第35回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されている「
本作は柳田國男による説話集「遠野物語」で紹介された民話にインスピレーションを受け新たに紡がれた物語。18世紀後半の東北を舞台に、冷害による食糧難に苦しむ村で人々から蔑まれながらも、たくましく生きる少女・凛の姿が描かれる。
福永にとっては「リベリアの白い血」「アイヌモシリ」に続く長編3作目。現代の日本映画では珍しい題材や舞台について質問が飛ぶと、福永は海外に長く住んでいた経験から「日本や日本人のルーツに興味が湧いた」と答えていく。「民話は過去の文化や風習、精神性がタイムカプセルのように凝縮されたもの。『遠野物語』はすごく現実味を帯びていて、その世界観を映像で表現したいと思うようになった。それらの話が普通に信じられて語られていたであろう時代にさかのぼって舞台ができあがりました」と語る。
福永は2023年度前期の連続テレビ小説「らんまん」を手がける劇作家の長田育恵とともに脚本を執筆。自然の脅威を前にした村社会の閉鎖性と集団性、また信仰の敬虔さと危うさがテーマに据えられた。福永は「女性差別や、追い詰められた集団がさらに弱い『個』を追い詰めること。長田さんといろんな会話をしながら、現代にも通じるテーマを盛り込んでいきました」と明かし、山田は初めて脚本を読んだときの印象を「今まで触れたことがないような題材。凛は過酷な人生を生きている女の子。しっかりと考えて臨みたかった」と話した。
凛は、あるとき父親が村中を揺るがす事件を起こしたことをきっかけに、家を守るために村を去り、盗人の女神様が住むと言われる山の奥深くへと分け入っていく。凛の状況が紆余曲折を経て大きく変化していくため、演じるうえで苦労はあったか問われた山田は「彼女にとっては山にいるほうが自然でいられて、結果的に村に戻って周りからあがめられる。でも凛の演じ方や彼女自身の人格を変えるつもりはなかったです。そこが人の見方によってどんどん変わっていってしまうのが人間の怖いところ。私は彼女が自分の幸せを願えるようになっていく、願って生きていくさまを描いた映画だと思って演じていました」と答えた。
「山女」は2023年に一般公開。東京国際映画祭では10月28日に東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、11月1日に東京・角川シネマ有楽町にて上映される。
※「アイヌモシリ」の「リ」は小文字が正式表記
Chiaki @ Dorama World ドラマワールド @doramaworld
World premiere of new movie "Yamaonna" at the 35th Tokyo International Film Festival on 25 Oct 2022 - Yamada Anna & director Fukunaga Takeshi
https://t.co/Lpt4dIcZ0b https://t.co/rqUriFiC4z