細野晴臣、初夏ツアー浅草公演で大喝采「引退後初ライブです」

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細野晴臣が7月10日に東京・浅草公会堂で全国ツアー「初夏ツアー2017」の東京公演を実施した。

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)

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細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)[拡大]

秋のアルバム(タイトル未定)リリースや、ホールツアーを11月より行うことなどを発表してファンを喜ばせている細野。彼が6月に沖縄・桜坂セントラルで開始した初夏ツアーの2公演目となる東京公演には、おなじみのバンドメンバーである高田漣(G)、伊賀航(B)、伊藤大地(Dr / グッドラックヘイワ、サンフジンズ、etc)のほか、ゲストアーティストとして林立夫(Perc)、コシミハル(Accordion, Piano)、斎藤圭土(Piano)が出演することも明かされており、この日はツアーの中でも特別感を感じられるものとなった。また会場の浅草公会堂は、客席後方から花道が伸びるステージやめくり台などが独特の風情を醸す場所。コンサートの会場としては一風変わった雰囲気に、開演前の来場者の期待感は高められていた。なおこの公演の前日である9日、細野は70歳の誕生日を迎えていた。

開演時間になると、清水イチロウがベースを持ってステージ中央に登場。清水ミチコの実弟で、細野のモノマネをすることで知られる彼は、突然「昨日、細野さん、誕生日だったんだって? 70歳の。ねえ?」と飄々とした口調で客席に語りかけたのち、「今日は前座を務めさせていただきます」と挨拶。続けて高田渡の「スキンシップ・ブルース」を渡と細野の歌マネを使いわけて披露するなどして場内を沸かせた。なおこのときイチロウは、渡バージョンと細野バージョンでベースのテンポを微調整するなど細かい芸を見せていた。さらに前説の後半には、イチロウに「矢野顕子!」と呼び込まれ、清水ミチコも姿を見せる。2人はそれぞれ矢野、細野の歌マネで細野作の名曲「恋は桃色」をカバーして大喝采を浴びた。

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)[拡大]

清水姉弟がステージを去るのと同時にシドニー・ベシェの「Si Tu Vois Ma Mere」のカバーが聞こえてくると、ステージの幕が上がる。そこにはゆったりと楽器を響かせる伊賀、漣、伊藤、林の姿が。口笛によって再現された朴訥としたメロディが会場に広がり、本編の始まりがムーディに盛り上げられていった。続いてバンドがジョセフィン・ベーカーの「La Conga Blicoti」のカバーを力強く演奏をし始めたとき、細野が客席後方に登場。彼はバンドの演奏やドラムのキメに合わせてコミカルなダンスを踊りながら、大喝采と笑い声の中、花道上をステージへ移動していった。

最初のMCで細野は、前座を担った清水姉弟について「面白かった。メインですよ。こっからは余興です」などと話す。自身の誕生日についてのくだりでは、「ラジオでも昨日言ったんですけど、70になったら引退。引退宣言をしたんです。で今日は、引退後第1回目のライブです」「……えっと、次の曲やろうか。余興だ」と、“細野節”を炸裂させていた。序盤は、細野ファンにはおなじみの「ジャパニーズ・ルンバ」や「バナナ追分」を本ツアーならではのアレンジでプレイ。細野バンドの面々は、ジャンル的な振れ幅の広いセットリストを洗練されたアンサンブルで届け、細野の世界観をしっかりと表現していった。「悲しみのラッキースター」からはコシが登場。ピアノを加えたバンドは「香港ブルース」「北京ダック」などオリエンタルなナンバーを情緒あるサウンドで表現していく。中でも細野が「1951年の『アンナ』という映画の曲。音楽は世界中でヒットしていて」と紹介して届けた「El Negro Zumbon(Anna)」のカバーでは、弾むようなコシのピアノの音色が楽曲に彩りをもたらしていた。

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)[拡大]

「さあて、こっからだな。ジャズだね……大好きな」「ニコニコし始めちゃった。それが伝わるといいんだけど」というMCを合図にプレイされた「Tutti Frutti」の演奏後には、アンサンブルの完成度の高さに観客から喝采が送られた。それに対して細野は「あ、伝わっちゃったかな(笑)」とはにかんでいた。それからコシが退場したあとは、ライブはロカビリーやカントリーなどが続くブロックに突入していく。「Back Bay Shuffle」のカントリーカバーでは日本語歌詞が乗せられるなど、細野ならではのアレンジセンスがオーディエンスを楽しませていた。さらに斎藤が呼び込まれたのをきっかけにして、細野が近年熱心に取り組んできたブギヴギの時間帯が幕を開けた。ここでは斎藤のテクニカルなバッキングが出色な「Beat Me Daddy, Eight To The Bar」などが届けられ、細野は安定感のある演奏の上に心地よく歌声を重ねていた。

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)

細野晴臣「初夏ツアー2017」東京・浅草公会堂公演の様子。 (撮影:平間至)[拡大]

「じゃあ、ありったけの力で。倒れても知ーらない」とのMCから届けられたキラーチューン「The House Of Blue Lights」で演奏中にステージ上に腰掛けるなどして観客を沸かせ、大盛り上がりで本編を終了させた細野は、アンコールを望む観客の手拍子に応えステージに再登場。アンコールでバンドは細野の歌声の魅力をしっかりと伝える「スマイル」のカバーと代表曲「Pom Pom 蒸気」の2曲をもって、細野の幅広い音楽性とチャーミングな人間性を伝えた東京公演の幕を落とした。

このあと「初夏ツアー」は7月15日の大阪・ユニバース、17日の京都・磔磔と続く。なお磔磔公演は女性限定ライブだが、女装した男性は入場することができる。

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細野晴臣「初夏ツアー2017」(※終了分は割愛)

2017年7月15日(土)大阪府 ユニバース
2017年7月17日(月・祝)京都府 磔磔 ※女性限定(男性の女装は入場可)

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細野晴臣 Haruomi Hosono _information @hosonoharuomi_

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