「東京自転車節」で知られる
山梨・甲府盆地の真ん中にある障害福祉サービス事業所・みらいファームで働く人々の姿を捉えた本作。青柳にとっては母の職場でもあり、幼い頃から知っているみらいファームの人たちが、他者との関わりの中でさまざまな感情や言葉を醸成するさまを丁寧に記録している。映画のタイトルは、みらいファームを見守る富士山と、本作のまなざしにも通ずる、すべてをやわらかく包む“綿”という2つのモチーフから生まれた。
解禁されたポスタービジュアルには、綿花に触れて笑顔を見せるみらいファームの人たちが収められた。青柳は「僕は人の価値を『ある / なし』の土俵に乗せない。目の前にいる人たちの魅力を、出演してくれた一人ひとりの日常の中にある『良い!』をみつめたい!」とコメントしている。
青柳拓 コメント
「次回作は?」という問いに、すぐに頭に浮かんだのが母の職場である「みらいファーム」のことでした。古くから知っている大好きな人たちのことを思いながら、相模原障害者施設殺傷事件のことも考えていました。加害者の植松聖さんの「障害者は生きている価値がない」という言葉を、僕は僕の友人たち、つまり「みらいファーム」の人たちに向けられているように感じていたのです。そもそも「生きている価値がない」人間って本当にいるんでしょうか? 僕は「いるかもしれない」と思いました。前作「東京自転車節」で僕が観たのは嘘と欺瞞にまみれた世界でした。そこで僕自身、孤独感や絶望感を味わい、「どうにでもなれ」という破滅衝動に苛まれました。僕は「自分には価値がない」と考えたことが確かにあったのです。人間の価値とは何か。なぜ事件は起きたのか。考えながら撮影に挑んだけれど、でも、それは撮影を引き受けてくれた「みらいファーム」の人たちに失礼な態度でした。僕は人の価値を「ある / なし」の土俵に乗せない。目の前にいる人たちの魅力を、出演してくれた一人ひとりの日常の中にある「良い!」をみつめたい! それが「フジヤマコットントン」であり、僕のアンサーです。
青柳 拓 @ 『選挙と鬱』監督 @otogisyrupz
映画ナタリーさんに『フジヤマコットントン』のことを取り上げて頂きました!
掲載の監督コメントでは相模原の障害者福祉施設で起きた事件を意識して制作を始めたこと、それ以上に目の前の人の魅力を捉えることを目指したこと、乗せてもらっています👏2024年初春公開です!
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