SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024の国内コンペティション長編部門で優秀作品賞を受賞した村田陽奈の監督作「折にふれて」が、5月31日から6月6日にかけて東京・K's cinemaで上映決定。このたびキービジュアル、予告編、場面写真、併映作品が一挙解禁された。
京都芸術大学映画学科の卒業制作として9人の学生が中心となって制作した「折にふれて」。主人公は、20歳になるタイミングで一人暮らしをすることになった“ふみ”だ。おせっかいな父と、10年間部屋に閉じこもったままの兄むっちゃんを残していくことが気がかりな彼女は、ある日、日が沈まない不思議な街に迷い込み、むっちゃんと邂逅する。本作では刺繍や扉といった要素を印象的に使い、画面サイズを自在に変化させる演出でふみを取り巻く2つの世界が表現された。
ふみを本田朝希子、父を
併映されるのは、村田が2021年に制作した15分の短編「水魚の交わり」。登下校をともにしている中学3年生の魚住と水城の日常と変化が描かれた。キャストには岸水小太郎、細井春平、寺田、上野翔剛、鈴木一博が名を連ねている。
映画「折にふれて」予告編
本田朝希子 コメント
私には、10歳も歳が離れた兄弟も会社員の父もいるわけでもなく、母が亡くなっているわけでもありませんが、ただ、紛れもなく「ふみ」でいれた、そんな作品でした。何もできないもどかしさ、いらだち、周りの無関心さ、見せられない弱み、誰しも抱いたことがあるであろう痛みが垣間みえます。
“家族”という、時に苦しい鎖のようなもの、しかしそれは、各々が相手を想っているからこそでもあり、でも言葉にしないと縺れてしまう。でもその縺れを解き、不器用なりにも縫い合わせたいふみが愛おしいです。シーンの一つ一つが、ふみの心や想いや思い出に繋がっていて、きっと観客の方々の人生の記憶のどこかにも繋がる所があるのではないでしょうか。「大事な人を想う」常日頃四六時中それを意識しているわけではありませんが、観るたびに“折にふれて”それを思い出してもらえる、そんな作品になることを願っています。
豊山紗希 コメント
「折にふれて」は私たちの卒業制作として愛を込めて作った映画です。卒業し、社会に出て改めてこの作品に触れた時、ふみとむっちゃんの存在、日の沈まないまちの存在は、あたたかく心地よいと感じました。
友達や家族、環境など、縁が強いものは救いにもなるし、心を蝕んでくることもあると思います。自分自身を大切にするために、ひとりでいること、時間を無理に進めないことは必要なことがらで、そうして呼吸を整えた時、改めて向き合えると思うのです。この映画が、あなたが立ち返るきっかけになりますように。たくさんの人の心に届きますように。
水上竜士 コメント
主人公・ふみの家族は少し歪である。10年間家族の誰にも顔を見せない兄、引きこもりの兄への罪滅ぼしのように妹にお節介を焼く父親、そしていつも笑い続けている仏壇の中の母。だがこうした家族の関係はおそらく有り触れた事だろう。むしろ円満な、悩みや苦しみを誰も抱えない家族を探し出す方が難しい時代かもしれない。主人公・ふみは実際に見た事のない兄と四六時中一緒にいて、浜辺で遊び、海の家で食事をして、生きていることを確かめ合う。全てふみの妄想の中なのだ。
だから兄は兄のようでありながら女性みたいな背格好だし、街は街のようでありながら異次元にでもいるかのようなのだ。しかし映画は妄想を行き来しながら現実世界とシンクロし、時間を前へ前へと押し進めていく。この映画には「不思議な世界観」という言葉で済ませられない執着がある。「生きること」への強いメッセージ性を感じずにはいられない。
村田陽奈 コメント
ほんの5年前までは、わたしが映画を監督し、いろんな人に見てもらえることになるとは、想像もつきませんでした。大学で映画と出会い、こんなにも広く、深い世界があること、そしてそれを生み出すことの果てし無さを知りました。同じくそこで出会った同志たちとともに、ひたむきに、すべてを込めてつくりました。
社会人となり、目まぐるしく日々は過ぎ去り変わって行っても、あのときにしかなかったきらめきは確かに映されていました。10年後にはもう目も当てられないくらい眩しく見えても、ふり返った時に心強い存在になるのだろうなと思います。前に進んでいくためにも、一人ひとりに手渡していくような想いです。新たな出会いのきっかけとなれば幸いです。
水上竜士の映画作品
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おおとも ひさし @tekuriha
村田陽奈の監督作「折にふれて」1週間限定上映、SKIPシティ映画祭優秀賞の長編 - https://t.co/D3aKZi7iV1