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コラボにソロにカバー!チャットモンチー9周年ライブは大にぎわい

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「9周年記念ライブ“9愛”」アンコールの様子。(撮影:古溪一道)

「9周年記念ライブ“9愛”」アンコールの様子。(撮影:古溪一道)

チャットモンチーが11月21日に東京・Zepp DiverCity TOKYOにて、デビュー9周年ライブイベント「9周年記念ライブ“9愛”」を行った。

橋本絵莉子の妊娠および出産を経て、2014年8月から活動を本格的に再開したチャットの2人。9周年を記念して実施されたイベントはゲストライブあり、ソロあり、コラボセッションありと、さながら“チャットモンチーフェス”のような内容となった。

オープニングアクトを務めたのは、これが2回目のライブという橋本のソロユニットあさ・ひる・ばん。開演時刻を迎えると同時に、別人を装った橋本がステージに現れ、ウルフルズの「サムライソウル」をアコースティックギターをかき鳴らしながら伸びやかに歌い上げた。さらに「ライブをするのは人生で2回目。しかも4~5年ぶりという恐ろしいことで(笑)。あさ・ひる・ばんはチャットモンチーの隙間産業というか。チャットでやってない曲を……」という紹介から始まったのは、フォーキーにアレンジした「キャラメルプリン」。観客は懐かしいナンバーを新たな形で味わう。そして「一応9周年ライブなので、あさ・ひる・ばんからチャットモンチーの2人に向けて1曲」という言葉から届けられた加山雄三「君といつまでも」で橋本は、間奏のセリフパートも完全コピー。ハートウォーミングな空気を残して、橋本は手を振りながらステージの袖へと消えていった。

続いてのアクトは福岡晃子とおおはた雄一によるユニット・くもゆき。2人は「皆さんこんばんは。くもゆきです」という福岡の挨拶から、足湯について歌った「I see you, You see me 足湯のうた」、パクチーの存在意義を歌った「I ▽ パクチー ~パクチーなしじゃ生きられない!~」(▽は白抜きハート)など素朴でユニークなナンバーを披露していく。口ずさみやすいメロディと、福岡とおおはたの織り成す息の合ったセッションに、観客は体を揺らす。中盤で披露された「ザ・ギョーザ!」と「じゃくじゃくあまのじゃく」ではチャットモンチーのマネージャーがドラムとして加わり、ほんのりロックなノリに。さらに福岡がギターをかき鳴らし、おおはたがドラムを叩いた「ぼくは喘息もっちもち」では、パンキッシュなモードにスイッチ。慣れない楽器を手に2人は楽しそうにセッションを繰り広げ、穏やかなイメージがあるおおはたの躍動的なドラミングには、特に大きな拍手が送られた。

3番手はこの夏からチャットモンチーのサポートに加わった下村亮介(Key, G)擁するthe chef cooks me。中心メンバーは下村、佐藤ニーチェ(G)、イイジマタクヤ(Dr, Per)の3人だが、この日はサポートメンバーを含む7人編成でパフォーマンスを行った。彼らはアルバム「回転体」からの楽曲を中心に、アニバーサリーイベントを盛り上げるようなポップチューンでハッピーな空気を作り出していく。下村は曲の合間にチャットモンチーとの出会いや2人の素顔を明かしつつ、「チャットの曲は楽しいんだよね。2人ともめちゃくちゃ言うんだよね(笑)」とサポートメンバーとしての顔を垣間見せる。「チャットモンチーに捧げます」という言葉からつなげられた「song of sick」は大人数ならではの編成を生かしたアンサンブルが会場に高揚感をもたらした。

「チャットモンチーの9周年を祝いに来ました。祝いたくてパンパンでしょう? 盛り上げますよ」という宣言からライブをスタートさせたgroup_inouは、トークを挟みつつビートを効かせたトラックでフロアを揺らしていく。序盤は大人しい雰囲気でステージを見つめていた観客だが、チャットモンチーが9周年であることにちなんで披露された「9」から徐々に体を動かしながら2人のパフォーマンスを楽しみ始めた。特にフロアを熱狂させたのは、チャットモンチー「変身」のリミックスカバー。“新進気鋭のフィーメールラッパー”という紹介で、キャップを被りBガール風に決めたチャットモンチーの2人が登場すると場内の熱気は急上昇。橋本、福岡、cpの3人は、ダンサブルに味付けされた「変身 (GLIDER MIX)」のトラックに乗せて歌声を重ね、さらにはキュートな振り付けも披露。このイベントならではの光景に大歓声が沸いた。

トリを務めるのは主役のチャットモンチー。恒岡章(Dr / Hi-STANDARDCUBISMO GRAFICO FIVE)と下村とともに現れた橋本と福岡は、まず最新曲「こころとあたま」をパフォーマンス。激しく勢いのあるアンサンブルで、オーディエンスに新体制のチャットモンチーをアピールする。一方で「シャングリラ」では、下村の奏でるシンセサイザーをフィーチャーしてユーモラスな雰囲気を打ち出し、進化したサウンドを観客に届けていた。

福岡が「ここまで来る道のりが長くて……。でも、めっちゃいいイベントじゃないですか」と口にすれば、橋本も「最高のイベントです」と答えライブを楽しんでいることを明かす。さらに福岡は「お正月に! お正月に重大発表があります。けっこうデカいお知らせがバババンと!」と予告し、10周年に向けて飛躍していくことを誓った。その後、イントロから観客を驚かせた「親知らず」、軽妙なサウンドで魅せた「いたちごっこ」を経て、本編のラストは「恋愛スピリッツ」。この曲では橋本と下村のツインギターがどっしりしたバンドサウンドを紡ぎ出し、アウトロでは4人が音をぶつけ合い、激しい余韻をフロアに残した。

「9周年なのでちょっと楽しい曲をやりたいと思います」という橋本の言葉から突入したアンコールでは、本家・恒岡のドラムでカバーされたHi-STANDARD「NEW LIFE」と、チャーミングなアレンジを施したgroup_inou「JUDGE」のカバーが披露される。アンコールらしいリラックスしたムードは、ラストナンバーの「満月に吠えろ」で最高潮に達する。the chef cooks meとgroup_inouに加え、チャットモンチーの出身地徳島県のゆるキャラ・すだちくん、ギョーザマンに扮したおおはた、チャットモンチーのキャラクターちゃんくま、group_inouのキャラクターillckrが登場し、会場中がお祭りのような雰囲気に。にぎやかなセッションが繰り広げられたのち、福岡は「お正月、絶対ホームページ見てね! 来年は10周年だ!」と叫ぶ。こうして3時間半以上におよんだ「9周年記念ライブ“9愛”」は楽しげな余韻と、10周年への期待を残して幕引きとなった。

「9周年記念ライブ“9愛”」
2014年11月21日 Zepp DiverCity TOKYO チャットモンチーセットリスト

01. こころとあたま
02. ハテナ
03. シャングリラ
04. Yes or No or Love
05. 親知らず
06. いたちごっこ
07. 恋愛スピリッツ
<アンコール>
08. NEW LIFE
09. JUDGE
10. 満月に吠えろ

※記事初出時、写真クレジットの表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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