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これは、こうの史代のマンガ「この世界の片隅に」(ゼノンコミックス / コアミックス)を原作にしたミュージカル。ミュージカル版では脚本・演出を上田一豪が手がけ、太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の姿が描かれる。会見には浦野すず役の
昆と海宝は5月9日の初日に出演し、大原と村井は昨日の会見後に初の本番を控えていた。司会から「心境を色に例えると何色か」と尋ねられると、昆は「まだ色がない新作だけど、温かみを感じる舞台なのでオフホワイトかな(笑)。初日では、作品の温度感がお客様に伝わるにつれて劇場に一体感が生まれました」と笑顔。海宝も「世界初演という緊張感がありましたが温かく迎えていただきました。1つの色ではなく、お客様のお陰でさまざまな優しいパステルカラーに彩られたと思います」と手応えを語る。
通し稽古のあとに会見に臨んだ大原は「率直な気持ちはオレンジ。昨日の初日を観て、温かい気持ちで劇場を出られる舞台だと感じました」、村井は「通し稽古を終えて驚くほど冷静だったので、青色です。本番に向けて(情熱の)赤を混ぜ、紫色にしたい」と回答する。
アンジェラは日本での活動休止中、ミュージカルの音楽作家を目指してアメリカで学んでいた。4年近くかけて本作の音楽を制作したというアンジェラは「1人でピアノと向き合って作曲してきましたが、演者の声を通して音楽が生まれ変わった。これから毎日違うお客様に舞台を観てもらえば毎公演が違う色に染まるはずなので、“自由の色”ですね」と、劇中歌「自由の色」のタイトルにちなんで思いを口にする。作曲の際に意識したことを問われると、アンジェラは「原作の温かさ、ピュアさを大切にしながら、上田さんの素晴らしい脚本を支える音楽を目指した」と言う。またアンジェラは最初の通し稽古を観たとき、感動のあまりキャストに「お金を取れるよ!!」と伝えたとエピソードを披露し、会見場の笑いを誘った。
稽古場では、アンジェラがピアノで楽曲をアレンジすることがあったという。海宝はこれに触れて「ふとした瞬間に『あのアンジェラ・アキさんがすぐそこで歌っている!』と感動していました(笑)」と明かし、「アンジェラさんがアーティストとして培ってきた感覚と、ミュージカル音楽を勉強されて得た感覚が融合している。そうして生まれた新しい形の音楽が作品にマッチしています」と楽曲の魅力を分析した。
会見では、キャストがお気に入りのシーンを紹介する場面も。水原哲とすずが納屋で過ごすシーンを挙げた海宝は「バックの音楽と、感情の高まりが素晴らしい。この場面が素敵であるほどに、その後に周作が『ムッ』とやきもちを焼く姿が際立つし、良いシーンです」とコメント。村井は登場人物たちがスイカを食べる場面を挙げて「セリフが良くて泣いてしまいます。それにキャストは本物のスイカを食べるんですよ。甘くておいしいです(笑)」と明かした。
最後は出席者を代表して昆、大原があいさつ。大原は「戦争の悲惨さも描かれますが、すずが自分の居場所を探しながら成長する物語でもあります。すず役、周作役の組み合わせによって雰囲気が変わるので、1回と言わず4回観てもらえたら」と観客にメッセージを送る。昆は「原作をミュージカル化する意味を考えながら作ってきました。日本人が作る日本の物語を、全国ツアーで届けられるのもありがたいこと。チケット代は気軽ではないかもしれませんが(笑)、ミュージカルに興味がなかった方にもこの舞台に出会ってもらえたらうれしいです」と思いを述べた。
上演時間は休憩25分を含む約3時間。東京公演は5月30日まで行われ、その後7月28日まで北海道・岩手・新潟・愛知・長野・茨城・大阪・広島で上演される。
ミュージカル「この世界の片隅に」
2024年5月9日(木)~2024年5月30日(木) ※公演終了
東京都 日生劇場
2024年6月6日(木)~2024年6月9日(日) ※公演終了
北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
2024年6月15日(土)~2024年6月16日(日) ※公演終了
岩手県 岩手県民会館 大ホール
2024年6月22日(土)~2024年6月23日(日) ※公演終了
新潟県 新潟県民会館 大ホール
2024年6月28日(金)~2024年6月30日(日) ※公演終了
愛知県 御園座
2024年7月6日(土)~2024年7月7日(日) ※公演終了
長野県 まつもと市民芸術館
2024年7月13日(土)~2024年7月14日(日) ※公演終了
茨城県 水戸市民会館 グロービスホール
2024年7月18日(木)~2024年7月21日(日) ※公演終了
大阪府 SkyシアターMBS
2024年7月27日(土)~2024年7月28日(日) ※公演終了
広島県 呉信用金庫ホール
スタッフ
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(ゼノンコミックス / コアミックス)
音楽:
脚本・演出:上田一豪
出演
浦野すず:
北條周作:
白木リン:平野綾 / 桜井玲香
水原哲:小野塚勇人 / 小林唯
浦野すみ:小向なる
黒村径子:音月桂
白木美貴子 / 川口竜也 / 加藤潤一 / 飯野めぐみ / 家塚敦子 / 伽藍琳 / 小林遼介 / 鈴木結加里 / 高瀬雄史 / 丹宗立峰 / 中山昇 / 般若愛実 / 東倫太朗 / 舩山智香子 / 古川隼大 / 麦嶋真帆 / 桑原広佳 / 澤田杏菜 / 嶋瀬晴 / 大村つばき / 鞆琉那 / 増田梨沙
※7月19日12:30開演回、20日12:00開演回、21日12:00開演回に出演予定だった平野綾は休演となり、代わって桜井玲香が出演します。
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