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フラカン初の日本武道館ワンマンは満員に「次は50代のバンドにバトン渡したい」

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「フラカンの日本武道館~生きててよかった、そんな夜はココだ!~」の様子。(撮影:HayachiN)

「フラカンの日本武道館~生きててよかった、そんな夜はココだ!~」の様子。(撮影:HayachiN)

フラワーカンパニーズが東京・日本武道館にてワンマンライブ「フラカンの日本武道館~生きててよかった、そんな夜はココだ!~」を12月19日に開催した。この日は全国からファンが集結し、チケットは会場で販売された当日券も完売。バンドは満員のオーディエンスを前に渾身のライブを繰り広げた。

彼らが日本武道館で単独公演を行うのは、結成26年目にしてこれが初めて。バンドにとって史上最大規模のワンマンとなったが、舞台の上には黒地に「タマネギから飛び出したニワトリ」が描かれた巨大なイラストが飾られているだけで、映像を映すモニターや特別なセットなどもなく、その様子からメンバーがあくまで普段と変わらないライブを目指しているように感じさせる。開演時間を過ぎてしばらく経つと、怒髪天のメンバーがフラカンに捧げて歌う応援歌がSEとして流れ、曲が終わると同時に会場が暗転しステージにメンバーが登場。最新作「夢のおかわり」のオープニングを飾った「消えぞこない」からライブがスタートし、4人は広々とした空間でのライブを楽しむように笑顔で次々と楽曲を演奏した。

人で埋め尽くされた客席の様子を見ながら、鈴木圭介(Vo)は「ガラガラのシミュレーションしか用意してなかったからね」、グレートマエカワ(B)は「たぶんこんなに入ると思ってた人、1人もいないと思うよ」と驚きの表情。鈴木が「まあ、初めての武道館だけど特別なことはなく、いつも通りやります」と言うと、すかさずマエカワが「んなことないじゃん。(鈴木は)ジャケット着てるじゃん。竹安(堅一 / G)なんかベスト着とるぞ。30年の付き合いで初めて見たぞ」とツッコミを入れていた。なお鈴木のジャケットはこの日のために自腹で購入したものとのことで、価格は2万3000円だったという。

凄みを感じさせる「元少年の歌」「この胸の中だけ」の連発で観客の胸を打った彼らは、その後2009年の東京・日比谷野外大音楽堂ワンマン以来に演奏するという「夢の列車」を披露。アコースティックギターのスライド演奏とブルースハープを軸にそれまでとは雰囲気を変えた演奏を繰り広げ、中盤には竹安が3分以上にわたって1人でアコギをかき鳴らした。続く「発熱の男」では鈴木が歌い出しで「武道館の舞台に立っている 武道館の舞台で歓声を浴びている」と歌い、会場は歓声に包まれた。

マエカワはMCで「チケットの売れ行きを気にしてなかったって言ったら半分ウソかな。俺は社長でもあるから、週に1回は詳報が送られてくるよ。それ見ると一喜一憂しちゃったりしてさ。少なかった週に『このまま売れなくなったらどうしよう』とか。まさかこんな日が来るとは思わなかった。そりゃ鈴木も2万3000円のスーツ買いますよ(笑)」と当日までの心境を告白。また昨年行われた怒髪天の武道館公演を振り返って「増子(直純)さんがアンコールで『次ここでやるのは誰だ? フラカンか?』って言ってくれて、ある意味そのひと言が背中を押してくれた」と説明した。その後マエカワは武道館公演に挑むフラカンを応援してくれたさまざまなバンドやファンに感謝の言葉を述べつつ、観客に向けて「みんなが作った武道館なんで、みんなも今日から『俺たち武道館やったよ』って言っていいですよ!」と力強くコメント。さらに彼は、怒髪天から受け取ったバトンを次に誰に渡すかについて話し、「50代のバンドが武道館で初めてワンマンやるのが観たい。THE COLLECTORSとかTheピーズとかTOMOVSKYとか、そういう人がやるならみんな全力で応援すると思うからぜひやってください」と言ってエールを贈った。

終盤にはステージの背景になっていた黒幕が開いてギラギラと光る壁が現れ、メンバー4人は「チェスト」「俺たちハタチ族」「終わらないツアー」といったアッパーチューンを連発。メンバーは広いステージを所狭しと駆けまわりながら、それまで以上のテンションで演奏を繰り広げた。続いて「真冬の盆踊り」が披露されると、満員の観客が一斉に「ヨッサホイ」と叫びながら両手を掲げて阿波踊り風にダンス。会場をお祭り状態にしてライブ本編を終えた。

アンコールではメンバーは衣装を着替えて登場し、「孤高の英雄」などを披露。2度目のアンコールではマエカワがクリスマスツリーをモチーフにしたキラキラ輝く衣装で現れ、竹安のギターにあわせてメンバーが観客とともに「きよしこの夜」を合唱した。そして彼らは、この武道館公演の映像が3月16日にDVDとBlu-rayの2タイプで発売されることを告知。さらにマエカワが「今日はみんなたぶん全国から来てもらってるんで、来年は1年かけて47都道府県ワンマンをやります!」と発表した。その後の「白眼充血絶叫楽団」では鈴木の叫びを受けて観客も絶叫。続く「NUDE CORE ROCK'N'ROLL」では客席に金テープが発射され、アリーナは大騒ぎになった。

その後もアンコールの声は止むことはなく、トリプルアンコールが実施されることに。マエカワは集まった観客に向けて「武道館は素晴らしいところだけど、俺たちが普段やってるライブハウスはすごくいいんで、俺たちのライブじゃなくてもいいからライブハウスに足を運んでください」と挨拶した。アンコールでは「東京タワー」を鈴木が絶唱し、会場全体で「HEY HEY HO」というシンガロングが沸き起こる。鈴木は「帰りたくないね」と名残惜しそうに漏らすが、バンドは最後に「サヨナラBABY」を披露。観客による大合唱に包まれながら鈴木は「また会いましょう。来年! 再来年! さらに次の年! 20年! 30年!40年! 50年!……50年後って96歳か。あと30年だけやらせてください!」と宣言した。そして曲が終わる頃に客電が一気に点灯。メンバーに手を振る観客の笑顔を照らし、ハッピーな空気で会場を満たしてワンマンライブは終了した。

フラワーカンパニーズ「フラカンの日本武道館~生きててよかった、そんな夜はココだ!~」2015年12月19日 東京都 日本武道館 セットリスト

01. 消えぞこない
02. 恋をしましょう
03. 星に見離された男
04. 永遠の田舎者
05. はぐれ者讃歌
06. 脳内百景
07. トラッシュ
08. ビューティフルドリーマー
09. 元少年の歌
10. この胸の中だけ
11. 夢の列車
12. 発熱の男
13. 吐きたくなるほど愛されたい
14. 深夜高速
15. 春色の道
16. チェスト
17. 俺たちハタチ族
18. 終わらないツアー
19. 真冬の盆踊り
<アンコール1>
20. 夜明け
21. ロックンロール
22. 孤高の英雄
<アンコール2>
23. 白眼充血絶叫楽団
24. NUDE CORE ROCK'N'ROLL
25. 三十三年寝太郎BOP
<アンコール3>
26. 東京タワー
27. サヨナラBABY

※記事初出時、本文に事実とは異なる記載がありました。訂正してお詫びいたします。

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