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「ダウナーお姉さんは遊びたい」ベイブレードにデュエマ……コロコロなのにダウナーお姉さん!? 新時代の本格ホビーマンガ

PR山鷹景「ダウナーお姉さんは遊びたい」

中学校に進学したばかりの新タ晴(にったはる)は、周りの変化に戸惑っていた。そんなある日の夕方、公園のベンチで横になっていた謎のお姉さんに声をかけられる。「君に必要なのは刺激」だというお姉さんが手にしたのは……ベイブレード!? この世の何よりもホビーを愛する、コロコロ現役読者のお姉さんが繰り広げる本格ホビーコメディだ。作品はWebマンガサイト・週刊コロコロコミックで連載中。

/ 粕谷太智

コロコロなのにダウナーお姉さん!? 新時代の本格ホビーマンガ

筆者がお姉さんと出会ったのは、やっと秋の気配を感じ出した10月末の頃のこと。きっかけは、忘れもしないSNSで見かけた1枚の画像だった。それがこちら。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」第1話より。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」第1話より。

はからずも胸が強調された白シャツにタイトスカート、そこからスラリと伸びるストッキング履きの脚。そんな一部男子の心をくすぐる格好をした美人なお姉さんが、はだけさせたコートから見せているのはベイブレード……ベイブレード!?

このたった1コマで一気に惹きつけられた。元ベイブレーダーとしてこれは読むしかない!気づけば週刊コロコロコミックの連載ページへとゴーシュートしていた。

本作は「コロコロ」の名を持つ媒体に似つかわしくないダウナーなお姉さんと、学校に馴染めない中学生の少年・新タ晴(にったはる)の交流を描く本格ホビーコメディ。ベイブレード、ハイパーヨーヨー、デュエル・マスターズ……といった、コロコロコミック現役読者の少年や、かつて愛読していた大人たちにブッ刺さるホビーが実名のまま登場するコロコロだからこそ実現可能な作品なのだ!

27歳でもコロコロ大好きなお姉さんってなんかいいよね

主人公の新タ少年は希望を抱いて中学校へと入学したものの勉強についていけず、過剰な友達づくりにも馴染めない。そんな彼が憩いの場である公園のベンチで出会ったのが、コロコロコミックを愛読するホビー大好きなお姉さん。27歳ながら童心を忘れず全力で遊びを楽しみ、少年にもその楽しさを伝えてくれるお姉さんの姿に、新タ少年の疲れた心が解きほぐされていく。周りに流されず好きなものを好きと自信を持って言える大人っていいですよね。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」第1話より。お姉さんはベイブレードX初心者の少年にも手を抜かない。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」第1話より。お姉さんはベイブレードX初心者の少年にも手を抜かない。

子供心を持ち続けるお姉さんと対照的に、新タ少年は大人への階段を歩み始めた等身大の中学生という描かれ方をしている。放課後になればコロコロコミックを片手に、友達と玩具を持ち寄って遊びに明け暮れた少年たちも、中学生になると勉強や部活に割く時間が増え、コロコロやホビーを卒業していく。まだまだコロコロやホビーは楽しいのに、周りに合わせて大人にならなくてはいけない焦燥感や寂しさを筆者も中学生の頃に感じていた。きっと、お姉さんはそんな子供たちへ「周りなんて関係ない」と手を差し伸べてくれる“コロコロの妖精”なのだ(そんなわけはない)。

ホビーに対するお姉さんの豆知識を楽しむのもいいが、本作はギャグマンガとしても一級品。文学少女みたいな顔でコロコロを読み、挙句「少年の初体験」とか「君は私の、犬だというのに…」とか、語弊を招くような発言を繰り返す姉さんは出会って早々に新タ少年から「関わってはいけない人」認定されてしまう。そんなエキセントリックなお姉さんと、それに振り回されながら毎度ツッコミを入れる少年の関係からは、「でんぢゃらすじーさん」「ケシカスくん」「ペンギンの問題」といったコロコロコミックのギャグマンガイズムも感じられる。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」より。1人でも「デュエル・マスターズ」を楽しめちゃうお姉さん。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」より。1人でも「デュエル・マスターズ」を楽しめちゃうお姉さん。

イナイレにデュエマ、パロディばっかすなー!

前述したホビー、ギャグに加えて、最新話公開のたびにSNSを賑わせているコロコロ愛溢れたパロディの数々が本作をさらに魅力あるものにしている。特に筆者が大好きなのは、1990年から連載が続くコロコロのレジェンド作品「スーパーマリオくん」の作者・沢田ユキオが登場する第3話。「スーパーマリオくん」の絵柄になったお姉さんが「すなー!」とおなじみのセリフで突っ込み、沢田から“ギャグ聖人”になるためのアドバイスを送られたお姉さんが涙する。コロコロ以外では絶対に見ることはできないやりとりに大笑いさせられた。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」より。ギャグ聖人の領域に呑まれ絵柄が変わっちゃってるお姉さん。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」より。ギャグ聖人の領域に呑まれ絵柄が変わっちゃってるお姉さん。

「デュエル・マスターズ」「イナズマイレブン」のパロディが満載の第7話、第9話も外せない。コロコロ読者でなくともどこかで一度は見たことがあるであろう「でんぢゃらすじーさん邪」と「デュエル・マスターズVS」が誌面でまさかのコラボを果たしたあのシーンを完全再現。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」より。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」より。

大コマを大胆に使って描かれる「イナズマイレブン」の必殺技・皇帝ペンギン1号は作者・山鷹景の高い画力も相まってパロディの域を超えた迫力を感じさせる。その後、技の反動を受けたお姉さんのタイツが破れているこのディテールも見逃せない。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」より。この後ちゃんと反動を受けるお姉さん。

「ダウナーお姉さんは遊びたい」より。この後ちゃんと反動を受けるお姉さん。

第1話の扉絵には「ZOIDS(ゾイド)」「ビーダマン」「ミニ四駆」「シュウォッチ」「妖怪ウォッチ」などまだまだ未登場のホビーがいっぱい。今後もどんなホビーが登場するのか、どんな作品がパロディされるのか、果たしてお姉さんの名前が明かされる日は来るのか。ダウナーお姉さんからこれからも目が離せない。

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「ダウナーお姉さんは遊びたい」第1話を試し読み!
©山鷹景/小学館

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