9月15日に全国公開される「アリスとテレスのまぼろし工場」は、MAPPAが手がける初のオリジナル劇場アニメーション。製鉄所の爆発事故により時が止まり、変化が禁じられた町を舞台に、鬱屈した日々を過ごす主人公・菊入正宗らが未来へともがく姿を描く。正宗が謎めいた同級生・睦実に導かれた先で、謎の少女・五実と出会ったことをきっかけに、少年少女の“恋する衝動”が世界の均衡を崩し、崩壊へと導く物語が展開される。
舞台挨拶が始まり登壇者がステージに呼び込まれると、なんと岡田監督は松葉杖をついて登場。V編集に向かう途中で気合が入りすぎて転倒し、怪我をしてしまったという岡田監督は「とっても元気です」とはにかんだ。同作の舞台となる、変化が禁じられた町の設定について問われると、“変わっていくことがいいことで、変わらないことはダメなこと”と言われることが多かった自身の経験を振り返る。「時代的にもなんとなく閉塞感を感じる中で、変化ができないことってどういうことなのか」と考えたことがきっかけで町の設定が生まれたと明かした。恋愛の物語を作りたかったのかという質問に対しては「作りたかったですね」と力強く回答。“恋する衝動が世界を壊す”という同作のキャッチを紹介しつつ「今まで愛情につながる恋愛を書いてきたと思うので、恋とはご無沙汰になった日々の中でその激しさを書いてみたいなっていうのがありました」と語った。
上田は、時の止まった町に自身がいたらと想像。猫を飼っていることに触れつつ「ずっと変わらずに一緒にいられるんだったら幸せだな」と舞台となる町をポジティブに捉える。また、作品の感想については「もどかしいなとか、苦しいなとか、観ていて感じたんですけど、それがあるから……あー、"世界が変わる”という言い方で難を逃れましょうかね」と作品のネタバレに配慮しつつ述べた。作品については「映画の中にどっぷり浸かっていくと、すごくいろんな感情が心の中に渦巻いていって、それこそ爆発しそうになる」とミステリアスな睦実の視点からも作品を鑑賞してほしいと伝えた。
五実を演じた感想について聞かれた久野は、自分の人生と重ね合わせられた瞬間があったと話し「もしかしたらご覧になる皆さんもそういう瞬間を味わえるのがこの作品なんじゃないかと思います」と客席に視線を送る。また、同作はスタッフやキャスト陣の熱量と愛、勇気、いろいろな感情が合わさって完成したと語り「画面の隅から隅まで全部からそれが伝わってきました」と絶賛。「誰かをまっすぐに好きになる気持ちってすごく素敵だし、好きっていう気持ちっていろんなことを飛び越えちゃうんだな」と自身が演じる五実から受け取った感情を噛み締めた。
同作のとあるシーンは、上田、久野、正宗を演じる
主題歌「心音(しんおん)」で初めてアニメの主題歌を担当した
最後に、岡田監督は同作の劇場公開版の仕上げが昨晩まで行われていたことを明かしながら、制作過程を「簡単なものではなかった」と振り返る。しかし、声優陣の演技や主題歌を受け取り、スタッフがそれを力に変えたと述べ「スタッフの熱量と愛情で1人ひとりが走り切れたなと思います」と感慨深げに語った。「皆さんの心に何か引っかかるものがあったらいいなと思います」と挨拶した岡田監督に大きな拍手が贈られ、舞台挨拶は幕を閉じた。
中島みゆきコメント
こんばんは、中島みゆきです。
このたび主題歌として「心音(しんおん)」という楽曲で、参加させていただきました。
アニメーションの世界と中島みゆきっていう組み合わせは、
なんだか異種格闘技みたいな気がするんですけど、
そのへんのビックリ感も含めてお客さまに楽しんでいただけたら、
とっても嬉しいです。
中島は、とにかくもう岡田麿里さまを尊敬申し上げておりますので、
映画の完成を、期待に満ち満ちて、お待ちしているところです。
映画「アリスとテレスのまぼろし工場」
2023年9月15日(金)全国公開
スタッフ・キャスト
監督・脚本:
副監督:平松禎史
キャラクターデザイン:石井百合子
美術監督:東地和生
音楽:横山克
制作:MAPPA
配給:ワーナー・ブラザース映画、MAPPA
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