自由のためアート作品になった男描く、アカデミー賞候補作「皮膚を売った男」晩秋公開
2021年4月19日 12:00
1 映画ナタリー編集部
第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされている「The Man Who Sold His Skin」が「皮膚を売った男」の邦題で2021年晩秋に公開される。
本作の主人公は、当局の監視下にあり国外へ出られなくなってしまったサム。海外で離ればなれになってしまった恋人に会うため、なんとかして出国したいと考えていた彼は、偶然出会った芸術家から彼自身が“アート作品”になることを提案される。これを受け入れたサムは背中にタトゥーをし、美術館に展示されるように。芸術品として世界を自由に行き来できるようになったものの、サムは精神的に追い詰められていく。
本作はヴェネツィア国際映画祭のオリゾンティ部門でプレミア上映され、サムを演じた主演のヤヤ・マヘイニが男優賞を受賞。そのほか「007 スペクター」「オン・ザ・ミルキー・ロード」のモニカ・ベルッチ、「Uボート:235 潜水艦強奪作戦」のケーン・デ・ボーウらがキャストに名を連ねた。
監督を務めたのは「Beauty and the Dogs(英題)」のカウテール・ベン・ハニア。彼女は「主人公のサムは自分の背中を『アート作品』として売ることで、思いもよらない形で現代美術の世界へ足を踏み入れます。ファウストが悪魔と契約したように、恵まれた人と呪われた人とが契約を交わしたのです」と述べ、「現代美術と難民はまったく異なる世界ではありますが、この2つの世界が映画の中で対比することで“自由”について考えさせられるものとなっています」と本作を紹介した。
チュニジア、フランス、ベルギー、スウェーデン、ドイツ、カタール、サウジアラビアの合作映画「皮膚を売った男」は東京のBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。なお本作は第33回東京国際映画祭で上映されている。
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