ドキュメンタリー映画「
本作は、“核のごみ”問題を扱うスイス発のドキュメンタリー。スイス在住の核物理学者で、廃棄物貯蔵問題専門家でもある原発推進論者の
反原発派のハーゲンは「核廃棄物の処分方法が問題になり始めた1970年代から40年近く、どう処理するかの解決方法を見つけないまま走ってしまっているという問題を、この映画では追っています」とコメント。さらに日本については「50基以上の原子炉があり、それと同時にたくさんの核廃棄物があり、地政学的にも地震が多かったりと複雑な問題を持っているので、この問題を真剣に考えないといけないと思っています」「日本でも議論をし、意見交換すべき作品になれば幸いです」と述べた。また以下には、本作を鑑賞した
「地球で最も安全な場所を探して」は2月20日より、東京のシアター・イメージフォーラムほかで順次公開。
エドガー・ハーゲン コメント
我々は人類が産み得る最も恐ろしい廃棄物を作り出しているにも関わらず、その処理方法を見つけられないまま、原子力エネルギーを生産し続け、それに頼りきっています。そこで、この問題を世界的に解決しようと取り組んでいる人々と一緒に映画を作ろうと、その人たちのことをもっと調べてみようと考えるに至りました。
この問題は全世界的に渡る問題で、1つの国に限った話ではありません。スイス、アメリカ、その他いろんな国々で原子炉が作られ、現在は400基ほど存在する、ということが事実としてあります。核廃棄物の処分方法が問題になり始めた1970年代から40年近く、どう処理するかの解決方法を見つけないまま走ってしまっているという問題をこの映画では追っています。この40年間の、何かを試みては失敗する、という繰り返しの歴史も照らし出しています。
日本は確実にこの問題について真剣に考えないといけない国だと思っています。50基以上の原子炉があり、それと同時にたくさんの核廃棄物があり、地政学的にも地震が多かったりと複雑な問題を持っているので、この問題を真剣に考えないといけないと思っています。現在、日本では北海道の2町村が名乗りを上げています。そこが適しているかは引き続き調査が必要ですが、2つの地域が名乗りを上げることで核廃棄物について議論しようと思うことはいいことだと思います。必ずしもそれが解決方法だ、ということは簡単には言えませんが。
このタイミングで日本でたくさんの方に観て頂けることを望んでいます。日本でも議論をし、意見交換すべき作品になれば幸いです。
枝元なほみ(料理研究家)コメント
地球で最も危険なものを10万年も閉じ込めておくための
地球で最も安全な場所を探すんだよ。
なら最初っから、そんな危険なものを作るべきじゃなかったんだよ、
どう考えてもね。
おしどりマコ(芸人 / 記者)コメント
「福島第一原発の作業員が考える一番危険な場所はどこだと思う?」とドイツの高校生に質問したら「TEPCOの社長の頭の中」と言われました。
さて「世界で一番安全な場所」は?
大島新(ドキュメンタリー監督)コメント
私は「観る前と観た後で、世界の景色が変わる」映画が好きだ。
この映画を観たらさて自分はどうするか、という問いが必ず生まれるはずだ。
核のゴミ処分は、世界中の誰にとっても、他人ごとではないのだ。
小野有五(北海道大学名誉教授 /「行動する市民科学者の会・北海道」)コメント
ありきたりの原発反対映画ではない。
推進派の学者が、核のゴミの地層処分地探しに世界を歩くロード・ムービーでもあり、候補地の現状を映像で見る楽しみもある。モノにできたらこれほど儲かる事業はないと明言するビジネスマン地質学者も登場。
地層処分の怖さを推進派に語らせてしまったこれは出色のドキュメンタリー映画だ。
鎌田慧(ルポライター)コメント
エンディングのどこまでも続くゴビ砂漠のロングショットが、絶望感を深めさせる。
世界中どこを探しても、核廃棄物の捨て場はない。
若狭半島の「夢の増殖炉」もんじゅは廃炉、
青森県六ヶ所村の核再処理工場は、計画発表から36年たっても稼動の見通しにない。
原発は人類最大の失敗だった。
それが判った今、脱原発に声を出そう。
鎌仲ひとみ(映像作家)コメント
地球上で最も毒性が高く、その毒性が何十万年も続く代物、核廃棄物。
その最終処分を人類は迫られている。最前線の現場はどうなっているのか、
答えはどこにあるのか?
世界中で観られるべき映画!
河合弘之(弁護士 / 映画監督)コメント
この問題は答えの無い問いなのだ。
別言すれば、使用済核燃料の最終処分場適地などこの地球上には存在しないということだ。
人類はとてつもない難問をしょいこんでしまったのだ。
小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)コメント
私たちの世代は、それが生み出す猛毒のゴミの始末の仕方を知らないまま原子力の利用を続けている。
科学を信仰してはいけない。
まずは、原子力を止めるべきこと、そして人間とはなんと愚かな生き物かを、この映画は教えてくれる。
斉藤一美(キャスター)コメント
作品完成から8年以上経ってなお問題解決へ一歩も進んでいない現実を見せつけられ深い絶望感に囚われた。
しかし、こうしているうちに高レベル放射性廃棄物はその数を増やし世界中をさまよっている。
今生きている我々が見て見ぬふりをしてはいけない。
スクリーンの前で刮目せよ。そして懊悩せよ。
YAMADA, Masahiro @myamadakg
原発推進論者が“地球でもっとも安全な場所”探す記録映画、反原発派の監督がコメント https://t.co/uRrr9jxbUb