再生数急上昇ソング定点観測 (2024年8月3週目) [バックナンバー]
米津玄師が「RED OUT」で描いている人物像とは? / YOASOBI新曲は大観衆の声援のように背中を押す
今、盛り上がり始めている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2024年8月16日 18:30 11
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで8月2日から8月8日にかけて集計されたミュージックビデオランキング、および急上昇ランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、先週のこの連載で触れたMrs. GREEN APPLEのスタジアムツアーでの「点描の唄」のライブ映像が15位に。そのほか、
BE:FIRST「Grow Up」from BE:FIRST LIVE in DOME 2024 “Mainstream – Masterplan”
NiziU「BELIEVE」from NiziU Fan Meeting with U 2024 Nizi"U"niversity
27位にランクインしたのは
ME:I「Hi-Five」パフォーマンスビデオ
69位には
Stray Kids「Stray Kids」ミュージックビデオ
70位は
&TEAM「青嵐(Aoarashi)」ミュージックビデオ
日韓の人気ダンス&ボーカルグループの楽曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップ。
米津玄師「RED OUT」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場26位
8月21日にリリースされる
MVを再生すると冒頭で雷が鳴り、ひとけのない夜道の街灯が点いたり消えたりするシーンなど、終始ゾクゾクする不穏さと緊張感が漂っている。そんな中で聴こえてくるのは、同じく危うい雰囲気を放つダークな歌とサウンドだ。Bメロで「今すぐ消えろ 消えろ 消えろ 消えろ 消えろ 消えろ 消えろ」と徐々に声を荒げるように叫び、サビでの「鮮血煌めいて跳ねるスタインウェイ&サンズ」「頭の中で鳴り止まない砕けたバックビート」という衝動的な歌詞へと続く。ちなみにスタインウェイ&サンズとは、“世界三大ピアノ”の1つとされている最高峰のピアノメーカー。
ほかにも「繰り返し夢を見る 夢から目覚めてもそこは夢」や「万感の思いでファンファーレまであとジャスト八小節」といった歌詞があることから、この曲は悪夢を振り払うようにピアノの前で作曲をする人物の姿を描いているのではないかと感じる。MVを観るたびに、曲中の主人公の苦悩や内省的な世界観に何度も引き込まれる。
サザンオールスターズ「恋のブギウギナイト」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場53位
小池栄子と仲野太賀がダブル主演を務め、宮藤官九郎が初めて医療ドラマの脚本を手がけたフジテレビ系「新宿野戦病院」の主題歌「恋のブギウギナイト」のMVが到着した。
同曲はムード歌謡を彷彿とさせる日本ならではの懐かしい歌メロと、エレクトロサウンドという対照的なジャンルの要素を組み合わせたような楽曲だ。MVも同様に、着物姿の女性や提灯が登場する一方で、電飾で文字を表現する令和のネオン街を想起させる演出があったりと、2つの時代性をミックスした映像になっていて、楽曲との親和性が高い。ところどころでセクシーな女性のTバックシーンが盛り込まれていたり、意味深な赤べこが出てきたりとサザンならではの遊び心も楽しめる。
サザンオールスターズ「恋のブギウギナイト」×新宿野戦病院スペシャルコラボムービー
※動画は現在非公開です。
8月8日には同曲と「新宿野戦病院」のスペシャルコラボムービーが公開されており、楽曲に合わせてドラマの象徴的なシーンを振り返ることができるので、合わせてチェックいただきたい。
YOASOBI「舞台に立って」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場64位
8月6日にはYOASOBIのX(Twitter)公式アカウントが、MVの公開を伝えるとともに「原作小説、マンガの世界観に加え、さまざまなスポーツに打ち込むアスリートを描きつつ、見てくださる皆さまが一歩前に踏み出す力をもらえるようにと、たくさんの願いを込めて作りました」と曲に対する思いをポストした。
YOASOBI(@YOASOBI_staff)「#舞台に立って MV公開」
そんな多くの人の手によって生まれたこの曲は、努力を続けた先にある感動をドラマチックに描いた楽曲に感じる。冒頭で「無邪気に思い描いた / 未来の私の背中を / ひたすら追いかけた」という歌詞で、大舞台に立つことを夢見て努力をする“私”をギター1本と歌だけで表現。サビでは「さあ / 待ちに待った舞台に立って / 高鳴る鼓動 挑戦の合図 / 何度も何度も / イメージしてきた / どんな自分も超えてみせる」「そうだ夢に見ていた景色の / 目の前に立っているんだ」と、念願だった場所にたどり着いた興奮と覚悟を見事に描写し、ドラムやベースが重なった盛大なサウンドは、 “私”の背中を押す大観衆の声援のように鳴り響く。
「舞台に立って」は高みを目指してがんばっている人や、目標を達成できずに悩んでいる人、これから大きな挑戦が待っている人など、多くの人が胸を打たれること間違いなしの快作だ。
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- 真貝聡
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ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
hachi* hachi* @jolly_a_cstm
#米津玄師
#LOSTCORNER
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