無断生成音声AIに対抗、新たな“声の権利保護システム”に梶裕貴「AIの歴史の転換点」

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AI音声の研究・展開を行うアメリカの企業・イレブンラボが、AI生成コンテンツの出所と来歴を検証するための国際的な技術標準「C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)」に賛同し、同標準に準拠したサービス提供を開始すると発表。これに伴い声優の梶裕貴がコメントを寄せた。

イレブンラボ、C2PAのロゴマーク

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C2PAとは、デジタルコンテンツの出所や経緯を証明する技術標準を開発するため、Adobe、Microsoft、Googleなどが設立した団体名およびその技術標準のこと。画像、動画、音声などのデジタルコンテンツに、その生成・編集履歴を記録した改ざん防止機能付きのメタデータを付与する。イレブンラボではC2PA標準に準拠することにより、クリエイター自らの声が不正に利用されるリスクを低減することができ、ユーザーは聴いている音声がAIによって生成されたものであるかを簡単に識別できるようになるという。

また同社は、日本の声優・著名人の声を無断でAIに生成・利用する行為に対する反対の立場と、日本で有志の声優らによって行われている「NO MORE 無断生成AI」運動への賛同を表明。独自技術である「VoiceCAPTCHA」と国際標準「C2PA」を組み合わせた強固な技術的な枠組みを通じて、日本のクリエイターやコンテンツ産業が安心してAIを活用できる環境の構築へ貢献すると述べている。

「NO MORE 無断生成AI」に参加し、自身がプロデューサーを務める音声AIプロジェクト「そよぎフラクタル」も手がけている梶。この発表に対し「本当の意味で、日本語音声の権利を保護できるシステムの登場は、まだまだ先になってしまうのだろうなと半ば諦めかけていた、その時──まるで救世主のごとく誕生したのが、この度、満を持して公開された、改ざんされることのない声紋認証ウォーターマーク技術【VoiceCAPTCHA x C2PA】です。まさに私たちが待ち望んでいた、信頼のおける『声の権利保護システム』と言えるでしょう」と期待を寄せている。

梶裕貴コメント

日本のAIコンテンツ対応は今、他国に大きく遅れをとっています。このままでは、エンタメをはじめとする表現分野の衰退、さらには、人としての尊厳まで失いかねない事態になってしまうと危惧しておりました。AIの「攻める」使い方を学ぶと同時に、「守る」使い方も準備しておかねば、いつか取り返しのつかないことになってしまうと。しかし、法整備などによる根本的な解決が依然として為されぬ中、個人で行える対策に限界があることも事実。本当の意味で、日本語音声の権利を保護できるシステムの登場は、まだまだ先になってしまうのだろうなと半ば諦めかけていた、その時──

まるで救世主のごとく誕生したのが、この度、満を持して公開された、改ざんされることのない声紋認証ウォーターマーク技術【VoiceCAPTCHA x C2PA】です。

まさに私たちが待ち望んでいた、信頼のおける「声の権利保護システム」と言えるでしょう。

「クリエイティブ」に生かしたい人。
「ビジネス」として利用したい人。
もちろん「保護」だけを目的にする人も。

それぞれが、それぞれの利用方法で構わないのです。
あなたの声の権利を持つのは、他の誰でもない、あなた自身。
この判断に、AIへの賛否は関係ありません。

【VoiceCAPTCHA x C2PA】が一刻も早く普及し、AIの悪用による被害がなくなること、またAIに対するイメージが、よりポジティブなものへと変化することを願っています。

AIは、あくまで技術であり、道具。
それを犯罪者にするか、パートナーにするかは、私たち次第です。

【VoiceCAPTCHA x C2PA】の登場は、間違いなくAIの歴史の転換点となるでしょう。

マティ・スタニセフスキー(イレブンラボ創業者兼CEO)コメント

日本のアニメ・声優文化は世界でも類を見ないほど豊かで、私たちはその創造性に深い敬意を抱いています。AI企業として、イノベーションと同じくらい、倫理と信頼性を確立することが私たちの重要な使命だと考えています。

私たちの技術は、これまでも独自の厳格な基準で安全性を確保してきましたが、「C2PA標準」への準拠は、私たちが日本のクリエイターコミュニティとの共存をより広く知っていただく機会になると考えております。AI音声技術を安心して活用いただける未来を共に築くという揺るぎない決意とともに、この取り組みが業界全体の透明性向上につながることを期待しています。

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Alan King @alankingny

@comic_natalie That’s cool

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