本日のイベントには、黒のスーツにハット姿で現れたさいとう。開会式では「ゴルゴ13」のこれまでを振り返り、「50年もやってるってことは、ほとんど奇跡に近いような気がするんですよね。ありがたいのは通り越して、人ごとのような気がするんです。月日が経った感覚がなくて、自分も(11月3日で)82歳になるなんて『えっ!』という感じなんですけど(笑)」と挨拶する。また「作品自体はもう、描き手のほうに関係なくなってきてしまいましたね。読者のものであり、雑誌のものである。それにまずお礼を言わなければいけません。本当に50年間もよく読んでいただきました。ありがとうございます」とにこやかに伝えた。
開会式後には、企画展の会場内でさいとうの囲み取材も。企画展の楽しみ方を聞かれると、さいとうは「50年もやってますから、作品が変わっていってるんですよ。ゴルゴの顔なんか、まるで違う人間みたいになってます(笑)。自分ではその意識がないんですけど、その変わり方というのは、たまに振り返るとびっくりしますね」と答える。また「ゴルゴ13」の女性キャラクターにスポットを当てたコーナーに話が及ぶと、さいとうは「女性を描くのは苦手なんですよ」と渋い顔に。「間違いなく女性は、人間としての生命の根源ですから。男なんてついでです(笑)。だから女性を描けないのは当たり前なんです。偉い人のことはなかなか描けませんから。女性というより、母親ですね」と続ける。これに派生し、記者が「ゴルゴ13」の最終回までにゴルゴの母親が登場する可能性はあるのかと質問すると、さいとうは「ないでしょうねえ」と断言。「私は彼を人間だと思ってませんから」と言い、彼の母親や父親は考えないようにしていると明かした。
またさいとうからは「我々(マンガ家)としては新しいものを描きたいという気持ちが常にある」という言葉も。そうしながら「ゴルゴ13」を続けてこれたのは、読者の支持と雑誌のおかげと改めて感謝を述べる。長期連載のモチベーションについては「やっぱり職人意識でしょうね。私は自分のことを職人だと思ってるんですよ」と語る。「自分が好きで、自分の感性で物を描いてウケる人、こういう人が天才です。私らみたいな計算づくめでやってる人。こういう人間は職人でしょう」とまとめた。
内覧会では「ゴルゴ13」の全エピソードから厳選した39点の原画を展示する第1章「軌跡」、ゴルゴが使用する銃のモデルガンを展示する第2章「狙撃」、女性キャラクター100人を壁一面で紹介する第3章「女性」、「ゴルゴ13」がどうやって生まれるのかを追う第4章「制作」、「ゴルゴ13」モチーフに制作されたポスターや著名人から送られたメッセージなどを紹介する第5章「人気」といった要素で構成。「アーマライトM16」のモデルガンを実際に構えてスコープを覗くことができる撮影スポットや、さいとう・たかおプロダクションの“武器庫”に保管されているモデルガンを展示するコーナー、さいとうの仕事机を再現した一角も用意される。
なお企画展の期間中には、ギャラリーツアーやワークショップなどのイベントを実施。11月3日には定員100名で、さいとうによるサイン会も行われる。参加希望者は当日、図録を購入して整理券を受け取ろう。詳細は会場の公式サイトにて確認を。
連載50周年記念特別展「さいとう・たかを ゴルゴ13」用件を聞こうか……
日程:2018年9月22日(土)11月30日(金)
※毎週月曜は休館(9月24日・10月8日は開館し、翌日休館)
会場:川崎市市民ミュージアム
開館30周年記念特別イベント さいとう・たかをサイン会
日時:11月3日(土・祝)13:00~
会場:川崎市市民ミュージアム2F 企画展示室1付近
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