ウクライナ出身の映画監督
1964年生まれのロズニツァは、ソ連が崩壊した1991年にモスクワの全ロシア映画大学に入学。1996年から名門サンクトペテルブルク・ドキュメンタリー映画スタジオで映画監督としてキャリアをスタートさせる。長編劇映画も4本制作しており、カンヌ国際映画祭では2012年に「In the Fog(英題)」で国際映画批評家連盟賞、2018年に「Donbass(原題)」である視点部門の監督賞を受賞した。現在はドイツ・ベルリンに在住している。
「セルゲイ・ロズニツァ『群衆』ドキュメンタリー3選」と題された今回の特集では、ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンの国葬映像を使用したアーカイブ映画「
なおロシア文学者の沼野充義は「アーカイヴの記録映像をつないでよくこんなものを作ろうと思った、その究極の発想に驚かされます。誰でも思い付きそうなのに、誰もここまでやろうとしなかった」とロズニツァを絶賛している。
セルゲイ・ロズニツァ「群衆」ドキュメンタリー3選
2020年11月14日(土)~12月11日(金)東京都 シアター・イメージフォーラム
<上映作品>
「国葬」
「粛清裁判」
「アウステルリッツ」
沼野充義 コメント
ソ連・ロシア映画はエイゼンシュテインからタルコフスキー、ソクーロフと長い道を辿ってきましたが、その究極の行きつく先がロズニッツァかと思いました。これは本当にすごいものです。ソクーロフを観てきた人なら、この凄さは分るでしょう。しかしアーカイヴの記録映像をつないでよくこんなものを作ろうと思った、その究極の発想に驚かされます。誰でも思い付きそうなのに、誰もここまでやろうとしなかった。
田中純(東京大学教授)コメント
収容場を後にする観光客たちから受けた印象を、ロズニツァは「幸福そうな」、ないし、「悲しそうではない」と表現した。それは一種の解放感──「自由(FREI)」──ではあろう。だが、この映画のなかで彼らは、その「幸福な」表情すらも含め、終始映像のなかに「囚われて」いる。
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