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「傾国の騎士団長」“戦うヒロイン”好きも必読! テンポいい掛け合いと躍動感あるキャラが魅力のファンタジーコメディ
2025年7月18日 12:15 PR福良木漁「傾国の騎士団長」
石竜騎士団を率いるダーナヴォーダン・イッカーは、団員全員から敬愛のレベルを超えて、ベタ惚れされている騎士団長。彼の愛娘メイニル・イッカーは、そのあまりに異常な状況に頭を悩ませていた。ある日、メイニルの前に大魔法使いを自称するノックリールが現れる。父の身に起きている異常事態は、ノックリールが作ったという「傾国魔法」が使われたせいだと知ったメイニルは、その犯人捜しを始めるが……。「傾国の騎士団長」は、白泉社の電子雑誌・花ゆめAiにて連載中だ。
文
どうしてこんなことに……? 騎士団全員が「かわいいいいいい」とイケオジ団長に狂う
異世界転生ものや悪役令嬢ものが一大ブームを巻き起こし、ファンタジックな世界観の作品が人気を博す昨今。「傾国の騎士団長」もファンタジーど真ん中の作品だが、あらゆる層の読者に刺さる要素が贅沢にちりばめられている。
物語の軸となるのは、戦狂いの若武者が集う、曲者ぞろいの石竜騎士団。その団長に最近就任したダーナヴォーダン・イッカーは、精悍な雰囲気を漂わせる壮年で、いわゆる“イケオジ”である。彼は異常なまでに団員たちから溺愛されており、一瞬にこっと微笑んだだけで「好き」「かわいいいいいい」「素敵」と、男女問わず全員が悶絶の嵐に。そんな光景に、ダーナヴォーダンの一人娘・メイニルは「イカれてるわ!」とため息をつくのだった。
第1回花ゆめAiストーリーまんが賞でグランプリとビジュアル賞を受賞し、連載化が決まった本作。“ビジュアル賞”に輝いたことにすぐ納得してしまうほど、ページをめくるとまず、美麗な画面に目を奪われる。メリハリが効いていてするすると読めてしまうコマ運び、丁寧に描き込まれた背景など、ファンタジックな世界観に没入させてくれる手腕は、新人作家とは信じがたいほどだ。そしてキャラクターたちは表情豊かで、躍動感たっぷり。テンポのいい掛け合いが展開されるので、普段ファンタジー作品にあまり馴染みのない人も手に取りやすいはずだ。
“イケオジ”がひたすら溺愛されていくストーリーかと思いきや、次第に何層もの要素が重なっていく。ある日急にダーナヴォーダンが溺愛されるようになったことをメイニルが訝しんでいると、万人に愛される「傾国魔法」を編み出したという大魔法使い・ノックリールが現れる。「お父様の周りがおかしいのはあなたの仕業ね!」とメイニルは問い詰めるが、魔法はノックリールがかけたものではなく、魔法を書き留めた“綴” を誰かが使ったのだという。いったい誰がそんなことを……? メイニルとノックリールは手を組み、謎の究明のために奔走していく。
「お父様より強くてかっこいい騎士になる」勇敢なヒロイン・メイニルの魅力
そしてこれは、声を大にして伝えておきたい。ヒロインである少女・メイニルが、とにかくかわいい! ボブヘアに大きなリボン、フワッとしたワンピースという可憐なビジュアルも魅力的だが、父をまっすぐに愛し、尊敬しながらも、ちょっと天然で気の弱い彼にビシッと意見を伝える頼もしさを持ち合わせている。幼くして母を亡くしているメイニルは、父の助けとなるため、あえて気丈に振る舞おうとしているのかもしれない。
メイニルは父に止められても剣の稽古に精を出す、勇敢なヒロインでもある。強くなりたいと願って「ここで誰かが困っていたら必ず助けるわ それがうちの騎士道なの」「だれかが描いたとおりの『わたし』じゃ わたしでいる甲斐がないじゃない」「わたしはお父様より 強くてかっこいい騎士になるの!」と凛々しく語り、時には「なにもできないわたしがきらい」と、力の足りない自分に肩を落とす。さまざまな経験を重ねながら少しずつ成長していく彼女の姿に、心を揺さぶられる場面は多いはず。いわゆる“戦うヒロイン”好きの人も必読である。
またメイニルとノックリールが少しずつ友情を深めていくさまも、今作の大事なポイント。少女と大魔法使いという一見凸凹のバディだが、2人はお互いの存在を通して、新たな感情に出会っていく。ノックリールは人前では猫に擬態しているので、メイニルがもふもふと“猫吸い”をしたり、抱っこをしたりしてかわいがっている様子もなんともかわいらしい。
しかし1巻の最後は、「騎士団領に魔法使いが存在してはならない──」という、ダーナヴォーダンの不穏なひと言で締めくくられる。はたしてメイニルとノックリールの仲は引き裂かれてしまうのか。ファンタジー、騎士団、家族愛、戦うヒロイン、凸凹バディ、イケオジ、心地よいテンポのコメディ……どれか1つでも気になる要素があった人は、ぜひ手に取って確かめてみてほしい。
「傾国の騎士団長」第1話試し読み