荒木宏文、鈴木裕樹との「獣拳戦隊ゲキレンジャー」ぶりの“再会”をしみじみ喜ぶ

「漆黒天 -終の語り-」の完成披露舞台挨拶が本日5月31日に東京・新宿バルト9で行われ、上映前にキャストの荒木宏文、小宮有紗、松本寛也、梅津瑞樹、小澤雄太、鈴木裕樹、監督の坂本浩一が登壇した。

映画と舞台の連動プロジェクト「ムビ×ステ」の第3弾となる「漆黒天」は、記憶を失くした謎多き男の物語。江戸を舞台に、周囲から「名無し」と名を与えられた男が、刺客に命を狙われながら自身の素性を探し求める姿が描かれる。荒木が名無しを演じたほか、ヒロインの喜多に小宮、須万蒿雀（すまあおじ）に松本、嘉田蔵近（かだくらちか）に梅津、皿月壬午（さらつきじんご）に小澤、玖良間士道（くらましどう）に鈴木が扮した。

荒木は主演のオファーを受けたときの心境を聞かれると「2作、仕事が決まった喜びでしたね！ 映画と舞台が」と率直に吐露。末満健一が手がけた脚本の印象については「難しいなって思いました。簡単でした？」と周囲に振り、松本が「漢字読めなかったですよね？」と告白する。「なんだこの中学生の会話は」「わかるわかる」「確かに難しかった」とほかの登壇者が話す中、松本は「僕はさっきまで役名を忘れてました（笑）。スマアオジ。漢字はわからないし、イントネーションも合ってるかもわかんない。人の名前が難しくて」と笑う。「監督はどう読んでいたのか」という疑問に対して、坂本は「僕も漢字が得意なほうじゃない。雰囲気で読んでます」と正直に答えた。

MCから「記憶を失くした男を演じるのは大変だったのでは？」と尋ねられた荒木は「これほど簡単な役はないです。だって覚えてないから。ゼロスタートでいい」と持論を展開。「記憶があると役者は、その人の歴史を作らないといけない。いつ生まれたのか。お乳で育ったのか、粉ミルクだったのか……」ととうとうと話し出し、「その歴史を全部作ったうえで演じなければいけないんです。でも覚えてない。何も覚えてないんだから作らなくていい。今、目の前にある情報が頭の中に残っている記憶。これほど楽なことはなかったです」と威勢よく明かすと、鈴木は「これがうちの主演ですよ。どうですか！」と太鼓判を押した。

映像作品としては「獣拳戦隊ゲキレンジャー」以来、14年ぶりの共演となった荒木と鈴木。鈴木は「やっぱり、うれしかったですよ。もちろん気合いも入ったし、僕は、たぶんすごい肩の力も入ってます。がっつりとお芝居することもできて。荒木くんもそうですけどプロデューサーの方々も『ゲキレンジャー』の頃からお世話になってる皆さん。本当に幸せなことです」と素直な思いを述べ、荒木も「再会は（役者を）続けてないとできないから。また一緒に仕事できたのはうれしかったね」としみじみ喜ぶ。鈴木は荒木のアクションシーンが多いことに触れ「本当にボロボロになってましたよ。僕は腰が痛くて湿布を常備してたんですけど『湿布を貼れ』と言っても貼らないんですよ。そういう気合いも伝わる映画」と労った。

最後に荒木は「京都での泊まり込みの撮影は非常に楽しかったです。太秦のスタッフが『お前らは芝居だけをやってればいいんだ』と言葉ではなく態度で示してくれる。芝居に集中できる環境を全力で整えてくれる。そんなプロの人たちに囲まれながら、芝居のことだけを考えられる幸せな現場でした。その世界にいる僕たちの姿が今から投影されます。ぜひ楽しんでください」と観客に呼びかけ、舞台挨拶を締めくくった。

「漆黒天 -終の語り-」は6月24日に公開。末満が作・演出する舞台「漆黒天 -始の語り-」は東京・サンシャイン劇場で8月5日から21日、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで8月31日から9月4日にかけて上演される。