今何を見つめるべきかが見えてくる、こまつ座「夢の泪」幕開け
2024年4月7日 12:10
4 ステージナタリー編集部
「こまつ座『夢の泪』」が昨日4月6日に東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて開幕した。
これは2003年に、井上ひさしが新国立劇場のために書き下ろした「東京裁判三部作」の第2作。今回は「井上ひさし生誕90年」第1弾と銘打ち、上演される。
開幕に際し、演出の栗山民也は「何度もベルリンの街を歩いた。日本での生活で、気持ちが完全に萎えてしまうような時は、迷うことなくベルリンへと向かった。その街は間違いなく記憶の刻まれた場所で、行くたびに過去の様々な人や風景の記憶が、目の前にはっきりと現れる。『夢の泪』の初日を前に、劇中の心に強く残った言葉のうち『ほんとうの日本史が書かれる』という一つのセリフが、何度となく頭の中を巡る。この国は、自分たちのほんとうの歴史にちゃんと向き合ってきたのだろうか。稽古をしながら考えた。朝、テレビをつけるとどこも瓦礫の街。この地球の上の現実の風景だ。この公演は、ただ過去を描いたものではない。今、何を見つめるべきか、そんな問いが見えてくるとても大事な作品に思う。何かと出会える場になりますように」とコメント。
伊藤菊治役のラサール石井は「いよいよ初日、沢山稽古したにも関わらず、これほど不安で緊張する初日は長い演劇人生でも初めてです。今日は朝に鎌倉の井上先生のお墓参りして来ました。一緒に行きましょうと申し上げたので、劇場にいらしてると思います。頑張りまーす!」とコメント。伊藤秋子役の秋山菜津子は「稽古も後半に入った頃、演出の栗山さんが仰った 『いま、こんな戯曲はどこにもないよ。』という言葉が、初日が近づくにつれ、ひしひしと身体で感じ始めているところです。そのような貴重な作品を多くの方に観ていただきたい、若い方にも知ってもらいたいと心から願っております。そして、キャスト、スタッフのパワーをもって観客の皆様にこの作品をしっかりとお届けできるよう、頑張るのみです」と思いを語った。そのほか出演者には瀬戸さおり、久保酎吉、粕谷吉洋、藤谷理子、板垣桃子、前田旺志郎、土屋佑壱、朴勝哲が名を連ねた。
上演時間は休憩を含む約2時間45分、東京公演は4月29日まで。また東京公演中の10日はラサール、秋山、瀬戸、前田、18日はラサール、久保、藤谷、板垣、27日は久保、瀬戸、土屋、粕谷、前田が登壇するトークショーが行われる。また本公演はその後、5月8日に埼玉・所沢市民文化センターミューズ マーキーホール、11日に山形・川西町フレンドリープラザでも上演される。
ロミオの青い空 Romeo's blue sky 《Die Schwarzen Bruder》 @ya_katsuo6401_t
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