脚本を今井豊茂、演出を
本日の会見には團十郎、嶋崎のほか、今井、広井、ケント・モリ、田中が登壇した。團十郎は「平安時代に生きた安倍晴明の軌跡は、さまざまな作品を通じて広く知られていますが、歌舞伎は過去に描かれたものを踏まえたうえで凌駕していくところに面白さがあります。今までにない晴明像を、新しい歌舞伎で見せられたら」と話す。また團十郎は襲名披露のため、2022年11月から現在まで古典歌舞伎に取り組むことが多かったことに触れつつ、「『10月に襲名披露を終えたら何か新しいことを』と考えていたタイミングで今回のお話をいただきました。『SEIMEI』を通じて日本人に足りないものを求めたいと思いますし、お客様にとっても私たちにとっても気付きがある舞台を作りたい」と言葉に力を込めた。
嶋崎は、2022年に京都と広島で上演され、脚本・演出を今井、企画・プロデュースを田中が務めた「波濤を越えて」に出演。これに触れて嶋崎は「今井さんや傳次郎さんは、何もわからない僕にいちから動きを教えてくれました。今回は團十郎さんと同じ舞台に立つのでプレッシャーを感じますが、若いエッセンスを生かし、僕の魅力も作品を通じて伝えられるよう稽古を重ねたいと思います」とあいさつした。
脚本の今井は、現段階での構想について「團十郎さんの魅力と、團十郎家に伝わる荒事をベースに、既存のイメージと異なる晴明像を作りたい」と述べ、「晴明自身が積極的に行動する中でミスしたり窮地に立たされたりして、人間としてのおごりが崩れ去り、やるべきことに直面する様子を描きたい。また微妙なバランスで保たれている世の中の平和についても、改めて確認できるような内容にできたら」と意気込みを語る。今井の言葉を受け、團十郎が「晴明の“誕生”の物語ですね! では今後、続編として『SEIMEI』“2”もあるんでしょうか」と言うと、今井も「“1”が成功すればぜひ(笑)」と期待をのぞかせた。
広井は「團十郎さんがいるだけで、舞台に新しい晴明が生まれると思う。今回は“荒事の陰陽道”を舞台でやってみたい」と述べ、「晴明には既存のコンテンツを通じて作られた、“静”のイメージがある。だけど紙の式神を飛ばすような晴明は、ポケモンを戦わせているのと同じで自分が戦うわけではないから面白くない!(笑) 僕としては自分自身で行動して傷付く晴明が見たいし、『自分で動こうよ』と言うメッセージは、今の時代にも必要ではないかと思います」と思いを明かした。
ケント・モリは「僕は安倍晴明について何もわかっていませんが、皆さんのお話を聞いていて自由な“絵”をキャンバスに描いていいんだと思いました」と期待を口にし、「僕は自分の故郷を地球だと捉え、グローバルに活動することを目指してきました。今回は皆さんと“掛け算”をしながら、1ステップに命を懸け、令和の神楽の最高傑作を作り上げたいと思います」と意気込みを述べた。
「波濤を越えて」を振り返り、田中は「嶋崎くんは見た目通りのさわやかな青年。彼の持つ空気は素晴らしく、登場するだけでその場の雰囲気を変えてしまう。これは生まれ持った素質だと思います」と嶋崎を称賛。本作の上演に向けては「さまざまなフィールドで活躍する方々がそろい、まるで“アベンジャーズ”のようなドリームチームになった。楽しみです」と顔を輝かせた。
会見では、團十郎と嶋崎が互いの印象を語る場面も。團十郎は「すごくさわやかで、今どきはこういう若者がモテるのかなと思いました」と嶋崎に視線を向ける。嶋崎は「親戚のおばさんがずっと『團十郎さんの舞台を観てみたい』と言っていたのですが、残念ながら機会がないまま亡くなって……團十郎さんとの共演がとてもうれしいですし、おばさんも團十郎さんと並ぶ僕の姿を今見てくれているかもしれません」とコメント。これを聞いた團十郎は「おばさまのためにがんばろう!」と嶋崎にうなずいてみせた。
会見は終始、和気あいあいとした雰囲気で進行。終盤では團十郎が「皆さんのお話を聞いていたらイメージが湧いた。僕としては、1週間後に初日を迎えても大丈夫です!」と冗談を飛ばし、会場を笑いで包んでいた。
公演は来年2月19日から24日までオリックス劇場、3月1日から23日までTHEATER MILANO-Zaで行われる。チケットの一般販売は12月7日にスタート。
JAPAN THEATER「SEIMEI」Supported by 飯田グループホールディングス
2025年2月19日(水)~2025年2月24日(月)
大阪府 オリックス劇場
2025年3月1日(土)~2025年3月23日(日)
東京都 THEATER MILANO-Za
スタッフ
脚本:今井豊茂
演出:
楽曲:SUGIZO
神楽振付:ケント・モリ
歌舞伎音楽:田中傳次郎
出演
※嶋崎斗亜の「崎」は立つ崎が正式表記。
中村福助 @fukusuke9_
市川團十郎が新たな安倍晴明像を描き出す「SEIMEI」共演の嶋崎斗亜も意気込み語る(会見レポート) - ステージナタリー https://t.co/49GkDtMGL5