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「リズと青い鳥」に原作の武田綾乃「割れる直前のシャボン玉を撮影したよう」

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左から山田尚子監督、原作者の武田綾乃。

左から山田尚子監督、原作者の武田綾乃。

劇場アニメ「リズと青い鳥」のトークイベント付き試写会が、本日4月11日に東京・スペースFS汐留で開催された。

試写会前に行われたトークでは、山田尚子監督と原作小説「響け!ユーフォニアム」シリーズを手がける武田綾乃の2人が本作に関するトークを繰り広げた。完成した作品を観ての感想を聞かれた武田は「青春のいろいろな要素を詰め込んだ作品。観終わったあとの余韻と空気感を求めて何度も観たくなる」と回答。それを受けて山田は「武田先生の書く小説には透明感と匂いがあるので、それらを映像に落とし込もうとがんばった」と本作にかけた意気込みを語った。

本作の成り立ちを問われ、山田は「先生の書いた原作小説のプロットを読んだときに、女の子たちの秘密を覗き見したような気分になった。口には出すことがなさそうな……羨ましさや好きだなという思い、嫉妬みたいな感情を包み隠さず描いていて、なかなかない切り口なのでぜひやりたいと思った」と打ち明ける。その原作について武田は「(以前に書いた)希美とみぞれの関係性にもう一度向き合ったときに、互いに“好き”という感情を抱いているけど内包されているものは別だと感じた。同じ“好き”でも異なる感情の差が伝わればいいなと思いながら書いた」と振り返る。

共学校の吹奏楽部を舞台にした「響け!ユーフォニアム」シリーズの中でも、みぞれと希美の関係性にフィーチャーした本作だけに、山田は「『女子校っぽく見えたら最高』と思っていたので、観た人からそういった感想があって『やったな』と思った」とほくそ笑む。続いて武田は「美しいものを作品の中にぎゅっと閉じ込めたいという気持ちで小説を書いている。今回、『こんなふうに描きたいな、こんな空気感を再現したいな』と思っていたものを緻密に、繊細に描いてもらえた。ありがとうございます」と制作陣に感謝を述べた。

本作の劇伴は、みぞれたちが演奏する楽曲「リズと青い鳥」を除き、牛尾憲輔が担当する。山田によると、それらの楽曲は、モデルとなった学校を彼が訪ね、備品を叩いたりなでたりした音をサンプリングして作られたもの。そして「これも2人の少女の秘密を邪魔しないよう、周辺の視点から2人を観ようという意図から。5.1chサラウンドの環境で、みぞれたちを囲む音を体験してほしい」とファンに希望を伝えた。

みぞれと希美の関係性、2人が抱く感情について話が及ぶと、山田は「コンテを描き終えて見返したときに胸が詰まる思いがしたけど、その思いを表す言葉が見つからなかった。いい言葉があったら教えてほしい」とコメント。そんな訴えに武田は「割れる直前のシャボン玉を写真で撮ったみたいな印象」と語る。そして「いつ消えるかわからないシャボン玉、その一瞬を(写真で)切り取ることで永遠になるというか」「青春の欠片を、きれいに1枚1枚撮って大事にしたいと思っている作品なのかな」と小説家らしい独特の表現で本作を評した。

「リズと青い鳥」は武田綾乃の小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」を原作とし、鎧塚みぞれと傘木希美、2人の女子高生の儚く美しい一瞬を描く物語。4月21日から上映される。

劇場アニメ「リズと青い鳥」

スタッフ

原作:武田綾乃(宝島社文庫『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:西屋太志
美術監督:篠原睦雄
色彩設計:石田奈央美
楽器設定:高橋博行
撮影監督:高尾一也
3D監督:梅津哲郎
音響監督:鶴岡陽太
音楽:牛尾憲輔
音楽制作:ランティス
音楽制作協力:洗足学園音楽大学
吹奏楽監修:大和田雅洋
アニメーション制作:京都アニメーション
製作:『響け!』製作委員会
配給:松竹

キャスト

鎧塚みぞれ:種崎敦美
傘木希美:東山奈央
リズ、少女:本田望結
中川夏紀:藤村鼓乃美
吉川優子:山岡ゆり
剣崎梨々花:杉浦しおり
黄前久美子:黒沢ともよ
加藤葉月:朝井彩加
川島緑輝:豊田萌絵
高坂麗奈:安済知佳
新山聡美:桑島法子
橋本真博:中村悠一
滝昇:櫻井孝宏

※高橋博行と高尾一也の高ははしご高、種崎敦美の崎は立つ崎が正式表記。

(c)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

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