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佐木隆三の小説「身分帳」を原案とした本作は、人生の大半を獄中で暮らした元殺人犯・三上正夫と、彼を取り上げようとするテレビ制作者の姿を描くヒューマンドラマ。役所広司が主人公の三上に扮し、仲野は彼にすり寄る若手テレビディレクター・津乃田を演じた。
初めて本格的に西川組に参加した仲野。西川のドラマに端役で参加したことはあったというが、本作の話を受けた際のことを「オーディションとまではいかないけど、まず1回お会いしましょうとなって。信じられなかった。西川組の一員になれるかもしれないワクワクと、これまでの俳優人生を試される武者震いが同時に来ました」と振り返る。そんな仲野は、中学時代に西川の「ゆれる」に衝撃を受けて以来、西川の作品を観続けてきたと回想。「当時、染谷将太とよくその話をしていて。特に香川照之さんの芝居に度肝を抜かれちゃって“ごっこ”みたいのをやっていました。『ゆれる』のラストカットは邦画史上に残る名ラストカットと思っています」と興奮気味に語った。
西川は仲野を「いつか出てくる人」だと思っていたと明かす。また「俳優って見られる職業だけど、彼は観察者の目を持っている気がした。今回はテレビのディレクター役で、それを演じられるのは観察者の雰囲気を持つ人がいいと思っていました」とオファーの理由を説明。さらに仲野の魅力について「スタッフと俳優部のはざまにいる雰囲気。普通に“そこ”にいるんですよ。今日は照明部のスタッフが1人増えたのかな?と思ったら、太賀くんかみたいな(笑)。俳優って入ってきた瞬間に現場の空気が変わるんですけど、太賀くんはそれがないんです」と唯一無二の存在感をアピールした。
トークでは、津乃田の服装にまつわる話題も。仲野が「衣装合わせに行ったら、ビルのエレベーターで山下敦弘監督にたまたま会ったんです。挨拶して別れて、そのまま西川組のスタッフルームで衣装合わせを始めて。服を着て、帽子を被って、眼鏡を着けて……どんどん山下さんの風貌になっていくんです(笑)」と述懐すると、西川は「(津乃田は)山下さんのイメージだったんです。でもさすがに山下さんに出てもらうわけにはいかなくて(笑)。本人に伝えたら私服の写真をいくつか送ってくれました。山下さんも独特の魅力がありますよね。いつの間にか三上という男の懐にすっと入っていける感じを描きたかったんです」と裏話を披露する。
さらに主演の役所について話題を振られると、仲野は「どのシーンも心が揺れるような表情やお芝居の連続で。三上が歌を口ずさむシーンがあるんですけど、こちらの心が制御不能になるくらい揺さぶられました」と、ともに芝居をした貴重な時間に思いを馳せる。西川も「なんてことないシーンに表れるんですよね」と俳優・役所広司の魅力に改めて感じ入った。
「すばらしき世界」は2月11日より全国ロードショー。
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「すばらしき世界」仲野太賀、“ワクワクと武者震い”で臨んだ念願の西川組を回想 https://t.co/eJRaL60YRi