松任谷由実、約50名の“共に戦い続けた仲間たち”と旅した自己最多80公演のツアー終幕

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松任谷由実が昨日9月22日に東京・東京国際フォーラム ホールAで全国ツアー「三菱UFJニコス Presents 松任谷由実コンサートツアー 宇宙図書館 2016-2017」の最終公演を行った。

ロングトレンチコート姿の松任谷由実。(写真提供:EMI Records)

ロングトレンチコート姿の松任谷由実。(写真提供:EMI Records)

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宇宙図書館(通常盤)

松任谷由実「宇宙図書館(通常盤)」
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このツアーは昨年11月発売の38枚目となるオリジナルアルバム「宇宙図書館」を携えて行われたもの。昨年11月に神奈川・よこすか芸術劇場でツアーの幕を開けた松任谷は、加藤久幸(Dr)、須長和広(B)、伊勢賢治(Sax)、遠山哲朗(G)、今井マサキ(Cho)、松岡奈穂美(Cho)、須藤美恵子(Cho)、武部聡志(Key)というメンバーと共に最終日まで自己最長、最多本数となる42都市80公演を実施した。

図書館セットをバックに歌う松任谷由実。(写真提供:EMI Records)

図書館セットをバックに歌う松任谷由実。(写真提供:EMI Records)[拡大]

「“宇宙図書館”という異次元への旅に誘う」とのコンセプトで制作された今回のステージ。高さ9m、幅18mの巨大な図書館のセットの前にバンドメンバーと共に姿を見せた松任谷は、千鳥格子柄のジャケットとスカートを身にまとい、アルバムのタイトル曲「宇宙図書館」でライブをスタートさせた。「こんばんは! 最後の“宇宙図書館”にようこそ! 皆さんは宇宙図書館と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 私は図書館こそが宇宙の入り口だと思います」と述べた彼女は、「そろそろ列車の時間のようですね。図書館発、宇宙行きの最終便。お忘れ物はないですか? では出発です!」とオーディエンスにアナウンス。スポットライトを浴びてステージを歩きながら「あなたに会う旅」を歌い上げた。

天井から垂れ下がる布とつながったドレス姿の松任谷由実。(写真提供:EMI Records)

天井から垂れ下がる布とつながったドレス姿の松任谷由実。(写真提供:EMI Records)[拡大]

ステージを覆う紗幕に大きく映し出されたバンドメンバーの影が観客の目を奪った「影になって」では、松任谷がハットとロングトレンチコート姿に。さらに紗幕にはカラフルな4つの人影が映し出され、彼女と共にダンスした。またこのツアーではピエロに扮したダンサーのTAKAYUKIと、操り人形のバレリーナに扮したダンサーの隼海惺によるストーリーが展開された。中でも「夢の中で~We are not alone, forever」の演奏時には、2人の出会いと別れがダンスやワイヤーアクションで表現され、松任谷の柔らかな歌声と共にオーディエンスを魅了した。

1960年代風ドレスでコーラスチームと踊る松任谷由実。(写真提供:EMI Records)

1960年代風ドレスでコーラスチームと踊る松任谷由実。(写真提供:EMI Records)[拡大]

パイロットを彷彿とさせるパンツスタイルにチェンジした松任谷は、オレンジ色の光に包まれる中「ひこうき雲」を歌唱。「リフレインが叫んでる」ではパワフルな演奏と彼女の熱いボーカルが観客の手拍子を煽っていく。スクリーンにさまざまなモノクロ映画が映し出された「月までひとっ飛び」から、松任谷は1960年代風のピンク色の華やかなドレス姿に。小気味いいドラミングと跳ねるようなキーボードの演奏から「ルージュの伝言」へとなだれ込むと、彼女はコーラスの3人と踊ったり、ギターを弾く仕草を見せたりとノリノリでファンを大いに盛り上げる。また「何もきかないで」を歌い終えた際には、客席からのあまりの歓声に「すごいね! 東京でこんなの初めてだよー!」と大はしゃぎしながら「最終日なのでとっておきのジャンプを」と、1974年発売のアナログ7inchシングル「やさしさに包まれたなら」のジャケット写真と同じポーズのジャンプを華麗に披露するお茶目な姿も見られた。

アラビア風衣装の松任谷由実。(写真提供:EMI Records)

アラビア風衣装の松任谷由実。(写真提供:EMI Records)[拡大]

「残火」ではステージに大量のスモークが焚かれる中、ゴールドのアラビア風衣装の松任谷が姿を見せた。この曲でキレのあるギタープレイを見せた遠山と背中を合わせて情感たっぷりに歌声を披露した彼女は、「満月のフォーチュン」ではステージ前方でサックスの伊勢と向かい合う。アラビアンなアレンジが加えられた「真夏の夜の夢」で観客をヒートアップさせたあと、松任谷は再びトレンチコート姿になって図書館セットの2階部分に現れる。「ダンスのように抱き寄せたい」を温かに歌いながら螺旋階段を降りると、さらにトレンチコートを脱いで最初の千鳥格子柄のジャケットとスカート姿に。彼女は「気づかず過ぎた初恋」を会場全体で合唱したあと、オーディエンスがスタンディングオベーションを贈る中「GREY」でライブ本編を締めくくった。

アンコールではミラーボールが光る中、バンドメンバーが次々と現れて「星になったふたり」の演奏を始める。最後に登場した松任谷は白の衣装で同曲をハツラツと歌唱。さらに「14番目の月」「守ってあげたい」「春よ、来い」「DESTINY」などの代表曲でつないだ10分以上に及ぶメドレーを届けてオーディエンスを喜ばせる。メドレーの最後には、手板と糸の取れたバレリーナとピエロがステージ上で再会。2人が松任谷の両脇に立ち、彼女と手をつなぐと客席から大歓声が起こった。

風を受けながら歌う松任谷由実。(写真提供:EMI Records)

風を受けながら歌う松任谷由実。(写真提供:EMI Records)[拡大]

ダブルアンコールで松任谷は「ありがとうございました! 完走しました! これからもなるべく時の流れに負けないように走って行きます」と述べ、武部のキーボード演奏に乗せて「青いエアメイル」を披露。そしてステージ上にバンドメンバーとスタッフ約50名を呼び込み、「リハーサルを入れると約2年、共に戦い続けた仲間たちです。小さな失敗、大きな失敗、いろいろありました。でもこうやって最終日をみんなで迎えると、全部がいい思い出になってます。今日セットを全部トラックに詰め込んだら、それぞれ明日から違う現場に散っていきます。“仮初めの家族”は今日で解散です。寂しいけど、みんな元気でやってってね」とスタッフたちに呼びかけ、ファンと共に会場のオペレータースタッフにも拍手を贈った。

さらにこの日は観客の鳴り止まぬ拍手によってトリプルアンコールまで行われた。再度武部とステージに上がった松任谷は「卒業写真」をしっとりと歌い上げ、感極まった様子で目に涙を浮かべる。彼女は「ありがとうございました!」と大きく手を振りながらステージをあとにした。

なお松任谷は11月27日から12月20日まで東京・帝国劇場で舞台「ユーミン×帝劇 vol.3『朝陽の中で微笑んで』」を上演。「ユーミン×帝劇」は松任谷の歌と俳優の演技で構成される舞台で、今回は寺脇康文が松任谷と共に主演、宮澤佐江がヒロインをそれぞれ務める。

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「三菱UFJニコス Presents 松任谷由実コンサートツアー 宇宙図書館 2016-2017」2017年9月22日 東京国際フォーラム ホールA セットリスト

01. 宇宙図書館
02. あなたに会う旅  
03. 影になって
04. AVALON
05. BABYLON
06. 夢の中で~We are not alone, forever
07. ひこうき雲
08. Midnight Scarecrow
09. リフレインが叫んでる
10. 月までひとっ飛び
11. ルージュの伝言
12. 何もきかないで
13. Smile for me
14. 残火
15. 満月のフォーチュン
16. 破れた恋の繕し方教えます
17. 真夏の夜の夢
18. ダンスのように抱き寄せたい
19. 気づかず過ぎた初恋
20. GREY
<アンコール>
21. 星になったふたり
22. メドレー(DANG DANG~14番目の月~守ってあげたい~埠頭を渡る風~真珠のピアス~オールマイティー~春よ、来い~カンナ8号線~DESTINY)
<ダブルアンコール>
23. 青いエアメイル
<トリプルアンコール>
24. 卒業写真

ユーミン×帝劇 vol.3「朝陽の中で微笑んで」

2017年11月27日(月)~12月20日(水)東京都 帝国劇場
<出演者>
松任谷由実 / 寺脇康文 / 宮澤佐江 / 水上京香 / 中別府葵 / 島ゆいか / 山田ジェームス武 / 入絵加奈子 / 六平直政 / 斎藤洋介 / 折井理子 / 伊藤広祥 / 大久保芽依 / 大嶺巧 / 篠本りの / 鈴木昌実 / 富田亜希 / 西田健二 / 宮河愛一郎

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書家/森 大衛 @TAPPITSUOU

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