ドキュメンタリー映画「谷口善太郎 たたかう小説」が、5月29日より東京・Stranger(ストレンジャー)ほか全国で順次公開されることが決定した。配給は京都映画センターが担う。
本作は、戦後“たにぜん”の愛称で親しまれた政治家・谷口善太郎の青春と、作家時代の知られざる苦闘をたどる評伝ドキュメンタリー。第1次世界大戦後、日本が中国侵略戦争に向かって突き進む中、非合法で結党された日本共産党に入党した谷口は、労働運動や革命運動に身を投じる。しかし戦争へ反旗を翻す思想や革新的風潮は苛烈な弾圧にさらされた。1928年には三・一五事件により逮捕され、野蛮な拷問によって獄中で瀕死の状態となった末に仮釈放される。やがて、プロレタリア作家同盟の小説家・貴司山治の勧めにより小説執筆活動への転身を決意。1931年に「須井一」のペンネームでプロレタリア小説の作家としてデビューするのだった。
映画では、谷口の人生を研究者や市民、関係者への取材によって映し出す。監督を務めたのは「サバイバルファミリー」「カツベン!」などでプロデュースを手がけてきた土本貴生で、今回が初監督作となる。また
ひと足先に本編を鑑賞した小説家の中島京子は「治安維持法下で書くために、筆名を二度も変え、逮捕や拷問を生き延びて、戦後は国会議員になったという。そのパワーに圧倒された」とつづる。現代詩作家の荒川洋治、小説家の柳広司、そして監督・土本のコメントは後掲した。
なお本作の上映に伴う宣伝費や配給に関わる経費を募るクラウドファンディングが、5月末までMotionGalleryにて実施中だ。
ドキュメンタリー映画「谷口善太郎 たたかう小説」予告編
土本貴生 コメント
只々、谷口善太郎の生きた証と小説の魅力を懐古情緒たっぷりに記録しておこうと思いました。しかし、あまりにも現在と見紛う景色が見え隠れして愕然としています。戦前からの100年余の歴史が地続きで現在に続いている実感をあらためて共有したい。
荒川洋治(現代詩作家)コメント
谷口善太郎の文学は文章をいのちとした。心をみたし、うるおすことばで形成された。
それはたとえ一つの時代が消え失せたあとも、読む人の心の中にとどまる。
柳広司(小説家)コメント
二つのふるさとを胸に困難な時代を生き抜いた谷口善太郎を描いた本作が、闇の中に灯る希望の光となることを、心から願っている。
中島京子(小説家)コメント
谷口善太郎、ぜんぜん知らなかった! 親兄弟のために働かねばならず婚期を逃す農村の娘とか、貰いたてのお給金を「国防基金」に供出させられた女工さんなどを描いた、男性プロレタリア作家がいたなんて。治安維持法下で書くために、筆名を二度も変え、逮捕や拷問を生き延びて、戦後は国会議員になったという。そのパワーに圧倒された。
映画ナタリー @eiga_natalie
“たにぜん”こと谷口善太郎のドキュメンタリー公開、プロレタリア小説家時代の姿に迫る(予告映像 / コメントあり)
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