音楽ナタリー

10周年に弾み!アイマス5時間ライブ堂々完遂

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10月4、5日、東京・東京体育館でライブ「THE IDOLM@STER 9th ANNIVERSARY WE ARE M@STERPIECE!!」が開催された。

このライブはゲームやアニメなどの展開を見せる「THE IDOLM@STER」(アイマス)シリーズの出演声優がゲーム、アニメ内のテーマソングや自身のキャラクターソングなどを披露するというもの。「9th ANNIVERSARY」のタイトル通り、アーケードゲーム版「アイマス」稼働開始から9周年を迎えたことを記念して開催され、8月の大阪・インデックス大阪5号館を皮切りに、名古屋、東京でそれぞれ2DAYS公演が行われた。ここではツアー最終日、10月5日の公演の模様をレポートする。

台風18号の接近に伴い、強い雨に見舞われながらも、多くのアイマスファン、通称“プロデューサー”が集まるこの日の東京体育館に登場したのは、中村繪里子、今井麻美、釘宮理恵、平田宏美、下田麻美、沼倉愛美、原由実、浅倉杏美の8人。ドラム、ベース、ギター、キーボード、4本のストリングスからなるバンドともにステージに現れた彼女たちは、アニメ「THE IDOLM@STER」のオープニングテーマ「READY!!」で、自らの9周年記念ツアー千秋楽の幕を切って落とした。

今井、釘宮、沼倉、原が劇場版「THE IDOL M@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」挿入歌「ラムネ色 青春」を披露したのちには出演陣それぞれによるソロコーナーがスタートする。トップバッター中村は「太陽のジェラシー」を明るく歌ったかと思えば、真紅の光に包まれながら「I Want」をタフに、そして妖しげに歌い上げる。また客席のウェーブを誘いながら「Honey Heartbeat」と「ジェミー」をコミカルに歌う下田は、会場が東京体育館であることから、2020年の東京オリンピックに先駆けて滝川クリステルよろしく「お・も・て・な・し」とポーズを決め、さらに「TOKYO」と書かれたフリップを掲げる小ネタでプロデューサーの笑いを誘ってみせた。

以降、ステージでは下田が残した「TOKYO」のフリップを巡る大喜利合戦と、ゲームやアニメのいち場面を思わせる、ときにシリアスで、ときには温かいプレイというコントラストの効いたパフォーマンスが繰り広げられる。明るくアップリフティングな「自転車」と、フォーキーな「チアリングレター」を歌う平田が「宏美のお茶会にようこそ! in TOKYO」とフリップを手にすれば、「下田さんって人の置き土産を平田さんが拾ったんでしょ?」とボヤく浅倉は「TOKYO」を胸の前に掲げ、しなを作って階段に腰掛けてみせる。それでいて自身の担当キャラクター・萩原雪歩の人気曲「Kosmos, Cosmos」ではプロデューサーの大歓声とエレクトリックなビートを背に、その雪歩よろしくどこか儚げながらもかわいらしい歌声を響かせ、さらにストリングスとピアノのアンサンブルが印象的な「First Step」では自ら手がけた詞を優しい声色に乗せてプロデューサーへと届けていた。

浅倉の呼び込みでステージに舞い戻った8人は、ライブ中盤戦をユルユルとしたMCでスタートさせる。

ハードな「I Want」を歌う中村が女王様然としていたとの話題で盛り上がれば今井が、「アイマス」シリーズ屈指のツンデレキャラ・水瀬伊織を演じる釘宮にプロデューサーを罵るよう水を向け、プロデューサーからもやんやの大歓声が巻き起こる。しかし釘宮は「みんな、罵らなくてもがんばれる!」と華麗にスルー。客席の一枚上をいく女王様ぶりを発揮した。また下田がMCで「TOKYO」のフリップを使ったことについてドキドキしたと振り返ると一同は、まだフリップを手にしていない原に、「TOKYOやで」とかわいらしい関西弁でプロデューサーにアピールさせる“遊び”を繰り広げていた。

続いて行われたのは、今回のツアーへの出演が叶わなかった「アイマス」シリーズのメインキャスト、長谷川明子、たかはし智秋、仁後真耶子、若林直美の楽曲をそれぞれが歌うカバーコーナーだ。中村と沼倉が長谷川演じる星井美希の「Day of the future」で声を合わせれば、下田と原はたかはし演じる三浦あずさの「9:02pm」をアダルティに歌い上げ、今井と釘宮は仁後演じる高槻やよい「チクタク」をかわいらしくパフォーマンス。そして平田と浅倉は若林自身、そして彼女が演じる秋月律子のトレードマークでもあるメガネ姿で秋月名義の楽曲「liVE」を披露する。

ゲーム中の映像同様、指でハートマークを作るダンスが印象的な「ONLY MY NOTE」を8人が歌うと、ゲーム、アニメに登場する高木社長の映像がステージ後方と両サイドの巨大スクリーンに映し出される。その映像が「勘のよい諸君なら誰が来たか、もうお気づきだろう! ともに受け取ろう。彼女からの最高のパフォーマンスを」と煽ると、ステージにはこの日のサプライズゲスト、茅原実里が登場する。この日の出演陣の担当キャラクターのライバルにして、“最強の”アイドルキャラクター・玲音の声を務める彼女は、まさに最強というべき、圧巻のステージングで玲音の楽曲「アクセルレーション」を熱唱。体育館中に地響きのように鳴り響くプロデューサーの歓声に応えてみせた。

しかしその後は一転。8人がステージに合流し中村が歌い終えたばかりの茅原の汗をタオル片手に拭きたがると、茅原は7人とともにこれを見て見ぬフリ。中村に見せつけるように釘宮に汗を拭いてもらい、彼女にほぞをかませるなど、和気あいあいとした空気を作り出し、次の楽曲となる中村、下田、平田、浅倉の「待ち受けプリンス」をダンスでサポートしてステージーをあとにした。

「待ち受けプリンス」のあとにはソロコーナー後半戦の幕が開く。そのトップバッターは沼倉。彼女は「しあわせのレシピ」でサポートプレーヤーのキーボードを脇から弾いてみたり、おたまで脇からドラムを叩いてみたりとラブリーなパフォーマンスを見せ、MCではそのドラマーに「しあわせのレシピ」のワンフレーズをもじった「♪しあわせの“TOKYO”」と歌わせては会場を温める。しかしその直後にはアコースティックギターとストリングスをフィーチャーしたバラード「初恋 ~一章 片想いの桜~」を優しく歌い上げ、その表情豊かなステージングでプロデューサーを魅了する。

「キミはメロディ」を歌った釘宮は、ソロコーナー前半終了直後のMCを受け「“TOKYO”とご褒美、どっちがいいかな?と思って」とポツリ。これにプロデューサーが大「ご褒美」コールを返すと「何、みんなピンクの棒なんか振っちゃって! この変態! ド変態!」「アンタたち、ホントにバカじゃないの!?」と、ついにご褒美を繰り出し、この日何度目かのピークを作り上げる。そしてイントロのピアノソロが鳴り響くやどよめきが巻き起こった「my song」を歌いステージをあとにした釘宮に続いた原は、「Princess Snow White」を軽やかに歌うと、かつて「心の闇が垣間見える」と評された自作イラストを笑いながら披露。「みんな一緒だよ」をテーマに、ステージから見える色とりどりのサイリウムを描いたと語る彼女は、まさにサイリウムの光であふれかえった客席エリアに向けて、和テイストあふれる「風花」「ふたつの月」を披露して、ソロコーナーのラストバッター、今井にバトンを渡した。

ハイキックを織り交ぜたアグレッシブなダンスが目を惹くアッパーチューン「Fate of the World」と、「アイマス」の“アンセム”の1曲にも数えられるバラード「蒼い鳥」という対照的な2曲を、しかしいずれもエモーショナルに歌った今井は、自身のステージと、ソロコーナー後半戦を「約束」で締めくくる。しかし、この曲の終盤、今井のもとに中村、釘宮、平田、下田、沼倉、原、浅倉が集い、声を重ねる演出がなされると彼女は堪らず泣き出し、声を詰まらせてしまう。まったくの偶然ながら、自身が演じるキャラクター、如月千早がアクシデントからこの曲を歌えなくなったところを仲間たちに支えられたアニメ版「アイマス」20話と同じシーンを現出させて東京体育館を大きな感動で包み込んだ。

総演奏曲30曲超、総ランニングタイム5時間に及んだライブのラストを飾ったのは8人が歌う「M@STER PIECE」「虹色ミラクル」、そして茅原を加えた9人による「THE IDOLM@STER」。アップリフティングなこの3曲をドロップした面々は、それぞれ「アイマス」とプロデューサーへの感謝の言葉を残してステージをあとにする。そして最後に残ったのは中村と今井。中村は今井に向かって、9年前「アイマス」開発チームのリーダー・石原章弘に趣味や特技がないことを明かしたところ、10年前からやっていることや続けていることがあるならそれを趣味や特技と言えばいい、と言われたことを告げる。これに今井が「繪里ちゃん今(中村が演じるキャラクター)天海春香になって何年?」と返すと、中村は「10年目」「趣味・特技、アイマスです!」と笑顔で即答。来たるべき「アイマス」10周年に向けてこれ以上ない期待を持たせるひと言で9周年ツアーの幕を閉じた。

※記事初出時、本文中の一部楽曲名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

THE IDOLM@STER 9th ANNIVERSARY WE ARE M@STERPIECE!!
2014年10月5日 東京体育館 セットリスト / 歌唱アーティスト

01. READY!! / 中村繪里子、今井麻美、釘宮理恵、平田宏美、下田麻美、沼倉愛美、原由実、浅倉杏美
02. ラムネ色 青春 / 今井麻美、釘宮理恵、沼倉愛美、原由実
03. 太陽のジェラシー / 中村繪里子
04. Vault That Borderline! / 中村繪里子
05. I Want / 中村繪里子
06. Honey Heartbeat / 下田麻美
07. 黎明スターライン / 下田麻美
08. ジェミー / 下田麻美
09. 迷走Mind / 平田宏美
10. 自転車 / 平田宏美
11. チアリングレター / 平田宏美
12. 何度も言えるよ / 浅倉杏美
13. Kosmos, Cosmos / 浅倉杏美
14. First Step / 浅倉杏美
15. Day of the future / 中村繪里子、沼倉愛美
16. 9:02pm / 下田麻美、原由実
17. チクタク / 今井麻美、釘宮理恵
18. livE / 平田宏美、沼倉愛美
19. ONLY MY NOTE / 中村繪里子、今井麻美、釘宮理恵、平田宏美、下田麻美、沼倉愛美、原由実、浅倉杏美
20. アクセルレーション / 茅原実里
21. 待ち受けプリンス / 中村繪里子、平田宏美、下田麻美、浅倉杏美
22. Rebellion / 沼倉愛美
23. しあわせのレシピ / 沼倉愛美
24. 初恋 ~一章 片思いの桜~ / 沼倉愛美
25. キミはメロディ / 釘宮理恵
26. Sentimental Venus / 釘宮理恵
27. my song / 釘宮理恵
28. Princess Snow White / 原由実
29. 風花 / 原由実
30. ふたつの月 / 原由実
31. Fate of the World / 今井麻美
32. 蒼い鳥(M@STER VERSION) / 今井麻美
33. 約束 / 今井麻美
34. M@STER PIECE / 中村繪里子、今井麻美、釘宮理恵、平田宏美、下田麻美、沼倉愛美、原由実、浅倉杏美
35. 虹色ミラクル / 中村繪里子、今井麻美、釘宮理恵、平田宏美、下田麻美、沼倉愛美、原由実、浅倉杏美
36. THE IDOLM@STER / 中村繪里子、今井麻美、釘宮理恵、平田宏美、下田麻美、沼倉愛美、原由実、浅倉杏美、茅原実里

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