年間、長編映画を撮り続けることは並大抵なことではない。
もちろん有名な映画監督の中にはそういう人はいる。
しかし、10年の間“毎年”撮っている監督がどれだけいるだろうか?
引く手あまたの人気監督はそうかもしれない。
しかし、全て同じエリア(大田原!)で、オリジナルで、自分の撮りたいものだけを毎年10年間撮っている映画監督は日本、いや世界でも、大田原愚豚舎渡辺紘文氏しかいないのである。
しかも、その作品のどれもが面白く、バラエティに富んでいるとなると、映画史130年の中でも彼しかいない。
とにかくだ、大田原愚豚舎を知らない人には、私などがいくら言ってもその驚異的な魅力を信じてもらえないだろうから、この貴重な機会に全作品をコンプリートしてみてほしい。観ればわかる!
山西竜矢(映画監督・舞台演出家・脚本家)コメント
初めて大田原愚豚舎さんの映画に触れた時、その面白さに驚き、感動しました。
僕のような若輩が言うのはおこがましすぎるのですが、そんな上質な作品を、自分たちの場所で、自分たちの形で作り続けるというのは、明らかに並大抵のことではありません。
それを成し遂げられているのは、お二人の圧倒的な才能とぶれない芯、そして映画への愛があってこそだと思います。
10周年、本当におめでとうございます。
行定勲(映画監督)コメント
可笑しくて、可愛くて、哀愁のある切なさがある。
独特な間合いで私たちを魅了し続けてくれた大田原愚豚舎!
10周年おめでとうございます!
これからも応援し続けます!
吉野竜平(映画監督)コメント
およそ10年前、新宿ゴールデン街の端っこにある小さな劇場へ「そして泥船はゆく」を観に行った。
もぎりをしていたのは渡辺監督のご両親だった。
そこから自分たちにしかできないスタイルを創り上げ、仲間や助けてくれる人たちも増えて、泥船は立派な船に仕上がったように見えるのに、この10周年特集上映は原点に立ち返って自分たちだけで自主配給するという。渡辺監督らしいなあ。
大田原愚豚舎旗揚げ10周年、おめでとうございます。
リム・カーワイ(映画監督)コメント
日本では塚本晋也、北野武のあと、監督として役者としても唯一無二の存在感を放つ人はおそらく渡辺紘文しか居ないと思う。
しかし音楽家の弟、渡辺雄司と一緒に、生まれ育ちの大田原でずっと作り続けた途轍もない強烈的な作品群は見た人がしかわからないような、強靭な生命力と喝采の喜びが宿っている。
この息苦しい時代を乗り越えるためには大田原愚豚舎の作品を見るのが一番の処方箋に違いない。
大田原愚豚舎の世界 10th Anniversary
2023年7月8日(土)~8月4日(金)東京都 K's cinema
<上映作品一覧>
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「シーカランスどこへ行く」
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相田 冬二(Bleu et Rose) @aidatoji
天才・渡辺紘文&雄司兄弟の作品群のために、短い文を書きました。
世紀の特集上映が明日からはじまります。ぜひ、新宿・ケイズシネマにいらしてください。
7.11は、わたしも紘文監督と登壇します。
観て!!!!!!!!! https://t.co/ZiGo6pJRva