ヴィム・ヴェンダースが出演した劇場未公開作品を届けるプロジェクトが発足

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ヴィム・ヴェンダースが出演・ナレーションを担当した劇場未公開作品「ドリーム・アイランド ─ヴィム・ヴェンダースの失われた夢」をデジタルリマスター化し、世界へ届けるプロジェクトが発足。Motion Galleryでクラウドファンディングが開始された。

「ドリーム・アイランド ─ヴィム・ヴェンダースの失われた夢」ビジュアル

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「ドリーム・アイランド ─ヴィム・ヴェンダースの失われた夢」場面写真

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本作は、ヴィム・ヴェンダース監督作「夢の涯てまでも」で使用されなかった約100分間のシークエンスをもとに、東京を舞台として作られたアートフィルム。恋人を失った女性、街中の音を拾い集める男、そして観察者(ウォッチャー)と名乗る人物の姿などが映し出される。ヴェンダースのほか、主なキャストにスー・ダック・リー、フミコ・オブセ、仲田英樹、仲田大記が名を連ねた。

「夢の涯てまでも」レーザーディスクのパッケージ画像(左)と「ドリーム・アイランド」のクレジット(右)

「夢の涯てまでも」レーザーディスクのパッケージ画像(左)と「ドリーム・アイランド」のクレジット(右)[拡大]

「ドリーム・アイランド」ではヴェンダース自ら編集を担い、自身が12歳の頃に撮った8mmフィルムの映像も使用されている。監督はショーン・ノートンが担当。1993年に発売された「夢の涯てまでも」のレーザーディスク版に特典映像として収録されたが、現代ではほかに観る術がなかった。

「ドリーム・アイランド ─ヴィム・ヴェンダースの失われた夢」出演者らと写真に収まるヴィム・ヴェンダース(下)

「ドリーム・アイランド ─ヴィム・ヴェンダースの失われた夢」出演者らと写真に収まるヴィム・ヴェンダース(下)[拡大]

倉庫で見つかった「ドリーム・アイランド ─ヴィム・ヴェンダースの失われた夢」オリジナルテープ

倉庫で見つかった「ドリーム・アイランド ─ヴィム・ヴェンダースの失われた夢」オリジナルテープ[拡大]

本プロジェクトの共同代表は、「ドリーム・アイランド」の撮影監督である仲田能也の娘・早織。彼女はヴェンダースが手がけた「PERFECT DAYS」に映し出される東京を見たことで、幼少期に父と何度も観ていた「ドリーム・アイランド」を思い出したという。そして仲田早織は、同作をもう一度観れないかと「夢の涯てまでも」のアソシエイト・プロデューサーである御影雅良に相談。紆余曲折を経て、失われたと思われていたオリジナルテープや16mmフィルムを見つけ出した。

仲田早織は「クラウドファンディングが成功した暁には、どのようにして『ドリーム・アイランド』が制作されたのかを探るドキュメンタリーを制作予定です。また、海外の映画祭への出品にもチャンレンジしたいと思っています」と展望を明かしている。

仲田早織 コメント

私の父は「ドリーム・アイランド」の撮影監督をした仲田能也です。私がまだ幼い頃、父は毎晩のようにこの作品を観ていました。その鑑賞タイムに何度も付き合わされていた私は「この不思議な映像はなんなのだろう?」と思ったのを覚えています。父はフィルム時代に生きてきた人間で、フィルムとデジタルの転換期に踠き、この作品から何かを導き出そうとしていたのかもしれません。残念ながら父は2013年に66歳で亡くなりました。
時は流れ2023年。ヴェンダースは再び、東京を舞台にした「PERFECT DAYS」を発表します。公開を待ち侘びていた私は、「PERFECT DAYS」に映し出される東京の下町のシーンを観て、あの時観ていた「ドリーム・アイランド」を思い出しました。そして、象徴的に描かれている夢のシーンを観て、ヴェンダースが「夢」をどのように捉えているのか気になって仕方がなくなりました。さらに「ドリーム・アイランド」ではどのように「夢」が描かれていたのか、そして今は亡き父がどのような気持ちで「ドリーム・アイランド」と向き合っていたのかを知りたくなったのです。
しかし手元にはメルカリで手に入れたレーザーディスクしかなく、「ドリーム・アイランド」を観る術がありません。よく父からお名前を聞いていた「御影さん」なら、この作品のデータを持っているのではないかと思い、御影さんのお名前をネットで検索すると、東京都写真美術館で5時間版の「夢の涯てまでも」(ディレクターズ・カット)が上映され、御影さんがトークイベントをされるという情報が目に飛び込んできました。私はこれしかない!と思い、御影さんに会いにいきます。
御影さんは私の突然の訪問にとても驚き、私が父によく似ていると喜んでくださいました。「ドリーム・アイランド」が観たい!と相談したところ、「VHSをヴェンダースに貸してしまったから、他にデータがあるか分からないが自宅を探してみるよ」と言ってくださり、その日は連絡先を交換して別れました。その後、御影さんから「DVDのコピーが見つかった!」と連絡があり、同時期に中目黒のN&A Art SITEで開催されていた「ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし」展で再会。DVDのコピーを貸してもらうことができました。
30年ぶりに観た「ドリーム・アイランド」は衝撃的にアーティスティックで、ヴェンダースを知る上でとても貴重な作品であると共に、ヴェンダースが思い入れのある東京で生まれた私たちが後世に残し、世界に発信しなければならない作品であると確信しました。そして、父が切り取った映像を観て、久しぶりに父を近くに感じ、やはり当時の父の気持ちに触れたくなりました。そのためにもヴェンダースに会って、撮影当時の父や、家族のこと、そしてどのようにしてこの作品に向き合っていたのかを聞くことが私の夢です。

「あなたにとって夢とは何ですか?」

その後、私と御影さんは何度も話し合いを重ね【「ドリーム・アイランド」デジタルリマスター製作委員会】を立ち上げました。幸いなことに、失われたとされていたハイビジョンのオリジナルテープと16ミリフィルムを天王州の倉庫で発見することが出来ました。映像素材は全部で34本(HDTV1インチ、D1、D2テープ、16ミリフィルム)。保存状態は良好でしたが、ハイビジョンの1インチテープは劣化もしやすく、レーザーディスク同様、デジタイズしなければ観ることも編集することもできないことが判明しました。デジタイズには費用がかかります。しかし、デジタル映像黎明期の実験的な表現が隠されたこの作品を、過去のものとして葬り去ってしまうわけにはいきません。
是非、皆様にもこの幻のアートフィルムを体験して頂きたく、ファンディングにご協力いただけないでしょうか。クラウドファンディングが成功した暁には、どのようにして「ドリーム・アイランド」が制作されたのかを探るドキュメンタリーを制作予定です。また、海外の映画祭への出品にもチャンレンジしたいと思っています。

「ドリーム・アイランド」デジタルリマスター製作委員会
共同代表 仲田早織

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©️2025 Dream Island Association

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シネフィルDVD @cinefilDVD

『夢の涯てまでも』制作当時、アウトテイクを使って作られたもう一本の作品があった。

ヴェンダースが主演、ナレーション、編集を手掛けた『ドリーム・アイランド』のデジタル修復プロジェクト、クラウドファンディング、スタート。 https://t.co/T0foeHYHwb

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