5人組ガールズグループ・24emotionsの2ndアルバム「24/7」が配信リリースされた。
音楽ナタリーでは昨年夏、1stワンマンライブ開催のタイミングで彼女たちにインタビューしたが、そこから現在に至るまでの約1年間の活動は平坦な道のりではなかった。初期メンバーの脱退や休養、2ndワンマンの延期、新メンバーの加入と脱退……多くの困難を乗り越え、現在の24emotionsの集大成としてリリースされたのが「24/7」だ。メンバーにこれまでの活動を振り返ってもらいつつ、アルバムについて話を聞くと、12月に卒業が決まっているアメイズド・ハルナをはじめ、涙とともにそれぞれの胸中が語られた。
取材・文 / 真貝聡撮影 / 佐々木康太
精神的につらい1年間だった
──24emotionsは去年3月にステージデビューしたあと、メンバーの脱退が続いたり、サクラさんがフィジカルとメンタルの不調で休養したりと、かなりの紆余曲折がありました。そんなさまざまな困難を乗り越え、今年8月には現体制で2ndワンマンを開催しましたが、どんな気持ちでライブに臨まれたのでしょうか?
スーパーハッピー・サクラ 私は6月から8月の中旬くらいまで活動を休止していまして。2ndワンマンの直前に復帰をしたんですけど、どうしても心と体が追いつかなかったり、パフォーマンス面でも「4人に追いつかなきゃ」と焦っていたり、とにかく不安が大きかったんです。そんな中で合宿をやって、すごくキツかったし「もう嫌だ」と何度も思ったんですけど、ワンマンの準備期間を通してメンバーとの距離を今まで以上に縮められたと思います。いろいろなものを凝縮したキツい期間でしたが、なんとか前に進むことができてよかったです。
──不安を感じていた中、メンバーから言われて励みになった言葉はありましたか?
サクラ あの……私がよくないんですけど、最初はメンバーに対して心を閉ざしていたので、みんなが声をかけてくれても素直に受け止めることができなくて。4人も気まずかったと思います。それが時間とともにグラデーションのようにだんだんと変わっていって、合宿を通して苦楽をともにしたことで、気付いたら心の壁がどんどん壊れていきました。言葉というより、メンバーがそばにいてくれたことが励みになっていたし、「私には一緒にがんばっていく子たちがいるんだ!」と思えたことが大きかったです。
セレニティー・クルミ 今年の初めからいろいろあって、3月頃に7人体制で再スタートをしたんですけど、ずっと不安定な状況が続いていて。6月にやっとメンバーがそろう日が来たら、サクラちゃんが体調を崩してしまい、その後もメンバーの1人が脱退して「4人でワンマンライブに臨もう」ということになり、その修正も本当に大変でしたね。サクラちゃんがリードボーカルを務める曲が多いので、それを4人体制のパフォーマンスに変更するため、振りを入れ直したり歌割りを調整したりする必要があって。みんな口には出さなかったけど、各々がかなりキツい時間を過ごしていました。そんな中でサクラちゃんが復帰して、再び5人体制としての歌やダンスを覚えることになったから、私も覚え直すのが大変だったのと、気持ちの整理も追いつかなかったです。
──短期間で状況が二転三転しましたからね。
クルミ それに、サクラちゃんが言った通り、私たちとサクラちゃんの壁をなくすという課題もあったんです。サクラちゃんは休養した罪悪感を強く感じてしまっていて、こちらから話しかけても大きな壁がありました。でも、ワンマンの本番が近付くにつれて壁が薄くなっていったのがうれしかったですし、最終的には「この5人で最高のステージを見せよう!」といういい空気を作ることができて。これまでのつらかった期間を忘れるくらいのライブになったので、結果よかったなと思いました。
アドレイション・スエカ 自分は新メンバーとして今年3月に加入したんですけど、そこから半年の間にいろんなことがありました。一緒にがんばろうと思っていた同期の仲間が途中でいなくなって、正直いっぱいいっぱいでした。それに初期メン4人との“1年間の溝”を自分は一生埋められないだろうなとずっと思っていて。過ぎた時間をスエカは一緒に過ごすことができない。それを受け入れて活動していたんですけど、やっぱり孤独を感じてしまうことが多かったんです。ワンマンライブを機に単なる新メンバーじゃなく、ちゃんとメンバーの1人として認めてもらえるようにがんばりたいと思いました。でも、合宿中に悔しくて1回爆発しちゃったんです。そのときにメンバーが自分のことを受け止めて理解しようとしてくれて。ワンマンを終えて、改めて自分は24emotionsのメンバーだと実感できた。自分の中でモヤモヤしていた気持ちがスッキリしました。
ピースフル・ユラ 去年8月の1stワンマンが終わったあと、メンバーが増えたり減ったりして精神的につらい1年間でしたけど、2ndワンマンでは最高の景色が見られると信じて、1人で夜までフライヤーを配ってました。でも、ファン以外の人から心ないことを言われちゃうことも多かったりして、一時期は「もういい!」と自暴自棄になっちゃってました。ただ、そんな中でもどんどん進んでいくから……。
アメイズド・ハルナ 時間はね。
ユラ そう、時間は止まらないから。ここで足を止めてしまったら自分は何も成長できないと思って。「今を生きる!」と開き直り、ワンマンライブに臨みました!
活動している意味がわからなくなってしまった
ハルナ そもそも2ndワンマンは、今年の1月26日にやる予定だったんですよ。でも、年始に初期メンバーの1人が脱退することになって。予定していたワンマンが中止になり、メンバー自身も改めていつ開催できるのかわからず、どこにモチベーションを向ければいいのかもわからないまま活動をしていました。その後8月26日にワンマンができることが決まり「よし! そこに向けてがんばろう」と思っていた中、3月にスエカちゃんを含めた新メンバー3人が入ってきてくれて。年始から4人で活動していたから、人数が増えたことで新しい24emotionsの形が見せられるんじゃないかなって、すごくワクワクしていたんです。だけど、現実はそう簡単にはいきませんでした。メンバーが次々と脱退していく中、ここでは言えないくらい本当にいろんなことがあって。ハルナは自称“ポジティブ人間”なんですけど、なんか……7月後半ぐらいからワンマンまでがしんどすぎて、で……ちょっと待ってくださいね。(目を赤くして)ははは、そういうのじゃないもんね。
クルミ ううん、そういうのだよ。
サクラ もう全部吐き出してしまおう。
──ゆっくりで大丈夫ですよ。
ハルナ (涙を拭いながら)すみません。センターの自分が24emotionsの顔としてがんばっていかなきゃいけないという思いもありつつ、やっぱり本当にしんどくて。応援してくれてるファンのみんながいるからがんばろうと自分を奮い立たせていた部分はあったんですけど、8月の中旬ぐらいに1回その糸がプツンと切れてしまったんです。なんのためにダンスを始めて、なんのためにここに入って、なんのために日々対バンライブに出てるんだろうって。自分が活動している意味がわからなくなってしまいました。でも、リーダーであった自分がみんなを引っ張っていかなきゃいけない。メンバーにも相談できなかったし、事務所の方たちにもファンのみんなにもその悩みを言ってなかったから、本当にワンマンライブを迎えられるかが心配で。だけど、自暴自棄になっている姿をメンバーに見せたくなくて……。
ユラ ……うん。
ハルナ とはいえ、ファンのみんなは2ndワンマンを本当に楽しみにしてくれていて。辞めたいと思っても、どうしてもファンのみんなの声が自分の心に入ってくる。「こういうアーティストになりたい」「こんなアイドルになりたい」という夢が、いつしか自分だけのものじゃなくて、みんなと一緒に叶えるものになっているんだなと思ったら、こんなところでへこたれてはダメだと思ったんです。サクラちゃんが言っていたメンバー間の壁もあったけど、そんなことで悩んでいる暇なんかないなと。とにかく8月26日のワンマンを成功させることだけに集中して、やり切ろうと覚悟を決めて挑んだ。そしてライブ当日に会場の景色を見たときに「ああ、本当にがんばってよかったな」と思えたんです。
──ライブの映像を観ると、ファンの皆さんがメンバーに温かい言葉を投げかけていて、本当にいい雰囲気のステージでしたよね。
ハルナ 最高でした! 今ではサクラちゃんと壁があったことも笑い話にできるし、つらかったことも「そんな時代もあったよね」みたいな感じで話せるから、自分たちが大きく成長できたタイミングだったと思います。
クルミ 去年よりも私たちを応援してくれる人が増えたし、活動してきた1年間は無駄じゃなかったということが目に見えてわかってよかったです。それと同時に現状に満足せず、覚悟を決めてこの活動をやらなきゃと思った瞬間でもありました。
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ハルナ卒業に対するそれぞれの思い