「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」特集 | 新たな韓国マクチャンドラマ誕生、超ドロドロの愛憎&復讐劇に沼る

「福寿草」で知られるヨ・ジョンミが脚本を手がけた韓国マクチャンドラマ「復讐の渦~因縁の父娘おやこ~」が、4月5日にU-NEXTで独占先行配信開始。同日にDVDレンタルも開始される。本作は、果てなき愛憎に翻弄された人々の欲望と破滅を描いた復讐エンタテインメントだ。人生のどん底に追い詰められた娘と愛に飢えた上流階級の娘が、冷徹で強欲な父親が仕組んだ運命を生き、復讐の渦へと身を落とすさまが描かれる。

映画ナタリーでは、超ドロドロの愛憎と復讐劇が繰り広げられる「復讐の渦~因縁の父娘おやこ~」の特集を展開。全120話を走破した韓国ドラマ好きのライター・前田かおりが、本作の見どころ&レビューとともに“マクチャンドラマあるある”を紹介する。この機会にマクチャンドラマデビューしてみては? なお一部ネタバレも含まれるためご注意を。

文 / 前田かおり

ドラマ「復讐の渦~因縁の父娘おやこ~」予告編公開中

マクチャンドラマとは?

韓国ドラマと言えば、ドロドロの愛憎劇やハラハラドキドキの復讐劇などを指すマクチャンドラマがおなじみ。そもそも“マクチャン”とは、炭鉱で石炭を採掘する部分のこと。場合によっては生き埋めになるなど命の危険がある場所で、転じて“どん詰まり”という意味がある。マクチャンドラマというジャンルにおいては、現実では絶対にあり得ない状況や複雑にねじれた人間関係などを詰め込んだストーリーがジェットコースターのように急展開していく。ぶっ飛び要素満載で「そんなこと、ありえなーい!」と思いながらも、観始めると先が気になり、ついついハマってしまう魅力がある。それがマクチャンドラマだ。

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

“マクチャンドラマあるある”を紹介

マクチャンドラマにはお約束のような要素がいくつもある。定番とも言えるのが、出生の秘密。実は親子だった!? 兄弟姉妹だった!?という要素がとんでもないストーリーを紡ぎ出し、時には強引すぎる展開もアリにしてしまう。例えば、今作もサブタイトルに“因縁の父娘”とあるように、父親と娘をめぐる出生の秘密が壮絶な愛憎&復讐劇の引き金になっている。

チョン・ヘヨン演じるユン・ソル。

チョン・ヘヨン演じるユン・ソル。

キム・ユソク演じるカン・チファン。

キム・ユソク演じるカン・チファン。

次に、マクチャンドラマにおいて欠かせないのが財閥。「復讐の渦~因縁の父娘おやこ~」も貧しい男が財閥の娘婿になって権力をモノにしようとするところから物語が始まる。また、財閥が出てくれば、金と地位にモノを言わせて悪行を繰り返す財閥2世、3世といったファミリーや、財閥が持つ力に擦り寄ろうと彼らに媚びを売る者たちがストーリーに関わってくる。

そして、必須キャラクターとして登場するのが、性格の悪い人間だ。「本当に血が通っている人間か!?」と思うほど冷酷極まりない極悪人、はたまた底意地の悪い姑などが、自分の欲望を満たすためなら手段を選ばず、主人公をとことん追い詰めていく。そのほか、恋人の裏切りや不倫、不治の病、記憶喪失などもよくあるが、最大のお約束は“勧善懲悪”。悪事は必ず暴かれ、どんな悪党であっても罰せられ、さまざまな困難に見舞われた主人公もハッピーエンドを迎えることになる。だからこそ「こんなに胸が痛むような物語なんて観ていられない!」と脱落しそうになっても、クライマックスに待っている痛快感や爽快感を期待して観ずにはいられないのだ。今作も思う存分ツッコみを入れながら、ハッピーエンドを楽しみに全120話を走破してほしい。

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘おやこ~」見どころポイント

実娘の命を狙ってまで…鬼父の野望がすごい!

自身の子を身籠った恋人を自殺に追い込み、実の娘が生きていると知ると自らの手で命を奪おうとする鬼父カン・チファン。そこまでして彼が得たいのは、絶対的な権力だった。資産家一族に取り入って、令嬢の婿となり、義父に認めてもらうためにあらゆる手段を講じて邪魔なものはことごとく排除していく。身近にはどんな汚れ仕事でもこなす子飼いの部下を置き、家政婦の優秀な息子を検事にさせて自分たちの犯罪を隠蔽する。チファンのすさまじい絶対的な権力へのこだわり、そして義父を見返してやろうとする執念深さはいったいどこから生まれてくるのか。注目してほしい。

彼が好きなのは…1人の男性をめぐる愛憎劇を見逃すな!

子供の頃に、池で溺れていたところを助けてくれた少女イ・ヘインに淡い恋心を抱いたハ・ジヌ。大人になって再会したユン・ソルが、突然姿を消したヘインとは思わずに惹かれていく。一方、カン・セナは親同士が友人だったことから、幼い頃からともに育ったジヌが初恋の相手。ずっと彼に恋してきたが、まったく恋愛対象として見てもらえずにいた。ジヌをあきらめきれないセナは、あの手この手でソルとの仲を引き裂こうと画策する。ソルはそんな彼女の嫌がらせにも屈せずに立ち向かい、その態度がセナの怒りをますますヒートアップさせていく。

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

そんな三角関係に、セナを一途に思い続けてきたムン・ドヒョンが参戦。幼い頃はセナに見向きもされなかったが、検事となった今、愛する彼女を傷付けたジヌを破滅させようとたくらむ。セナと権力を手に入れるため、悪事にも手を染めるのだった。ソルとジヌ、セナとドヒョン、思わぬ形でねじれていく愛憎劇から目が離せない。

左からソ・ハンギョル演じるハ・ジヌ、チン・ジュヒョン演じるムン・ドヒョン。

左からソ・ハンギョル演じるハ・ジヌ、チン・ジュヒョン演じるムン・ドヒョン。

全120話を走破!
前田かおりが「復讐の渦」をレビュー

マクチャンドラマ界に新たな旋風を巻き起こす

今や世界中から注目を集める韓国ドラマ。胸キュン必至のラブロマンスに、涙なしでは観られないヒューマンドラマや時代劇、はたまたスリル満点のサスペンスといったいろいろなジャンルがあるが、忘れてはいけないのが韓国特有のマクチャンドラマだ。現実ではありえない設定や状況に刺激的な要素を盛りだくさんにして描く愛憎劇で、観始めたら「そんなバカな……」とツッコみたくなるような展開が小気味よくクセになってしまう。近年で言えば、韓国で社会現象にまで発展した「ペントハウス」や「夫婦の世界」はマクチャンドラマの傑作と言われ、日本でも多くのファンの心をつかんだ。そんなマクチャンドラマ界に新たな旋風を巻き起こすのが「復讐の渦~因縁の父娘おやこ~」だ。

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

物語の鍵は“出生の秘密”

大手企業ムジョン建設の会長チョン・サンチョルの娘ミガンと結婚し、権力を得ようともくろむチファンは身重の恋人イ・スニョンの自殺を装い、母子ともに死んだと思っていた。だが、スニョンは出産したばかりの娘ヘインをチファンの秘書でスニョンの親友ナ・ジョンイムに託していた。8年後、養護施設で暮らしていたヘインは池で溺れていた少年ジヌを助けたことから親しくなるが、その矢先に養子先が決まり、新たな家族に引き取られていく。その養父母にヘインが虐待されていたことを知ったジョンイムは、自分のもとにヘインを連れて来る。チファンの屋敷に住み込みの秘書として働くジョンイムは、チファンにヘインの存在がバレることを気にしながらも、これも因縁と考える。だが、同じ年頃のチファンの娘セナはヘインのことを疎ましく感じ、何かと衝突する。そんな中、DNA鑑定でチファンはヘインの素性を知り命を奪おうとする。間一髪のところを運転手のユン・イチャンに助けられたヘイン。その後、イチャンとジョンイムが養父母となり、ヘインは名をユン・ソルと改め、幸せに暮らしていた。やがて大人になった彼女は、化粧品会社シャインコスメティックへ就職。奇しくもその会社の社長はチファンで、溺愛する娘セナを新ブランドの顔にしようと画策していた。だが、セナの実父はイチャンで、セナ本人はもちろんチファンも知らない出生の秘密だった。

チョン・ウヨン演じるカン・セナ。

チョン・ウヨン演じるカン・セナ。

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

ソルは強欲な男チファンのせいで生まれたときから人生を狂わされ、ようやく優しい養父母と出会って幸せをつかんだと思いきや、再びチファンによって地獄に突き落とされてしまう。第1話からヘインことソルだけでなく、チファンが実娘と信じて疑わないセナにも出生の秘密がある伏線がぶち込まれ、幼少期からの因縁や陰謀、裏切り、犯罪の隠蔽など定番のマクチャンドラマ要素が盛り盛りで、このドロドロ愛憎劇はどうなるのか、チファンへの復讐は果たせるのか、物語の行く末を見届けずにはいられなくなる。「全120話」と聞くとハードルが高そうに感じるが、だからこそなんでもアリなマクチャンドラマの醍醐味が味わえるのだ。

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

「復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~」場面写真

マジ、背筋が凍ります!

そんな物語を牽引する今作のキャラクターがとにかく強烈。すべての元凶となるチファンがとんでもなく非道な冷徹人間で、上流階級でのし上がり、自分を蔑んできた者を見返すためなら手段を選ばない。悪事上等、邪魔な人物はことごとく排除して、血のつながっているソルの命を一度ならず二度三度と狙い、さらには養父母殺しの罪の濡れ衣も着せるなど、その鬼畜っぷりはとどまるところを知らない。演じているのは、ベテラン俳優のキム・ユソク。大ヒット時代劇ドラマ「トンイ」やラブファンタジー「ディア・ブラッド~私の守護天使」など多彩なジャンルで名バイプレイヤーとして活躍している。彼は大学卒業後、演劇を学ぶためにロシアへ留学。キャラクターを緻密に分析して表現する理論派俳優だ。これまでも数々の作品で悪役を演じているが、今作では冷酷さや卑劣ぶりをより際立たせてチファンを怪演している。マジ、背筋が凍ります!

キム・ユソク演じるカン・チファン。

キム・ユソク演じるカン・チファン。

もう1人のヒロインが愛憎&復讐劇に“激辛”スパイス加える

チファンのせいで実母を失っただけでなく、次から次へと人生の窮地に立たされるソル。演じているのは、「今日のウェブトゥーン」のチョン・ヘヨン。悲劇のヒロインながら、明るく聡明で誰からも愛されるキャラクターをまっすぐに演じ、波乱に満ちたストーリーに観る者を引き込んでいく。そして、もう1人のヒロイン・セナ役には「ごはんに願いを~人生逆転レストラン~」で主演を務めた元F-ve Dollsのチョン・ウヨンが扮した。金持ちの令嬢でチファンの溺愛からわがままな性格に育ち、疎ましい存在のソルを何かと陥れようとする悪女の顔を持つ。彼女はシャインコスメティックの危機をソルが救ったことも、自分が20年間も愛してきたジヌにフラれたのも、すべてソルのせいだと逆恨み。社内の匿名掲示版に誹謗中傷を書き連ねては、それをネタにして喧嘩を吹っ掛ける。さらには自分からわざとソルにぶつかって加害者扱いするなど、彼女を会社から追い出すためにあの手この手の嫌がらせを繰り返す。しかしソルは、そんなセナの妬みや嫉みなど気にせず、正々堂々と立ち向かっていく。セナはこの愛憎&復讐劇にピリッとひと味、“激辛”なスパイスを加えているキャラクターだ。

ソ・ハンギョル演じるハ・ジヌ。

ソ・ハンギョル演じるハ・ジヌ。

左からチョン・ヘヨン演じるユン・ソル、チョン・ウヨン演じるカン・セナ。

左からチョン・ヘヨン演じるユン・ソル、チョン・ウヨン演じるカン・セナ。

さらに、ソルとの再会を喜び、優しい笑顔で彼女を愛し支える青年ジヌ役を映画「The Witch/魔女」やドラマ「復讐代行人~模範タクシー~」で知られるソ・ハンギョルが好演。セナに恋心を抱き、チファンの望みを叶えるために検事になるドヒョン役には「明日も晴れ」のチン・ジュヒョンが選ばれた。虎視眈々と権力を手に入れていく姿はチファンとそっくりで、やがて彼を脅かすまでの存在になる。そのほか、ソルの養父母に「優雅な母娘」のイ・フンと「カンテク ~運命の愛~」のチョ・ウンスク、ジヌの父に「浪漫ドクター キム・サブ」シリーズのピョン・ウミンと、韓国ドラマではおなじみのベテランたちが集結。確かな演技で波乱に満ちたストーリーに引き込み、若手俳優とのアンサンブルでドロドロの愛憎劇を盛り上げていく。今作を手がけた脚本家は、マクチャンドラマとして大ヒットした「福寿草」や「鳴かない鳥」のヨ・ジョンミというのも期待大。怒涛の展開でエモーショナルに繰り広げられていく新たなマクチャンドラマにぜひたっぷりと沼ってほしい。

ドラマ「復讐の渦~因縁の父娘おやこ~」第1話特別公開中

ドラマ「復讐の渦~因縁の父娘おやこ~」ダイジェスト