閉鎖的な空間である刑務所は、受刑者同士の対立、刑務官との関わり、家族や残された者たちとの葛藤など、一般社会よりも濃厚な人間模様が渦巻く場所だ。本作では、さまざまな事情を抱えた受刑者たちと彼らの更正に尽力する刑務官たちの姿を通して、希望と再生が描かれる。また熱き刑務官が1人の受刑者にかけた“ささやかな温情”が、やがて刑務所全体を揺るがす大事件へと発展していく。
物語の中心人物は、実直で情熱あふれる若き刑務官・宗片秋広(むなかたあきひろ)と、冷静沈着な上級刑務官・火石司(ひいしつかさ)。「受刑者に生きる希望を与えることが看守の使命」という流儀を貫く宗片と、顔に一筋の傷が刻まれ謎めいた火石は、太陽と月のようにぶつかりながら、刑務所内で巻き起こる事件の真相に迫る。
脚本はドラマ「華麗なる一族」「スカイキャッスル」や映画「そして、バトンは渡された」「月の満ち欠け」を手がけてきた橋本裕志が担当。監督は映画「神様のカルテ」シリーズや「法廷遊戯」、ドラマ「星降る夜に」の
宗片役の竹内は、クランクイン前に実際の刑務所を見学したという。「演じる上で大きな財産になりました」と述べ、「深川監督の演出が面白く、“こんな角度のアイデアもあったんだ!”と毎日驚かされました。そこに自分が作り上げてきた人物像を織り交ぜて、日に日に役としての厚みが増していく実感が楽しく、撮影は充実していました」と振り返る。
火石役の木村は「社会からはみ出してしまった受刑者が多い中、“人間とは何か”という認識を刑務所で新たに構築してもらうことが仕事なのだと感じました。それがどれだけ繊細で重い任務なのか…。この作品は受刑者たちだけではなく、彼らの背中を押して見送る刑務官たちの物語。たくさんの人間模様が描かれているので、温かい気持ちで見ていただけたら」と視聴者に呼びかけた。2人のコメント全文は以下に掲載している。
テレビ朝日ドラマプレミアム「看守の流儀」
テレビ朝日 2025年6月21日(土)21:00~
竹内涼真 コメント
出演が決まったときの心境
受刑者を描いた映画やドラマは数多く見てきたのですが、刑務官を描くストーリーはなかなかイメージができませんでした。でも原作を読んで、その後、脚本も読ませていただいたら本当に興味深くて…。刑務官の世界をどう魅力的に描けるだろうかとワクワクしました。
宗片秋広を演じた感想
深川監督の演出が面白く、“こんな角度のアイデアもあったんだ!”と毎日驚かされました。そこに自分が作り上げてきた人物像を織り交ぜて、日に日に役としての厚みが増していく実感が楽しく、撮影は充実していましたね。
撮影前に実際の刑務所を見学した感想
とても清潔でした。厳しい規則もあるとは思うのですが、風通しがよくて光も当たっていて、規則正しく健康的に過ごすということをいちばんに考えられている場所だな、と…。受刑者の方が工場で作業しているところなど間近で拝見させていただいたほか、所長さんにもお話を聞くことができ、撮影前に実際の場所を見ることができたということは、彼を演じる上で大きな財産になりました
所長さんがおっしゃっていたのは、刑務所にとっては“何も起きない1日”こそが“いい日”なのだということ。だから、“実は刑務所はつまらないところなんですよ”、と…。そこを大前提として僕らはどう面白い作品を作るべきか、ものすごく考えさせられました。リアルな部分と、作品として面白い部分をどう織り交ぜていけるかが勝負だなと感じました。
印象的なシーン
たくさんありすぎて、ひとつに絞るのは難しいですね…。でもとにかく、舞台となる刑務所のセットが素晴らしい。あとは刑務官ならではの話し方でしょうか。中でも、上司に報告を行うシーンは、かなりインパクトがあると思います。僕らもこの発声に慣れるまでにはずいぶん時間がかかって何回ものどを潰したのですが、とてもユニークなのでそこも楽しみにしていただけたらと思います。
木村文乃との共演について
木村さんが演じる火石は、超エリートで冷静な刑務官。普段、カメラが回ってないときの木村さんと火石を演じているときの印象が、まったく違うんですよ。木村さんにとってもこれまでにない役だったのではないでしょうか。宗片は火石指導官に挑み、彼女から何かを引き出そうとぶつかっていく役なので緊張感あふれるシーンが多かったのですが、火石は制帽を深く被っていて、なかなか目が合わないんです。どうやったら目が合うかな、と駆け引きしながら演じることができて楽しかったですね。たまに目が合うと、ドキッとしました(笑)。
視聴者へのメッセージ
撮影現場もすごく充実していて、今まで見たことがない新しい作品ができたのではないかと思います。刑務官というなかなか描かれない仕事を一生懸命表現したので、見ていただけたらうれしいです。
木村文乃 コメント
出演が決まったときの心境
お芝居から少々離れていたタイミングだったので、京都の撮影所で長い撮影に挑むことや、今まで演じたことのない刑務官という役柄に不安もありました。でも、深川監督とは以前からお仕事をご一緒させていただきたいと思っていたので、深川さんがいらっしゃるなら意地でも立っていかねば、という思いで出演を決意しました。
脚本を読んだ印象
まず原作を読ませていただいたのですが、とても面白くて引き込まれました。刑務所という非日常のお話なのに、どこに生きてる人たちよりも人間味のある人たちが詰まっていて…。それが脚本になったとき、そこに脚本家や監督が思いをひとつひとつ積み上げていった時間が感じられ、原作のよさを残しながら、映像化ならではのよさが加わって作品が出来上がっていく楽しさをじわじわと実感しました。
火石司役を演じた感想
火石はものすごくIQが高い人。悲しいかな、勉学という面では気が引けてしまうところがたくさんありました(笑)。彼女は刑務官の中でも特別な試験をパスしないとなれない立ち位置の人物で、普通の会話でも相手の二手、三手先を読み、いくつもの選択肢を選びながら話をするので、いつもどこか遠くを見ながら言葉を発するんですよね。“目を見て話したい”、“まっすぐ伝えたい”という気持ちを抑えてお芝居しなければならず、それがすごく難しかったですね。竹内さんとの共演シーンは、彼の胸のあたりを見て話すようにしていたので、よく「目が合いませんね」と言われましたね(笑)。実際、竹内さんのホクロを目だと思って演じていました(笑)。
竹内涼真との共演について
竹内さんは、とても人懐っこい方。「なぜ?」と疑問に思ったことはとことん追求されるのですが、その姿が、どこかかわいらしいんです。スタッフのみなさんも同じように思っているんだろうなという瞬間が、多々ありました。重いシーンもある中、常に朗らかに現場に立ってくださり、長ゼリフのときに笑って和ませてくださるところは、さすが“座長”でした!
視聴者へのメッセージ
刑務所というと、“悪い人を閉じ込めておく”、そして“更生させる”というイメージが強いと思いますが、更生させるためにはそれに向き合う人たちが不可欠です。そもそも社会からはみ出してしまって入所してきた受刑者が多い中、 “人間とは何か”ということを新しく構築してもらうことが仕事なのだと感じました。それがどれだけ繊細で重い任務なのかということが、この作品で伝わるのではないでしょうか…。
この「看守の流儀」は、受刑者たちではなく、彼らの背中を押して見送る人たちの物語。たくさんの人間模様が描かれているので、温かい気持ちで見ていただけたらと思います。
映画ナタリー @eiga_natalie
竹内涼真と木村文乃がSPドラマ「看守の流儀」で初共演、“太陽と月”のような刑務官に(コメントあり)
https://t.co/uXzXFi8nMN
#看守の流儀 https://t.co/YO7CpTKl94