映画館サブスク制を導入、ミニシアターCineMaliceが12月19日に誕生

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ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」が12月19日に東京・千代田区の神保町・御茶ノ水エリアに誕生。こけらおとし作品としてマレーシアの映画監督タン・チュイムイが手がけた「私は何度も私になる」が上映される。

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」ロゴ

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」ロゴ

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地下鉄・神保町駅から徒歩約3分、JR御茶ノ水駅から徒歩約6分の場所にオープンするCineMaliceは、2スクリーンを備えた合計130席程度のミニシアター。「小規模でも良質な映画」「さまざまな国の多種・多様な映画」「新たな映画体験となるような斬新な映画」「本国では大規模上映しているが日本ではそうではない海外の映画」「インディペンデント映画」を上映するという方針にもとづき、さまざまな映画体験を観客に提供していく。

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」シアター1イメージ

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」シアター1イメージ [拡大]

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」シアター2イメージ

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」シアター2イメージ [拡大]

シアター1ではロードショーおよび特集上映、シアター2では準新作や旧作の上映を実施。シアター2には対象作品が見放題となるサブスク制が導入される。月額税込2500円、年額税込2万2000円で、1カ月に観られる映画作品は4から6、年間50程度の予定となる。

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」外観

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」外観 [拡大]

支配人を務めるのはこれまで映画業界とは無縁の仕事をしてきた稲田良子。長年通っていた東京・飯田橋ギンレイホール、岩波ホールが立て続けに閉館した一方で、新たに誕生するミニシアターがあることを知り、開業に向けて動き出した。稲田が飯田橋ギンレイホールの年間パスポートを利用し、自身が選ばない作品に出会ったことで新たな体験や価値観を得ることができた経験から東京都内で唯一となるサブスク制を導入することになったという。

劇場のロゴを手がけたのはYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の企画やクリエイティブディレクションを担ったことなどで知られる清水恵介。リスのロゴマークは書籍「日常蒐集録『ねずみ絵日記』」のジンボアユミがデザインした。Maliceは、フランス語で「茶目っ気・いたずら」という意味を持っている。

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」ロゴマーク

ロードショー・映画館サブスク制のハイブリッド型ミニシアター「CineMalice(シネマリス)」ロゴマーク [拡大]

このたび著名人の応援メッセージも到着。元岩波ホールのスタッフで画家や絵本作家として活動するはらだたけひでは「岩波ホールは神田・神保町という個性豊かな街とともにあり、神田・神保町に守り育てられてきたともいえる。そして今、街も時代も大きく変わりつつあるなか、シネマリスが同じ界隈に新たに誕生し、映画館の灯火を守り続けようとしている。その志に感銘を受ける」と語った。映画評論家・映画監督の樋口尚文、映画俳優・川瀬陽太のコメントは後述している。

CineMalice(シネマリス)基本情報

開館予定日:2025年12月19日(金)
住所:東京都千代田区神田小川町三丁目14番3号ilusa(イルサ)B1F

シアター1

座席数:67席(予定)
スクリーンサイズ:2.3m×5.5m(予定)
デジタル映写:NEC NC603L
音響:7.1ch / Meyer Sound ULTRA-X40(メインスピーカー)

シアター2

座席数:64席(予定)
スクリーンサイズ:1.9m×4.5m(予定)
デジタル映写:NEC NC603L
音響:7.1ch / Electro-Voice TS940S(メインスピーカー)

はらだたけひで(画家 / 絵本作家 / ジョージア映画祭主宰 / 元岩波ホールスタッフ)コメント

岩波ホールは1968年より、野上彌生子氏の「神田の一郭に文化、芸術の、可愛く小さいが、どこにもない独特の花園を」という言葉を胸に、半世紀以上にわたり活動を続けて2022年に閉館した。その間、岩波ホールは神田・神保町という個性豊かな街とともにあり、神田・神保町に守り育てられてきたともいえる。そして今、街も時代も大きく変わりつつあるなか、シネマリスが同じ界隈に新たに誕生し、映画館の灯火を守り続けようとしている。その志に感銘を受ける。ジョージアの映画人が語っていたが、映画は物語と映像だけではない。繋がりなのだ。時を越え、海を越え、言葉を越えて、未知の人の物語に自分を見出し、わたしたち人間はみな同じであると少しずつ気づくことなのだ。シネマリスの未来に幸あれ。

樋口尚文(映画評論家 / 映画監督 / 神保町「猫の本棚」オーナー)コメント

わたくしの大好きなダニエル・シュミットという映画作家の「ラ・パロマ」という傑作では、謎めいた高級キャバレーで「想像の力」という夢幻的出し物が演じられる。まさに人を最も豊かに満たすものは「想像的」であることだ。本を読むことは、自分の心のなかの宇宙に旅すること。この「想像的」な愉悦を味わえるひとは、実際の世界旅行や、はたまた月旅行よりも深い楽しみを得られるのである。
そういう意味では、世界最大の古書店街である神保町は、世界で最も幸福の種子に満ちた街だと言えるだろう。わたくしはその魅力にとらわれて、もう半世紀も神保町に入り浸り、ついにはこの街で書店まで開いてしまった。そして、もうひとつ本に似た無類の愉しみを与えてくれるのが映画だ。映画も1秒24コマのページをめくり続ける「本」としてわたくしたちを「想像的」な至福にいざなってくれる。本と映画に耽けり、それらをひきたてるとびきりのコーヒーとカレーを味わう。そんな神保町ならではのこころの愉しみは、いかなるバブリーな遊びよりも無敵である。
そんなわけで、この本となじみ深い映画をもっとこの神保町で観られたならば。そう妄想するのは容易で、実は映画館を開業するには際限なくお金もかかるし、さまざまな面倒な法規をクリアしなくてはならない。そのややこしいハードルを超えて、酔狂にもこの神保町で隠れ家めいた瀟洒な映画館を開こうという支配人ご夫妻と出会った。神保町をめぐる愉悦は、このご夫妻のクレージーな思いつきによっていよいよ蠱惑的なものになるだろう。この地につどう「想像」の住人たちは、ぜひとも共犯の狼煙をあげられたい。

川瀬陽太(映画俳優)コメント

この度、東京は神保町に新たなミニシアターが産声を上げようとしています。シネマリスという劇場は、決して活況とは言えない映画館を取り巻く状況の中、2スクリーンの帆をパンパンに張って大海原へ船出をしようというのです。心配だってするけれど、それ以上にどんな作品たちが映されていくのだろうという期待がムクムクと湧き上がってしまいます。シネマリスは映画を愛する皆様の追い風を欲しています。是非、応援のほどを宜しくお願い致します。

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読者の反応

中井 圭 @nakaikei

稲田支配人がギンレイホールに年パスで通っていた体験が大きい、というのはその通りなのだと思います。自分で映画を選ばずに映画館が映画を選び、それをひたすら浴びるというのは、映画の経験としてめちゃめちゃ重要だと思います。取材したいミニシアターですね。 https://t.co/C108DYhr8v

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