日本放送作家協会とNHKの共同主催による創作テレビドラマ大賞で、810編の応募作から大賞を射止めた鳴尾美希子の脚本をドラマ化した本作。多発する高齢ドライバーによる交通事故という社会問題を背景に、自分の運転に絶対の自信を持つ主人公が“老い”を受け入れ、認知症の妻との関係を見つめ直していくさまをユーモラスに描く。
運転歴50年超え、違反歴なしのゴールド免許を保有する主人公・柴田政継を藤、妻の冨美代を吉行が演じた。そのほか交通課の警察官・西井役で
藤は「私が演じた柴田は、まさしく老人である私であり、老人であるたくさんの人たちの姿なのです。老いを憎まず、老いを恐れず、時には老いに泣くこともあるでしょうが、いただいた命を毅然として燃やし続ける、そんな人を演じてみようと思いました」と役への思いを明かしている。
第43回創作テレビドラマ大賞「ゴールド!」
NHK総合 2020年3月27日(金)22:00~22:49
藤竜也 コメント
役柄に共感したところ
私が演じた柴田は、まさしく老人である私であり、老人であるたくさんの人たちの姿なのです。
老いを憎まず、老いを恐れず、時には老いに泣くこともあるでしょうが、いただいた命を毅然として燃やし続ける、そんな人を演じてみようと思いました。
坂東龍汰への印象
坂東さんとのやり取りは楽しかったですね。うまくかみ合ったのではないかと思います。
撮影の合間のおしゃべりも楽しかったですよ。人柄の演技も柔軟で、率直な感じがしました。
今回とは全く違うキャラクターを演じる坂東さんを見てみたいですね。
吉行和子と共演して
吉行さんとは、二十代のころから、映画やテレビで仕事をご一緒してきました。
夫婦役も4本の作品で演じていまして、私が尊敬し、信頼している先輩です。
でもプロポーズのシーンを演じるのは初めてでしてね。おまけに老いた夫婦が半世紀前の求愛のシーンを再現するのですからどうなるのかなと思いました。
このシーンは「ゴールド!」のハイライトシーンになると思いますので、残念ながら詳細は見てのお楽しみとさせてください。
吉行和子 コメント
作品の感想
「ゴールド!」というタイトルがすばらしいと思いました。
一人一人に大切なゴールドがある、守りたいものは何か、というのが心に響きました。
見どころ
問題になっている高齢者の運転、家族の認知症が大きなテーマです。
それに対してどうしたらよいか、一人一人が考えなくてはなりません。
救いは、そこに愛があるか、だと思いました。
印象に残っているシーン
やはり、私としてはラストで、かよい合う夫婦の愛です。
認知症の方でも、自分に対して、やさしく接してくれる人かどうかはよく分かる、と聞きました。
藤竜也と共演して
今は忘れていても、かつて、幸せだった日々はよみがえってくる、という人間の不思議さを感じ、幸せな気持ちで、演じました。
私にとってこのドラマは、愛妻物語だと思います。
藤竜也さんとの夫婦役は何度かやりましたが今回は、もっとも幸せな気持ちで過ごしました。
坂東龍汰 コメント
役柄の見どころ
今回初めて警察官役を演じさせていただきました。
西井はとても正義感があり、思いやりのある役です。
柴田さんと出会い、物語が進んでいくうちに変わっていく心の変化を見ていただきたいです。
警察官の役作りについて
取締りの正しい動き方、口調などを指導していただきました。
まだ若手の警察官なのでハキハキと演じました。
藤竜也と共演して
藤竜也さんは昔から憧れていた方なので今回共演が決まった時は心の底から嬉しかったです。
とても穏やかで気さくな方です、休憩中もお芝居のことや色々なお話を聞かせていただき毎日楽しく撮影に臨めました。
小川未祐 コメント
作品の感想
どの年代の人が見ても、いろんな目線で感じることができる作品だと思いました。きっと今見るのと、10年後20年後見るのとでは全然違うものを感じるだろうし、そうやって多くの年代の人に愛される作品になるだろうなと思いました。
見どころ
長年連れ添った夫婦だからこそ、時が過ぎても取り戻せるものがあるのだと思います。高齢者ドライバーの交通事故の増加や、認知症という社会的な問題を写す中で、自分にとって大切なものは何かを取り戻すことが出来る作品だと思います。
印象に残っているシーン
美咲とおじいちゃんがアルバムを見ているシーンで、藤さんの目を見たときに、夫婦2人で生きてきた人生の重みを感じて、言葉に詰まり涙が出そうになりました。あのシーンでは美咲は何も分からずただ楽しくアルバムを見ているだけだったけれど、あの目を見て美咲はどう思うのだろうと、しばらく考えてしまいました。
演じるうえで気を付けたこと
美咲という役は、この話の中で唯一明るくて天真爛漫な希望のある存在だったので、おじいちゃんおばあちゃんの想いに寄り添いつつも、思いっきり2人の間に飛び込んでみようという気持ちでやりました。
藤竜也、吉行和子と共演して
藤さんとは休憩時間にもお話しさせて頂く機会が多く、その言葉の一つ一つを鮮明に覚えています。芝居に関しても、作品全体を通して説明の足りないところをアドリブで付け足したりされていて、大事なことをたくさん学ばせて頂きました。
吉行さんとのシーンで、紅茶を2人で飲むシーンがありました。「紅茶美味しい?」と聞いたとき、「まずい」とおっしゃっていました。確かに紅茶は不思議な味だったのですが、素直に「まずい」とおっしゃっていた吉行さんが本当に可愛らしくて、吉行さんのチャーミングな人柄がそのひと言に溢れていました。
そんなお二人と共演させて頂けたことは本当に大きな財産です。
鳴尾美希子(脚本)コメント
人にはそれぞれいきさつがあるけれど、誰もが皆大切な誰かを想って懸命に生きている、そんなささやかな物語を書きたいと思いました。年齢や職業、置かれた立場によって「正義」の意味は少しずつ異なるかもしれませんが、心の底にあるものは変わらないのではないかと思っています。容赦なく流れる時間の中で「老い」により失われていくものが増えたとしても、積み重ねた年月そのものにこそかけがえのない価値がある、タイトル「ゴールド!」にはそんな思いも込めました。いろいろな世代の方に見ていただけると嬉しいです。
樋渡典英(制作統括)コメント
私が生まれ育った町には、鉄道が通っていません。そういう土地での移動手段は専ら自家用車です。買い物へ行くのも、旅行へ出掛けるのも、私にとっての家族の思い出はある意味、車とともにあったと言えるのかもしれません。このドラマはいわゆる“高齢ドライバー問題”をテーマとしていますが、何らかの結論を提示するようなものではありません。ただ、高齢になるまで、日常の暮らしと幸せを乗せて走り続けたのであろうその何十万キロかの道のりは、尊いと思います。全てのドライバーとその家族にこのドラマを贈ります。
岡田健(演出)コメント
今回のドラマの脚本を最初に読んだとき、主人公・柴田の役を藤竜也さんに演じてもらいたいという思いが自然に湧いてきました。頑固でありつつ、正義感が強い愛妻家の柴田には藤さんしかいないと感じたのです。
代案が全く浮かばない状況で、恐る恐る藤さんに脚本をお渡ししたところ、内容に共感できるところがあると出演を快諾してくれました。
そして柴田の妻役には、名作「愛の亡霊」(大島渚監督)での藤竜也さんとの共演が印象的な
二人の組み合わせが決まると、作者の鳴尾さんも脚本をさらに夫婦の物語として掘り下げてくれました。放送時間にすると49分という短い時間ですが、50年に及ぶ夫婦の時間が凝縮されていると思います。
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林芳樹 @hayashi700
テーマもとても興味深いけど、藤竜也と吉行和子といえば大島渚の名作「愛の亡霊」。この2人の共演というだけで涙が出そう。/藤竜也が老いと向き合う高齢ドライバーに、ドラマ「ゴールド!」NHKで放送(コメントあり) https://t.co/no5qQYV7PT