「太陽を盗んだ男」「セーラー服と機関銃」など手がけた伊地智啓が84歳で死去

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映画プロデューサーとして知られる伊地智啓が、4月2日に84歳で死去。膵臓がんのため鹿児島県鹿児島市内の病院で息を引き取った。葬儀・告別式は近親者のみで執り行われた。

伊地智啓(写真提供:ガーデンズシネマ)

伊地智啓(写真提供:ガーデンズシネマ)

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「映画の荒野を走れ──プロデューサー始末半世紀」書影。中央正面が伊地智啓。

「映画の荒野を走れ──プロデューサー始末半世紀」書影。中央正面が伊地智啓。

1936年生まれ、兵庫県出身の伊地智は、1960年に日活へ入社後、助監督を経て1971年にプロデューサーへ転身。小沼勝の監督作「花芯の誘い」で初めて「企画」としてクレジットされてからは、数々の日活ロマンポルノ作品に関わった。1977年の退社後は、セントラル・アーツを経て、1978年にキティ・フィルム設立に参加。その後も岡田裕や佐々木史朗らとともにアルゴ・プロジェクトを創設し、製作から配給、興行まですべてを自主的に手がけるシステムの構築を模索した。1995年にはケイファクトリーを設立し、2002年まで社長を務めている。

2013年1月に特集上映「甦る相米慎二」のトークショーに登壇した伊地智啓(中央)。(写真提供:editions azert)

2013年1月に特集上映「甦る相米慎二」のトークショーに登壇した伊地智啓(中央)。(写真提供:editions azert)

30年以上にわたるプロデューサー生活の中で澤田幸弘の監督作「濡れた荒野を走れ」、曽根中生の「わたしのSEX白書 絶頂度」、村川透の「最も危険な遊戯」、長谷川和彦の「太陽を盗んだ男」、澤井信一郎の「めぞん一刻」、榎戸耕史の「・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・」、石井隆の「死んでもいい」、「あぶない刑事」シリーズといった話題作を量産し、100を超える作品を世に送り出す。中でも監督デビュー作の「翔んだカップル」からタッグを組んだ相米慎二との仕事で知られ、「セーラー服と機関銃」「ションベン・ライダー」「雪の断章ー情熱ー」「光る女」「お引越し」など計7本の作品を手がけた。

2015年1月に行われた「映画の荒野を走れ──プロデューサー始末半世紀」のための黒澤満(左)と伊地智啓(右)の対談の様子。(写真提供:editions azert)

2015年1月に行われた「映画の荒野を走れ──プロデューサー始末半世紀」のための黒澤満(左)と伊地智啓(右)の対談の様子。(写真提供:editions azert)

2000年代にも妻夫木聡と安藤政信が共演した「69 sixty nine」、市原隼人の主演作「天使の卵」をプロデュース。2005年の第28回日本アカデミー賞では協会特別賞を授与されている。2015年には自身の半生を振り返りつつ、プロデューサー業の極意を語った「映画の荒野を走れ──プロデューサー始末半世紀」を刊行。これにあわせて東京・シネマヴェーラ渋谷では特集上映「相米慎二を育てた男 プロデューサー伊地智啓の仕事」も開催されていた。

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