原作の「戦争めし」は、戦争中の兵士や庶民の「食」にまつわるエピソードを描いたオムニバス形式のグルメマンガ。ドラマ版は2018年の日本を舞台に、原作者である魚乃目をモデルにした売れないマンガ家・山田翔平を主人公とするオリジナルストーリーが展開される。あるきっかけで「食」の視点から戦争を見つめ直すマンガを連載することを決意した翔平がさまざまな関係者に取材していき、その思い出をマンガとして描いた作品で作家としての手応えを掴む。作中で翔平が描いたマンガは、音声や映像効果を加えたものが実写ドラマに交えて放送され、戦争の再現ドラマとしての役目も果たすという構成だ。マンガ部分は原作の「戦争めし」のほか魚乃目による描き下ろしも加えられ、声は
取材会ではまず小山氏が「NHKは戦争と平和にまつわる特集を数多く展開しています。その中で直球な戦争ものをたくさん放送してきましたが、(戦争と)縁遠い世代がどんどん増えてきている。そんな若い世代、マンガ世代の視聴者に、少しでも戦争について身近な形で関心を持ってもらえたら」と、実写とマンガを交えた番組の狙いについて語った。
撮影を終えた感想について、駿河は「僕は40歳なんですけど、自分の年代が戦争の話をおじいちゃんとかから聞ける最後の世代だと思っていて。そういうのを伝えていく意味では、主演をやらせていただいて非常に感謝してます」とコメント。駿河演じるマンガ家・翔平の担当編集である井澤奈緒を演じる壇は「暗くなりすぎてもダメだし、明るくなりすぎても(戦争の悲惨さが)伝わらないので微妙な線を攻めていかなきゃいけない。(戦争を)経験してない人が未知の部分を表現するのは難しく、非常に責任重大だなと感じました。ただ私はマンガが好きで、編集の仕事やマンガ家さんがどういうふうにマンガを作っていくのかには非常に興味があったので、まずは興味から役に入っていけたら、と考えてました」と役作りについて明かした。
戦争というテーマだが、あまり暗い気持ちで見てほしくないという本作。その見どころについて壇は「戦争でひもじい思いをした描写が多く出てくるんで、『もし自分がこうだったらしんどいな』って思われると思うんですが、その時代を経て今は豊かな環境になっているっていうのが噛み締められると思います。あらためて豊かさに感謝してほしいです」と語る。さらに「再現が可能な料理が多いんです。『この時代の人はこんな物を食べてたんだ』って興味を持って、再現してもらえれば。実際私はすいとんぜんざいを再現して食べたんですけど『これは噛む回数を増やす算段だな』って。小麦はお餅より噛む回数が長いんで、こうやってお腹をふくらませるんだなと。その違いは食べてみないとわからなかったです」とエピソードを披露した。
一方の駿河はこの作品を「主人公の翔平の成長ドラマだと捉えている」とアピール。「仕事をしていて悩む時期って絶対あるんだけど、それを切り開くきっかけを周りのいろんな人に与えられてちょっとずつ成長していくドラマ。翔平が『自分はどうすればいいのか』ってひたむきに考えてた結果、『戦争』と『食』というテーマできっかけを掴んだというふうに僕は思うので。人間の成長ドラマとしても映ればいいなと思っています」と思いを語った。
原作マンガの感想については、壇が「魚乃目さんのマンガって、戦争で餓死したり戦火の炎に巻かれる描写もあるんですが、最後には必ず救いがあるんですよね。例えばうなぎのタレを守るためにお母さんが戦死する話でも、家族がその味を引き継いでいくっていう前向きな気持ちが描かれている。そういう救いの部分を色濃く描いてくれてるので、また読みたいという気持ちになります。あとマンガでうなぎのタレを守る店主と、(ドラマでその役を演じる)
また魚乃目からマンガを習うことはあったのかと駿河に質問が飛ぶと、「僕は本当に絵がヘタなんで、絵を描くシーンは僕にやらせないでくださいってお願いしました(笑)。僕が(パソコンを使って)絵を描くシーンはあるんですけど、あれは横の部屋にいてくださってる魚乃目先生が、Bluetoothを使って描いてくれたのをなぞって、僕が描いてる風にしてるだけです。こんな贅沢なことはないですよ(笑)」と裏話を明かし、壇も「2人羽織みたい」と笑った。
最後に、このドラマは単発の放送だが続編はあり得るかと問われると、駿河が「このドラマに使っているマンガは描き下ろしもありますが、もうマンガになっているものもたくさんあるので、ずっと続けていけると思うんですよ。題材的にも戦争ということで、この時期に放送される風物詩になればいいなと思ってます。僕が決めることじゃないですけど(笑)、そうなるのが理想だなと」と意欲を見せ、取材は終了した。
ドラマ×マンガ「戦争めし」
放送局:BSプレミアム
放送日時:2018年8月11日(土)22:30~23:29
出演
山田翔平:
井澤奈緒:
小料理屋女将:
吉井耕三:
前田郁夫:
岩本英治:
鰻屋の店主:
ワイン醸造所工場長:
声の出演:
スタッフ
原案・作画:
脚本:山咲藍
演出:平体雄二(スタジオブルー)
プロデューサー:木學卓子(NHKエンタープライズ)
制作統括:稲毛重行(NHK)、小山靖史(NHKエンタープライズ)、宮田幸太郎(スタジオブルー)
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