映画「プリキュア」歴代主題歌メドレーは「譜面がタウンページくらい厚くなった」

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「『映画HUGっと!プリキュア▽ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』生コメンタリー上映会【ミュージック・オブ・プリキュア】」が、去る12月7日に東京・新宿バルト9にて開催された。イベントには本作の監督を務めた宮本浩史、音楽を担当した林ゆうき、プロデューサーの神木優が登壇。なお本記事には映画本編に関する内容が多数含まれているので、ネタバレを避けたい方はご注意を。

左からプロデューサーの神木優、音楽を担当した林ゆうき、宮本浩史監督。

左からプロデューサーの神木優、音楽を担当した林ゆうき、宮本浩史監督。

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「映画HUGっと!プリキュア▽ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」ポスタービジュアル

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本イベントは観客と一緒に映画を鑑賞しながら、3人が音楽制作の舞台裏について語るというもの。上映前に神木が「監督から、一番最初の打ち合わせのときに『音楽は林先生ですよね!?』ってすごい剣幕で言われたんです」と明かすと、林も「『音楽を前面に出したいんです』って獣のような目でおっしゃってて(笑)」と続ける。そして「監督の頭の中に明確なイメージがあるのを感じたので、それを僕が音にして『こうじゃないですか』っていう、キャッチボールをなるべく多くしながら作りました」と、監督との密なやり取りが出来上がりに結びついていると話した。

放送中の「HUGっと!プリキュア」や前作「キラキラ☆プリキュアアラモード」など、テレビシリーズでも音楽を担当している林。映画にも使われている「HUGっと!プリキュア」の音楽については、「『キラキラ☆プリキュアアラモード』はスイーツというモチーフがあったからよかったんですが、『HUGっと!プリキュア』は普通の現代のお話で、魔法使いでもお姫様でもないから、意外と特徴がないんです」と苦労した点について話す。さらにスタッフ陣から「バトルシーンや怖い場面用の楽曲は、ガンガン怖くしてください」と言われたというエピソードも披露した。

敵キャラ・ミデンの登場シーンに差し掛かると、林は「ミデンのテーマはオリエンタルな雰囲気に加えて、正体がカメラということで、無機質な質感になるように調整しました」と意図を明かす。また五條真由美と宮本佳那子が歌う挿入歌「リワインドメモリー」に関しては、神木が「収録を見ていて、五條さんと宮本さんの姿がキュアブラックとキュアエールに重なるところがあって。全然違うタイプの声の持ち主なんですが、曲が求める“強さ”に対してそれぞれの表現があって、すごく面白いと思いました」と振り返り、宮本も「最初ははなちゃんの心情に寄り添う感じの歌詞にするアイデアもあったんですが、打ち合わせの中で、プリキュアの世界全体を見ている神様が俯瞰しているような歌詞に変わっていったんです」と制作過程を語った。

コメンタリーでは劇伴だけでなく効果音にも話がおよび、「効果音もどんどん進化していくので、音楽と効果音がいいバランスで共存するということは、今後映画の大きなテーマになっていくと思います」と、宮本の映画作りへの意識がうかがえるコメントも。また神木は今回の映画を通して「音楽の情報がお子様に伝わっているのを感じて。子供たちには少し難しいセリフだったかなと思っても、音楽は体感するものなので、『プリキュア』にとって音楽で伝えるということがすごく大切だと、改めて気付かされました」と語った。

映画がハリハム・ハリーが観客に向けて呼びかけるシーンへと差し掛かり、神木が「ここの楽曲もすごく印象的ですね」と述べると、林が「“ハム演説”のところですか?」と独特の呼び方を披露し、観客からも笑いが起こる。そして監督が「皆さんご準備はよろしいでしょうか」と呼びかけると、集まったファンは大きな声で「フレフレ、プリキュア!」とエールを贈り、会場はミラクルライトの光と温かい空気で包まれた。

そして本作の大きな見どころである、歴代「プリキュア」シリーズの主題歌がメドレー形式で繋げられた楽曲「プリキュアオールスターズメモリーズ」に乗せた、歴代プリキュアのバトルシーンへ。この楽曲について林は「一番楽しかったし、つらかったですね。譜面がタウンページかってくらい厚くなって(笑)」と冗談交じりに話し、「最初は『林さんの楽曲の中に、過去の主題歌のメロディがちょっと入るような感じで』っておっしゃってもらったんですけど、それってお客さんが望んでることじゃないなって思って、割とフラットにオーケストラ化しました」と明かした。神木はメドレーが「HUGっと!プリキュア」から「ふたりはプリキュア」へと遡っていくことに触れ、「『プリキュア』を見るということだけじゃなく、自分の記憶を遡る、自分と向き合うということを体験できるシーンだと思います」と語った。

上映後、神木は本作の“思い出”というテーマについて「“思い出”は皆さんが持っているものなのに、それを映像でどう表現するのか、矛盾を感じていたところがあったんです」と切り出し、「でも林先生の音楽はじめ、目には見えないところに“思い出”の本質があるんじゃないかと感じる映画になったと思います。この映画を通して、皆さんが自分自身に向き合っていくきっかけになったら」と呼びかける。林は「プリキュアという作品がずっと長いこと続いてきて、積み重ねがあるからこそ最後のメドレーに爽快感がある。いろんな人の力があってできたと思うので、僕は本当にお手伝いができただけだと思っています」と、「プリキュア」シリーズの関係者やファンに向けての感謝の言葉を口にした。

最後に宮本は「映画を作るって綺麗ごとだけではなくて、議論になることもたくさんありました。信じられないくらいの人数の大人が『最高のものを作りたい』って本気で取り組んで、映画というのはできています。そしてこういう形で皆さんに受け入れていただけて、本当に最高の幸せです」と語り、イベントの幕を下ろした。なお終了後には、12月13日にT・ジョイ大泉にてスタッフトークショーが開催されることがアナウンスされた。同イベントには宮本、神木に加えて、脚本を担当した香村純子、総作画監督を務めた稲上晃らが登壇する。

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