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ジョアンナ・ラコフの自叙伝「サリンジャーと過ごした日々」をもとに、
東は「サリンジャー関連の映画がここ数年定期的に出てきていたと思うのですが、この作品は本当に“ソフトサリンジャー”という感じで、サリンジャーのやわらかな一面に出会える作品でした。何よりジョアンナが、サリンジャーを読んだことがないという設定がとても秀逸。私たちが『ライ麦畑でつかまえて』や『フラニーとズーイ』を読んでいなくても、同じ視線で物語に入っていけるのが特徴的だと思いました」と述懐。実際に出版エージェンシーで働いている栂井は、「本を作る現場のリアリティと夢がたくさん詰まった映画だなと思いました。原作の『サリンジャーと過ごした日々』も発売当初に読んでいたのですが、原作で描かれていたエージェントの苦労や成長は映画でもかなり正確に再現されていましたね」と感想を口にした。
本作で鍵となるのは“ファンレター”。ジョアンナと同じように作家へのファンレターに代筆で返事をしたことはあるかと尋ねられると、栂井は「勝手に返事をしたりはしないのですが、いただいたお手紙を作家さんにお届けして、どういった返事を出されますか?と相談したりすることはありますね。実際に本の現場に携わっていると、読者からのお手紙が作品や作家の運命を変えるということはよくあるんです。そんなに売れ行きがよくない作品でも、情熱的な手紙がたくさん来ると増刷を後押ししたり、シリーズ化が決まったりということが起きます。出版社に直接メールや手紙を送っていただけると、ひょっとしたら作品の運命が変わることがあるかもしれません」と語る。
往年の名作だけではなく流行の作品も読む必要があると、マーガレットがジョアンナに告げるシーンについても2人はトーク。栂井は「その葛藤の中でジョアンナがもがいて成長していく姿が描かれているので、すごくリアリティがあり、素敵だなと思いました」と述べ、東は「本作は『プラダを着た悪魔』と設定が似ていますが、マーガレットは少し怖いけど、部下の成長を見守ってくれたり、やりたいことは素直に応援してくれる姿勢がすごくよくて『最高に理想の上司だ!』と思いながら観ていました。歳の差女子の友情ものとしてもとても響く映画だと思います」とまとめ、イベントの幕を閉じた。
「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」は、5月6日に全国公開。
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