「果てしなきスカーレット」細田守監督が込めた娘への思い、芦田愛菜が思う“生きる”とは

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細田守監督の最新作「果てしなきスカーレット」のジャパンプレミアが本日11月5日に開催され、スカーレット役の芦田愛菜、聖役の岡田将生、ギルデンスターン役の染谷将太、墓掘り人役の宮野真守、ヴォルティマンド役の吉田鋼太郎、ガートルード役の斉藤由貴、コーネリウス役の松重豊、細田監督が登壇した。

左から芦田愛菜、岡田将生

左から芦田愛菜、岡田将生

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普遍的なテーマに真っ向から切り込む作品

11月21日に公開を控えた「果てしなきスカーレット」。イベントは19年前に公開された細田監督の作品「時をかける少女」にも登場した東京・東京国立博物館で行われた。バルコニーに現れた芦田と岡田は、スカーレットの髪色を思わせるピンクのペンライトを持った観客たちに迎えられ、笑顔で手を振る。その後レッドカーペットに降り立った2人とともに、キャスト陣と細田監督が登壇した。

作品についていち早く語りたいといった様子の吉田は、殺人や復讐の連鎖が許されないものであるという普遍的なテーマに、人間が長い間向き合ってきたことに触れる。「それがまったく何も解決されていない世界で、細田監督が真っ向から切り込んだ作品です。これを世界に向けて発信する勇気に、心からエールを送りたい」と熱弁した。日本での初上映に際し、細田監督は「日本の皆さまのために作った作品ですので、今日はとてもうれしく思っております」と笑顔を見せる。また「ヴェネツィア国際映画祭」に参加したことを振り返り「芸術性の高い映画を集める映画祭だと聞いてましたので、『果てしなきスカーレット』が招待されて、本当にうれしかったです」と語った。

上段左から細田守監督、染谷将太、斉藤由貴、宮野真守、下段左から吉田鋼太郎、芦田愛菜、岡田将生、松重豊

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芦田愛菜

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きっかけは、細田守監督の9歳の娘

映画制作のきっかけについて話題が移ると、「僕の9歳の娘が、これからこの世界の中でどうやって生きていくんだろうか。今は頼りなげだけど、だんだん力強く生きて未来を目指してほしいなという思いが根本にあって。それでこの映画を作ることができました」話す。「非常に壮大な映画になりましたけど、スタートはとても身近な、小さなところから始まっている」と明かした。染谷も「すべての人々がこの作品の当事者であり、関係者なんじゃないか」とテーマの身近さを強調。「この作品の地続きが、この世の未来へとつながっていくんだなと心から感じました」と感想を述べた。

一方宮野は「果てしなきスカーレット」の映像を絶賛。「まだまだ見たことのない表現があるのだと、本当に驚かされました」と話し、すでに評価されながらも挑戦を続ける細田監督の姿勢を称える。そして「(この作品は)観ていただく方の心に訴えかけるような、普遍的なものをテーマにしている。だからこそ、なくしちゃいけない思いみたいなものを感じ取ってもらえるんじゃないかな」とアピールした。続く斉藤も、細田監督への印象を「たぶん、完璧を求めていらっしゃる。絶対に隙のないように、最後まで考え抜くという姿勢をお持ちなんではないかな」とコメント。「表現の仕事をしているうえで、完璧を目指すということ、隙のない高みを目指すということの重要さを感じる」と、細田監督から受けた刺激を伝えた。

上段左から染谷将太、斉藤由貴、宮野真守、下段左から芦田愛菜、岡田将生

上段左から染谷将太、斉藤由貴、宮野真守、下段左から芦田愛菜、岡田将生 [拡大]

左から宮野真守、松重豊

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細田監督いわく「果てしなきスカーレット」の着想はシェイクスピアの「ハムレット」から得たのだそう。松重は蜷川幸雄の劇団で「ハムレット」を上演した際を回想し「蜷川さんは、『シェイクスピアはそのときの時代を映す鏡だ』ということで、そのときの世界がどういうものかを舞台上で表していた」と懐かしむ。「果てしなきスカーレット」については「『ハムレット』から派生したこの現代を映す鏡として、今回の作品は本当にいきいきと息づいています」と自信を覗かせた。

芦田愛菜が「生きること」を考える

今回長編アニメーションの声優に初挑戦した岡田は、演技について「監督とともに、聖という役を作り上げた」と述べる。また「『果てしなきスカーレット』を作っている皆さまの代表として今立っている」とやや緊張の面持ちを見せつつ「映画の素晴らしさをぜひ皆さまにわかっていただけるよう、これからもがんばっていこうと思う」と意気込んだ。19歳の王女・スカーレットの役作りについては、芦田が「『現代を生きる19歳と、中世を生きる王女としての19歳では、持っている覚悟や自覚が違うだろうから、その違いが出るといいな』というお話をいただいて。どうやってやればいいんだろうと悩んだ」と吐露。ジャンヌ・ダルクやエリザベス1世といった女性の物語を参考に想像を膨らませたそうで、「声を吹き込むというよりは、本当に魂を吹き込むような気持ちで向き合わせていただいた」と振り返った。

左から芦田愛菜、岡田将生

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映画の見どころを問う質問には、芦田が「死者の国って、空との境目が海みたいになってるんです。一説によると、黄泉の国は海底にあるとおっしゃってる方もいて」と、想像が膨らむ死者の国の表現をポイントに挙げる。それを受けた細田監督は、スタッフと“行ってみたい地獄”をイメージして死者の国を作り上げたというエピソードを披露。「飽きさせないような、いろんな舞台が出てきて楽しいと思います」と笑顔を見せた。

終盤には芦田が「生きること」について語り始める。芦田は最近読んだ本で「人生の意味より、人生そのものを愛せ」という言葉と出会い、「まさに私が映画を観て思ったこと」と感じたのだそう。そして自身を傷つけるスカーレットに思いを巡らせ、「(スカーレットが)自分自身を愛せるようになっていくような作品なのかなと思って。人生への愛を見つけられたときに、自分の人生を使ってどう生きていきたいか。生きる意味が生み出せるんじゃないか」と熱弁。最後に「生きること、愛することってどんなことだろうと、スカーレットの生きる世界に思いを馳せながら一緒に考えていただけたら」とメッセージを送った。

この記事の画像・動画(全11件)

「果てしなきスカーレット」

2025年11月21日(金)全国公開

スタッフ

監督・脚本・原作:細田守
企画・制作:スタジオ地図

キャスト

芦田愛菜岡田将生、山路和弘、柄本時生、青木崇高、染谷将太、白山乃愛、白石加代子、吉田鋼太郎斉藤由貴松重豊、市村正親、役所広司

(c)2025 スタジオ地図

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ジャパンプレミアに芦田愛菜、岡田将生、染谷将太、宮野真守、吉田鋼太郎、斉藤由貴、松重豊、細田守監督が登壇した。

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