虚淵玄、アニゴジは「伝統の特撮ゴジラ最新作の後なら」と日本産ゴジラの筋を通す

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コザキユースケがキャラクターデザイン原案を務めるアニメ映画「GODZILLA 怪獣惑星」の公開記念舞台挨拶が、本日11月18日に東京・TOHOシネマズ新宿にて行われ、主人公ハルオ・サカキ役の宮野真守、ヒロインであるユウコ・タニ役の花澤香菜静野孔文監督、瀬下寛之監督、虚淵玄が登壇した。

左から静野孔文監督、瀬下寛之監督、宮野真守、花澤香菜、虚淵玄。

左から静野孔文監督、瀬下寛之監督、宮野真守、花澤香菜、虚淵玄。

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「GODZILLA 怪獣惑星」のポスタービジュアル。

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3部作で展開されるアニメ「GODZILLA」シリーズの第1章「GODZILLA 怪獣惑星」。怪獣との戦いに敗れて選ばれた人類が地球を脱出した2048年から2万年経ち、ゴジラを頂点とした生態系による未知の星となった地球を舞台に、人類と怪獣の戦いを描く物語だ。劇場版「名探偵コナン から紅の恋歌(からくれないのラブレター)」を手がけ、シリーズ歴代最高興行収入68.7億円を記録した静野孔文と、アニメ「シドニアの騎士」や劇場版「BLAME!」で知られる瀬下寛之の2人監督体制で制作され、ストーリー原案・脚本は「魔法少女まどか☆マギカ」「PSYCHO-PASS サイコパス」の虚淵玄が担当している。

イベントの様子。

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アニメ版ゴジラの制作が決定したのは3年半前。虚淵は「アニメでやるって言われて、『ゴジラは特撮でしょ』と思って。最初はお断りしようと思ったんです」とオファーを固辞しようとしていたことを明かす。しかし「当時は極秘事項だったんですけど、『特撮は庵野(秀明)さんが作ってます』って言われて。ならやります、となりました。久々の日本産のゴジラになるなら、それがアニメではゴジラとしての立場がないじゃないかと思ったんですが、ちゃんと伝統の特撮のゴジラの最新作が出た後でアニメ……という順だったら筋が通るので」と、特撮映画でのゴジラ最新作を待ち望んでいたゴジラ愛を語った。

そして虚淵は「『絶対すげえ!』と(鑑賞する前から)『シン・ゴジラ』に期待を寄せまくっていて。『シン・ゴジラ』のあとだったら、きっと世の中はゴジラ一色になってるだろうから、きっとゴジラならなんでもありになってる。ならアニメのゴジラでもどさくさに紛れていけるでしょう、と」と冗談めかして仕事を引き受けた経緯を話す。脚本については「たぶん『シン・ゴジラ』はこんな話になるかなって自分なりの予想を作って、『シン・ゴジラ』でやらなそうなゴジラネタだけ拾って作品にしようと思ってできたのがアニメゴジラです。『シン・ゴジラ』はきっと宇宙行かないよな、X星人は出てこないよな、メカゴジラは出ないだろうな、とか考えて、それを片っ端から拾って1本作りました」と明かし、観客を驚かせた。

静野孔文監督、瀬下寛之監督。

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瀬下監督も企画を聞いた当初「アニメでゴジラは無理無理、絶対無理。だって、ゴジラですよ?」とゴジラへの特別な思いを隠さず、「でも庵野さんの『シン・ゴジラ』のあとならいいかなーって」と引き受けた理由を話した。一方の静野監督はゴジラについて「名前くらいしか知らなかった。ちょこちょこテレビでやってるのを5分だけとか10分だけとか……」と驚きの発言。しかし、瀬下監督は「僕も虚淵さんも、作品の最終決定・判断は本当に静野さんに預けました」と言い、虚淵も「その通りです」と首肯する。続けて瀬下監督は「静野さんは、僕らが越えられないゴジラの常識を超えてくれる。例えばある打ち合わせで、『なんでゴジラは口から火を吐くんですか?』って質問したんですよ。そのときの会議が凍りついた感じと言ったら……」と、ゴジラファンは当然として受け入れてしまっていることに疑問を呈す静野監督の姿勢に感銘を受けたエピソードを紹介した。

虚淵も「アニメでせっかくやる以上は、特撮のゴジラを観なかった人に届く作品にしなきゃいけなかった。ゴジラのゴの字も知らない人たちに向けても作らなきゃいけない。ゴジラを知ってる人間だけで作っちゃうと、そのお客さんを置き去りにしちゃうんです」と説明し、「まずネタを静野さんの前で話して、静野さんの顔が強張ったら『ヤベヤベ』と引っ込めて」とゴジラファンにもゴジラを観たことがない人にも面白がってもらえるようにバランスを取っていた様子を語った。

瀬下寛之監督、宮野真守、花澤香菜。

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宮野は好きなシーンを問われると、「収録のときからずっと、地球に降り立ってハルオが泣くシーンが印象に残っていて。ここはプレスコでの収録中、なんでここでハルオが涙するんですかって、結構しぶとく監督陣と打ち合わせしたんです。ハルオの、奥底にある何かが震えて涙が出るわけじゃないですか。ただ泣くわけじゃないし、ただ泣きたくないなって。それを細かく聞いたところ、今後関わってくるストーリー展開や、彼の根幹にあるもの、彼が信じるものだったり育ってきた環境、これから向かうべき場所、彼の精神的にすごく大事なシーンだと理解して」と、収録中のエピソードを披露。これを聞いた瀬下監督は「あそこ、迷ったんですよね」、静野監督も「最終的には第3章まで、すごく大事に生きてくるシーンなので、その演技指導には迷いました」と述懐する。瀬下監督が「宮野さんは僕らが一番迷っているシーンを突いてきて、すごいと思いました。僕らは一応監督なので、『その理由はこうだから』って言うんですけど、その時点ではあんまり答えは出ていなかった。でも宮野さんとやりとして、静野さんとも『やっぱりこうだよな』って答えを見つけていけたんです」と振り返ると、宮野も「あのシーンは楽しかったです。(キャラクターを)作ってるって感じがしました」と笑顔を見せた。

イベントの様子。

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そして、ここで2014年に公開されたハリウッド映画「GODZILLA ゴジラ」の監督であるギャレス・エドワーズからのコメントが到着。「日本における私のお気に入りは2つ。ゴジラとアニメだ。これらがついに合体し、圧倒的なビジュアルを誇るアニメが誕生した。」「ビジュアル的に息を呑むほど素晴らしいアニメ、こんなゴジラは今まで見たことがない。」とのメッセージがスクリーンに映し出されると、宮野と瀬下監督が抱き合う一幕も。瀬下監督は「がんばってきてよかった……。静野さんも唯一観ているゴジラと言ったらギャレスのゴジラで……」としみじみ語ろうとすると、静野監督から「『シン・ゴジラ』も観てます」と冷静なツッコミが入った。

最後に宮野は「ハルオ・サカキという役を一緒に作らせていただき、僕は彼から人としてすごく大事なものをいただいた気がします。それを第1章で皆さんに観てもらったばかり。これから2章・3章と続くのが非常にうれしくて、これからもずっとお付き合いいただきたいです」と語り、イベントは幕を閉じた。

なお第2章のタイトルは「GODZILLA 決戦機動増殖都市」に決定。2018年5月に公開される。

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「GODZILLA 決戦機動増殖都市」

2018年5月全国公開

「GODZILLA 怪獣惑星」

2017年11月17日(金)全国公開

スタッフ

監督:静野孔文瀬下寛之
ストーリー原案・脚本:虚淵玄(ニトロプラス)
シリーズ構成:虚淵玄(ニトロプラス)・村井さだゆき
キャラクターデザイン原案:コザキユースケ
副監督:森田宏幸
演出:吉平“Tady”直弘
プロダクションデザイン:田中直哉・Ferdinando Patulli
CG キャラクターデザイン:森山佑樹
造形監督:片塰満則
美術監督:渋谷幸弘
色彩設計:野地弘納
音響監督:本山哲
制作:ポリゴン・ピクチュアズ
製作:東宝

キャスト

宮野真守櫻井孝宏花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔、三宅健太、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘

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