映画ナタリー

「ポンチョに夜明け」廣原暁が黒沢清とトーク、「トラック野郎」からの影響明かす

82

「ポンチョに夜明けの風はらませて」先行プレミアトークイベントの様子。左から黒沢清、廣原暁。

「ポンチョに夜明けの風はらませて」先行プレミアトークイベントの様子。左から黒沢清、廣原暁。

ポンチョに夜明けの風はらませて」の先行プレミアが本日8月12日に東京・新宿シネマカリテにて開催。監督を務める廣原暁と映画監督の黒沢清が上映後にトークイベントを行った。

「HOMESICK」の廣原が早見和真の同名小説を映画化した本作。太賀、中村蒼、矢本悠馬、染谷将太らをキャストに迎え、高校生活最後の旅に出た男子3人組の姿を描く青春ロードムービー。

東京藝術大学大学院の映像研究科で教授と学生という師弟関係にあった黒沢と廣原。映画を2回鑑賞したという黒沢は「1度目はバカなことをバカバカしいほどにやるという典型的な青春映画と感じました。でも今日再び観てこれは青春映画じゃないなと」と印象が変化したことを述べ、「物語はあくまで青春映画風なんですが、最初から彼らに帰る場所はないという。青春の帰結としてトボトボと、あるいはハツラツと家、学校、社会という場所に戻る気配が微塵もないニヒリスティックで不吉な映画」と語る。

そう感じた理由の1つとして黒沢は「誰も高校生に見える登場人物がいない」というキャスティングの観点から指摘。そして「歳の行った大人たちが1日だけ高校生に戻るというようなある種の悲壮感を感じさせます。主要メンバーの4人が高校生に見えないのはどういった狙いだったんですか?」と廣原へ問うと、廣原は「最初の段階からリアルな高校生を起用する気はなくて。すごくフィクショナルなものをやりたかったんです。この映画では自然さというものを映画の中で求めませんでした。リアルとは異なるベクトルを持った作品にしたかったんです」と述べた。

続いて黒沢が「映画の前半は本当にバカバカしいことをウキウキとやっていて、それが海にたどり着いたあたりで雰囲気がガラッと変わる。前半と後半のタッチの違いは脚本の時点で考えてたんですか?」と尋ねる。廣原は「雰囲気は特に意識はしてませんでした。でもその海の夜のシーンは脚本上の転換点。明日世界が終わるかもみたいな感じのシーンにしたかった」と答えた。

さらに黒沢は1970年頃の東映作品を引き合いに出し「特に前半ですけど、鈴木則文作品や『不良番長』シリーズのような大人たちがハチャメチャやる“青春映画”のノリを感じました」と話す。廣原は「実は一番最初に脚本を書くときに意識していました(笑)。『トラック野郎』シリーズのようなぶっ飛んだ、はっちゃけた部分を」と明かす。そして「太賀くんには、最初『トラック野郎』の菅原文太さんを意識してと言いました(笑)」と影響を語った。そのほか、あるシーンでは相米慎二の「台風クラブ」、作品全体としてロバート・アルトマンの群像劇を参考にしているという。

「ポンチョに夜明けの風はらませて」は10月28日より、東京・新宿武蔵野館ほかにてロードショー。なお黒沢が監督を務めた「散歩する侵略者」は9月9日より全国でロードショー。

(c)2017「ポンチョに夜明けの風はらませて」製作委員会

映画ナタリーをフォロー