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画力対決に安彦良和「赤紙には逆らえない」とピカチュウ描く

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西原理恵子と人気マンガ家たちが画力を競う公開チャリティイベント「西原理恵子の人生画力対決ライブ~安彦良和SPECIAL~」が、去る4月3日に渋谷マウントレーニアホールにて開催された。イベントは2部構成で、第1部のゲストには安彦良和が登場。第2部には安彦に加え、板垣恵介伊藤理佐福本伸行藤田和日郎ヤマザキマリ吉田戦車が参加した。

第1部オープニングでは「も、え、あ、が、れ」の出だしでお馴染みの「翔べ!ガンダム」をBGMに安彦が入場。客席からは黄色い声も交じった歓声が上がり、あまりのアウェー感に西原は「今日で日本人の半分に嫌われるんでしょうねえ」と玉砕覚悟の言葉を口にする。司会の八巻和弘氏が思わず「なんで引き受けてくれたんですか」と尋ねると、安彦は「“赤紙”が来ちゃったら逆らえないじゃない」と頭を掻いた。

乾杯を済ませると、まずは自身の持ちキャラを下描きなしで描く恒例の「ナマ描き」へ。安彦がシャアを描き始めると場内は異様な高揚感に包まれるが、西原は「なんでも赤く塗れって言う人でしょ? お金かかって仕方ない」とすかさず水を差す。

小学館と角川書店の合同開催とあり、1つ目のお題は「ケロロ軍曹とピカチュウ」に決定。ツッコミどころはありつつも愛らしいイラストを描いた安彦に対し、西原はケンカするケロロとピカチュウという、安定したダーティさで応戦。互いのファイトスタイルが表れたような、挨拶代わりのジャブが交わされた。

続けてお題「涼宮ハルヒとドラえもん」「庵野秀明」をこなした後は、「マクロス」シリーズに登場する「リン・ミンメイ」が出題される。安彦がそれらしい美女を描いてみせると拍手が起きるが、その温かい雰囲気に西原は「(この完成度で)なぜ褒められる……」と面白くない様子。そんな西原は歌姫とは程遠い中国人風女性を描き、「(地元の)高知では放送してなかった」と開き直る始末。

「オセロ中島」「両津勘吉」「ザク」に続く出題は、2部からの出演を控える福本の「カイジ」。ここで安彦が「ハイジ?」と聞き違えたことから、「カイジとハイジ」という複合問題にシフト。西原にとって何度も出題されてきた「カイジ」は慣れたもの。「ハイジ」の出来はともあれ、特徴を押さえた「カイジ」は余裕の仕上がりだ。劣勢と思われた安彦だったが、「ハイジ」をほぼ完璧に描き上げた上、例の「鼻ステッチ」が入った「カイジ」を繰り出し応酬。福本のインパクト満点な画風は、御大にも届いていたことが判明した。

休憩時間を挟みスタートした第2部は、豪華な顔ぶれが続々と登壇。中でも大の安彦ファンとして知られる藤田は「安彦先生がゲストじゃなかったら来てないよ!」と西原を煽る。しかし西原には勝ち気な藤田も、安彦の隣に席を移すと途端にしどろもどろに。「岩崎月光」と「うしおととら」をナマ描きする藤田だったが、西原に「隣で安彦先生が見てるよ」と茶化される度、声を上げて動転してしまう。

続けて2部のゲストが次々とナマ描きを披露していく。「情熱大陸」が密着中というヤマザキは「ルシウス」を2バージョン執筆。西原いわく「過去に登場したゲスト中、最も描くのが遅い」という板垣は「範馬刃牙」と「花山薫」を丁寧に描き上げた。夫婦揃って登場した吉田、伊藤はそれぞれ「しいたけ」と「カワウソ」、「ハムスター」と「おいピータン!!」をさらりと描き上げ、板垣が消費した時間を取り戻す。

そして福本がナマ描きのために立ち上がれば、客席からは「真打ちきた」「頑張れ」と掛け声が。福本による本家の「カイジ」を見た安彦は、先程自身が描いた絵を思い返し「(再現が)甘かったなあ。鼻と汗ぐらいじゃダメだね」と反省した。しかしその反省が役に立つ日は来るだろうか。

一同がナマ描きを終えると、総勢8名による対決へ。お題は「自分が一番好きな手塚治虫作品」からスタートした。それぞれの絵柄が反映された手塚キャラが生まれる中、最も会場の度肝を抜いたのはやはり福本。やけに縮こまった手、あさっての方を向いたおすまし顔の鉄腕アトムに、八巻氏も「手塚プロに怒られませんかね」と心配に。意見を求められた元虫プロの安彦も「いやいやいや……」と苦笑いするのみだ。なお当の福本による解説は「眉毛を描くか迷った」のひと言のみだった。

その後は思い思いの「藤子不二雄作品」「石ノ森章太郎作品」を描くお題が続く。「ガンダム」キャラが出題された際には安彦が「ガンダム」のナマ描きを披露し、客席からは悲鳴にも似た歓声が。最後に「一番好きなアニメ作品」というお題が出され、思い入れを語りながらそれぞれが絵を発表し、豪華メンバーが揃った第2部は幕を閉じた。

今回描かれたイラストは、Yahoo!オークションの「東日本大震災チャリティオークション」に出品される。またWEB中継を行ったニコニコ生放送では「ニコニコ募金」が募られた。なお対決の一部始終は、後日ビッグコミックスペリオール(小学館)の「人生画力対決」にて、数回にわたり掲載される。

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