カレンダーを見ると「○○の日」と書いてあり、その日が何かの記念日になっていると気が付くことがあります。何かの日だと知るだけで、ちょっと今日が特別に感じて何かしたくなるもの。そんなときは、記念日に関係したマンガを読んでみるのはどうでしょう。本日3月25日は「散歩にゴーの日」。街歩きの楽しさを描いたマンガを紹介します。
文・
panpanya「そこに坂があるから」(白泉社)
あの道の先は、どうなっているのだろう。その気持ちが人を散歩に駆り立てる
「ふと、この坂の上がどうなっているのか見てみたいとおもったのさ」──小学生の少女が、近所の上ったことがない坂にふと興味を持ったことから始まるこの物語。下校中にチャレンジしてみたものの、少し歩いただけで勾配のキツさに気持ちがめげてしまい「べつに用があるわけでもないんだし…」と、主人公は坂を上ることを諦めてしまう。しかし夜になって、布団に入っても坂道のことが頭から離れなくなってしまった少女は翌日、万全の装備で再び坂道に挑む。歩いたことがない道への好奇心、この先にはなにがあるのだろうという期待、そして小さな冒険の要素をはらんだ「そこに坂があるから」は、散歩の楽しさがギュッと詰まった内容になっている。同作は短編集「おむすびの転がる町」に収録されている1編だが、このほかにも町の景色や構造に鋭い目線を向けたマンガを
衿沢世衣子「ちづかマップ」(小学館)
江戸の絵図を片手に街歩き。昔と違う景色に見えて、変わらないものも……
「ちづかマップ」は、好奇心旺盛な女子高生・鹿子木ちづかが古地図を片手にあちこち出かける散策ストーリー。小学館版2巻に収録されている第6話「王子編」では、落語の演目「王子の狐」の舞台になっているお店・扇屋が今も存在していると知ったちづかが、落語好きの女子・竹井さんといっしょに王子へと出かける。「ここら辺なんだけど」というちづかの地図を竹井さんが覗き込むと、その手に持っていたのはなんと江戸切絵図。そんなもので目的地がわかるわけがないと呆れる竹井さんだったが、よく見るとそこには今日ちづかたちが立ち寄った神社や扇屋もしっかり描かれており……。今と昔の景色はまったく関係がないわけではなく、ずっと残り続けているものもあれば、理由があって変化したものもあり、土地の歴史に目を向ければ見慣れた風景も違って見えてくるかも?
久住昌之、谷口ジロー「散歩もの」(扶桑社)
理想的な散歩とは「のんきな迷子」になること、なんちゃってね
盗まれた自転車を探しに出かけてふらり歩いた住宅地、終電を逃してしまい家まで歩きながら眺める寝静まった街、打ち合わせのため訪れた町の知らない商店街……どこにでもあるような風景を淡々と描写しながら、極上の人間ドラマを生み出す「散歩もの」。文房具会社で部長をしている主人公・上野原は、その第2話で散歩に関してこのような持論を展開する。「テレビや雑誌で見た場所へ出かけていく散歩は散歩ではない」「理想的なのは『のんきな迷子』なんちゃってね」と。何かするために歩くのではなく、歩くこと自体を楽しむ主人公の姿からは、散歩の真髄が感じられること間違いなし。「孤独のグルメ」のタッグによるもう1つの名作だ。
バックナンバー
panpanyaのほかの記事
関連商品
コミックナタリー @comic_natalie
【今日は何の日?~ #マンガで覚えるたのしい記念日 ~】
3月25日は「散歩にゴーの日」。いけいけゴーゴー!さーんぽ!
https://t.co/wwrPgUF5mx
#散歩にゴーの日 #panpanya #おむすびの転がる町 #そこに坂があるから #衿沢世衣子 #ちづかマップ #久住昌之 #谷口ジロー #散歩もの https://t.co/HXgZMklasC