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本作では、90年の生涯で3万点以上の作品を描いた浮世絵師・葛飾北斎の信念と人生が描かれる。北斎の青年期を柳楽、老年期を田中がそれぞれ演じた。
本日の会場となった江戸東京博物館は、北斎生誕の地・墨田区にある。そこで2人はイベント前に「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を含む北斎作品を鑑賞。柳楽は「これだけ名作が集結していて、しかもすべてが本物。圧倒されました。70歳を過ぎてからも『満足していない』という思いで絵と向き合い、90歳まで絵を描くことに集中して生きた姿がかっこいい。泯さんも10代の頃から踊りを続けられているので、1つのことに向き合っている方たちに勇気をもらえます」と興奮気味に語った。田中は「比較にはならないです。しがみついて踊りを続けているというか……そんなところですけど」と謙遜しつつ「驚異的ですよね。おそらく(北斎は)95歳になっても『もっといい絵が描ける』と言ったと思います。果てしないものに立ち向かっている、その情熱は想像を絶します」と言葉に力を込める。
ここでゲストとして書家 / 芸術家の紫舟が登場。世界に向けて日本の文化と思想を発信する活動を続け、2014年に仏ルーヴル美術館の地下会場で開催されたフランス国民美術協会展では「北斎は立体を平面に、紫舟は平面を立体にした」と評され、最高位である審査員賞金賞を受賞した。そんな紫舟は「HOKUSAI」を観て「創作意欲が湧いた」と話し、柳楽に対して「筆の所作が美しかった。プロになると呼吸と筆が合ってくるんです。柳楽さんの筆は呼吸をしているようで、手にも目が付いているようでした」と絶賛。田中には「好きなんです、泯さん」と笑顔を見せ「北斎が目に見えないものを描く、そのシーンの泯さんの狂気に満ちた笑顔……さすが熟練の表情だなと思います」と手放しでたたえた。
また紫舟は「HOKUSAI」をテーマに全長2mを超える和紙に「大波」を描き出すライブパフォーマンスを披露。踏み台を用いて上から下まで全面にダイナミックな波を描くだけでなく、和紙の後方に回って色付けをするといった動きも見せ、最後は映画のコピーにも使われている「生き抜け」というワードを大きくしたためて作品を完成させた。紫舟は「今私たちは困難の中にいますが、この映画から『もう1回立ち上がってみよう』という力を感じました。ですので太陽のような明るい赤色、降り注ぐ光のような黄色を使いながら、多くの人に届くよう『生き抜け』というメッセージを描きました」と説明する。
柳楽は作品を隅々まで見回しながら「『生き抜け』という言葉はこの時代にすごく響きますし、生命力を感じます」と感激した様子。田中は「生き抜く強さは人によって差があると思いません。みんな同じようにその力を持っていて、それがうまく発揮できるかできないか。そこを考え続けなきゃいけないんじゃないかと思います。この強さは間違いなく誰にでもあるはず。僕はそう思います」と強く語りかけた。
橋本一が監督した「HOKUSAI」は5月28日より全国でロードショー。
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めぐっと★めぐみ @meggie01241
柳楽優弥と田中泯が北斎通じて“生き抜く”力を考える、書家・紫舟のパフォーマンスも(写真15枚) https://t.co/mm8J1FDzEb