磯部鉄平「ミは未来のミ」など監督作を犬童一心や荻上直子が称賛「まさに青春映画」

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大阪と東京で映画制作を続ける磯部鉄平の監督作「ミは未来のミ」「予定は未定」「オーバーナイトウォーク」に、映画監督の犬童一心ら著名人から感想コメントが届いた。

「ミは未来のミ」

「ミは未来のミ」

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河瀬直美らを輩出したビジュアルアーツ専門学校・大阪出身の磯部。これまでSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で2年連続受賞しているほか、大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門、Kisssh-Kissssssh映画祭など、さまざまな映画祭で入選・受賞の結果を残してきた。

「ミは未来のミ」は、焦りを感じながらもダラダラ過ごしている高校3年生・上村拓也を主人公とした作品。犬童は「『ミは未来のミ』はまさに青春映画。凡庸さの中に生まれる永遠の輝きをカメラに収めた」と本作を表現している。また荻上直子は「高校男子たちが、アホでアホでどうしようもなく、だけど見ていて愛おしく、私も男子として彼らの中に入って青春時代を過ごせたら、どんなに楽しかっただろう」と思いを馳せた。

「オーバーナイトウォーク」

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「予定は未定」

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「予定は未定」は記入済みの婚姻届で作られた紙飛行機を受け取った女性、「オーバーナイトウォーク」は故郷を捨てた27歳の売れない女優の物語。同じくビジュアルアーツ専門学校・大阪出身の監督・石原貴洋は「石原現場で大阪バイオレンスを学んだハズなのに、フタ開けたら流派が全然ちげーじゃねーか! オリジナルな作風を確立してんじゃねえぞ! このハナタレー!」と磯部に呼びかけた。全員分のコメントは以下に掲載している。

なお新型コロナウイルス感染拡大の影響による公開延期を経て、新たな公開日が決定した。「ミは未来のミ」は7月10日から16日まで東京・UPLINK吉祥寺ほか全国で順次公開。日替わり短編「真夜中モラトリアム」「そしてまた私たちはのぼってゆく」が併映される。「予定は未定」と「オーバーナイトウォーク」は7月17日から23日まで同館で同時上映。

※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記

「ミは未来のミ」コメント

犬童一心(映画監督)コメント

「青春」
どうしようもない狂おしさ、説明のつかない思い、そして、無駄な行動に支配される時間。
「ミは未来のミ」はまさに青春映画。
凡庸さの中に生まれる永遠の輝きをカメラに収めた。

荻上直子(映画監督)コメント

高校男子たちが、アホでアホでどうしようもなく、だけど見ていて愛おしく、私も男子として彼らの中に入って青春時代を過ごせたら、どんなに楽しかっただろう。

坂野ゆか(公益財団法人 川喜多記念映画文化財団チーフコーディネーター)コメント

特別優秀でもない、尖っているわけでもグレているわけでもない、どこにでもいそうな高校生男子たちの気の置けない仲間内での等身大の会話と絡み。
嬉々として、または仏頂面でほとんどどうでもよい話を語り合う彼らはひたすら観ていたくなるくらいに眩しい。
物語の核ともいえるエピソードが、まさかの監督の実体験と知り、驚いたり呆れたり(!)。
分身ともいえる彼らを見つめる監督の視点は、照れが混ざりながらもどこまでも優しい。
大人直前の彼らの素直さと葛藤を瑞々しく描いた本作、‘ごく普通’の高校時代を過ごした大人には、
またそうではなかった人々にもなぜか懐かしく感じられるに違いない。

塩田泰造(映像ディレクター / 劇団「大人の麦茶」主宰)コメント

ためいきまじりの高校三年、秋。
怠惰に過ごしているけど、でも純粋さを持っている。物理を専攻するショートカットのヒロインはささやく。「この宇宙ってさぁ、どれぐらい広いのか、知りたくない?」・・
自分はいつ、世界の成り立ちや、自分より遥かにおおきなことに思いを馳せるのをやめてしまったんだろう・・
主人公の親友、高木が秘かに大事にしていたエロDVDのタイトルが切ない。夢という説明は一切ないのに、まさに夢そのものなプラネタリウムのシーンに惹き込まれた。登場人物たちの、居心地のよくなさそうな、繊細で純粋な横顔が眩しい。
実体験をもとに構想したという『ミは未来のミ』。監督はなにを託したのだろう。観客ひとりひとり、受け取るものは違うのだろうが、自分には、人生の一瞬や過ぎ去った出来事を、自分や仲間の命よりも、もっと長く留めたいと願う、死に対するささやかな抵抗の詩のようにおもえた。
誰かのこころに触れようとする気持ち。それをなんとかシーンにおきかえようと努力する磯部鉄平監督の想いを感じた。

「予定は未定」「オーバーナイトウォーク」コメント

下村勇二(映画監督)コメント

女優「屋敷紘子」
今までの役は、精神的にも肉体的にも強い役が多かった印象があるが、本作では等身大の飾らない素のままの彼女がそこに存在する。
蹴ったり、殴ったりしない、普通の女性。
普通だからこそ悩み苦しみ葛藤する。
そんな不器用な女性だからこそ応援したくなる。時間は有限ではない。
走り出すなら今しかない。
少し背中を押された気分だ。

石原貴洋(映画監督)コメント

石原現場で大阪バイオレンスを学んだハズなのに、フタ開けたら流派が全然ちげーじゃねーか!
オリジナルな作風を確立してんじゃねえぞ!
このハナタレー!

明智惠子(「キネマ旬報」エグゼクティブディレクター)コメント

映画の中の走るシーンにどうしようもなく惹かれたのはどの映画だったか、いつが最初だったか。
疾走するヒロインが好きだ。
この映画でもヒロインの屋敷紘子が走る走る。
私は「こじらせ女子」という言葉にうまく反応できないし、「(その気持ち)わかるわかる系共感」とか、そういう設定への感度もひどく低い。
自分の中の何かと映画の中の「設定」を接続させてみるのが不得意なのだ。
けれども、この映画を見て、私は気づくとひたすらヒロインの走るシーンに心を躍らせていた。
最初に走る時、彼女は時折振り返りながら走る。
彼女のこれまで生きてきた時間と今の時間が「同じ空間」で並走する。
そしてもう一度、ラストシーン、再び彼女は走る走る。
長い手足が風を切り、駆け抜ける。
時折空を仰ぎ、目の前だけを見て。
身体性の高さを武器に美しく走るこのヒロインを見ながら、
この映画は「明日の映画」なんだと感じた。

森賢正(ラインプロデューサー)コメント

人生は予定は未定。
人は何かに向かって走り続けている。
しかし、人生は予定調和には上手くいかないものだ。
純子は都会の真ん中で、会社の我儘な上司や同僚の言葉に落ち込み人生を立ち止まり続けている。そんなある日、彼女のもとに飛んできた紙飛行機に運命と夢を感じて、紙飛行機の飛ばした場所を探して見たものは?
彼女自身が現実に真っ直ぐに向き合い愚直に走る事を意識した時、全ての柵(しがらみ)を解き放ち、純子は新しい自分自身へと走る! 走る!

椿原敦一郎(シネマシティ 番組担当)コメント

私何してんねやろ…俺何してんねやろ…
そんな自分にぶち当たったことがないひとなんて誰もいないはずです。
映画「予定は未定」はそんなもやもやした気持ちをわずか27分でリセットしてくれて背中まで押してくれます。
本人は謙遜してましたが体を張って最強のヒロイン映画にしてくれた屋敷紘子がとにかくまぶしい! いやマブイ!

STRONG 遠藤(美術装飾、特殊効果、操演)コメント

インデペンデンスが好きである。
なぜなら?そこには映画に恋い焦がれたスタッフ キャストの初々しきパッションと挑戦があるからだ。
この作品に描かれているものも例外ではない。
夢に向かい叶えることの難しさの中に生きる? 極々日常の極ナチュラルな赤裸々をユーモアとシニカルに力強く描いている。
条件や環境に負けないパッションと予定調和を感じさせない画作りにキャラクターたちの感情を見ることができる。
「予定は未定」「オーバーナイトウォーク」好きな映画です。

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(c)belly roll film

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椿原 敦一郎 @teamokuyama

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