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本作では「顔にアザや怪我を負った人」としてルポルタージュ本の取材を受けた大学院生・前田アイコが、映画監督の飛坂逢太に出会い惹かれていくさまが描かれる。顔の左側にアザがあるアイコを松井、ルポ本の映画化を担当することになった飛坂を中島が演じた。
島本理生の小説を映像化した本作。原作について安川は「顔にアザがある女性が主人公ではありますが、彼女を悲劇的に描いていないんです。ポップなテイストで読み進められるのが新鮮で、その感覚を(映画にするときも)大事にしたいなと思っていました」と述懐。もともと原作のファンだったという松井は「本当に長い時間を掛けて映画になりました。やっと夢が叶ううれしさもありながら、大好きな作品とキャラクターを演じきれるかどうか、不安な気持ちの中にいたなと思います。何度も読んでいる作品だったので、物語に自分を合わせにいってしまいすぎないだろうかとも考えていました」と当時を振り返った。
役作りについて尋ねられた中島は「映画監督役だからといって特に意識はしていないですね。セリフやシーンをこなしていけば監督のように見えるので、いわゆる映画監督らしい“やらしい目つき”といったようなことは考えませんでした(笑)」とジョークで会場を笑わせる。そして「ただ撮り終わってから考えたんですが、人に対して少し壁があって神経質なアイコの心の中に入っていけるような人物であるということは意識していました」と付け足した。対する松井は「飛坂さんはつかみどころがなくて、風船みたいにどこかへふわふわ飛んでいってしまいそうな空気がありました。彼に向き合っているときはいつも『ひもをつかんでいたい、離したくない』という気持ちで、お芝居を受け止めていました」と応えた。
城定と安川は脚本作りにかなりこだわったという。城定が「原作で扱っているテーマは繊細ですが、読後感は非常にさわやかで、そこを残していけたらと思いました。社会派的すぎても軽すぎてもいけない。ものすごく長い時間打ち合わせを重ねていった思い出深い作品ですね。監督はけっこう粘り強いなと思いましたよ。朝から夜中まで話し合うこともけっこうありました」と回想すると、安川も「気付くと夜中になっていて、びっくりしました」と苦笑い。続けて安川は「バランスがすごく難しくて、それでバチバチとやっていたこともあったり……。でも(城定が作った)最初の構成がしっかりしていたので、そのおかげで遊びの部分を作れました。撮りながら、城定さんに感謝の気持ちを感じました」と思いを伝えた。
松井、中島がお互いについて語る場面も。中島は「アイコはちょっと神経質になっていて、シリアスになっている印象。撮影の空いている時間にそこまで話していないので、松井さんがどういう方かいまいち知らないんですが……(笑)。できあがったものを観て、松井さん自身がお持ちであろう繊細さがアイコに反映されていると感じました。それで生々しいアイコ像ができていると」とコメント。それを聞いた松井が「私は中島さんと『初めまして』の瞬間から、『飛坂さんがいる』と思ったんです。すごくナチュラルなトーンのまま映画の世界の中にいてくれて、今でもまだ飛坂さんと一緒にいるんじゃないかという気持ちのままです」と話すと、中島は「原作を読んでいる人は、(飛坂役のキャストについて)いろんな人を思い浮かべたと思うんです。それで僕が演じることになって『この人誰だろう』って思われたら嫌だなと考えてました。それを聞けて本当に泣きそうです」と返答。松井は「……本当ですか?」と笑い交じりにツッコミを入れ、観客の笑いを誘った。
「よだかの片想い」は、9月16日より新宿武蔵野館ほか全国でロードショー。
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Premiere screening of new movie "Yodaka no kataomoi" at Shinjuku Musashinokan on 22 Aug 2022 - Matsui Rena & Nakajima Ayumu; showing in cinemas from 16 Sep 2022
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