セトリは「劇場版 マクロスF」イメージで
デビューのきっかけとなったアニメ「マクロスF」のキャラクター、ランカ・リーを連想させるオレンジとグリーンのワンピースでステージに登場した中島は、2019年のナンバー「Love! For Your Love!」で華やかにライブをスタートさせた。「Love! For Your Love!」はデビュー10周年を盛り上げるアニバーサリーソングとして北川勝利(ROUND TABLE)が書き下ろした楽曲。中島の音楽活動にデビュー時から寄り添ってきたバンマス西脇辰弥(Piano, Key)を筆頭に、田中栄二(Dr)、宍倉聖悟(G)、池尻晴乃介(B)、そしてマニュピレーター古島知久という強力なバンドメンバーを背に、中島は笑顔で歌を届けた。
ライブ前半には2010年発売の1stアルバム「I love you」収録曲「Sunshine Girl」、2013年のシングル曲「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」、そしてランカ・リー=中島愛としてのデビュー曲であり代表曲の「星間飛行」と活動初期の楽曲が並ぶ。ただし「星間飛行」は通常のシングルバージョンではなく、2011年に上映された映画「劇場版 マクロスF ~サヨナラノツバサ~」のライブシーンのアレンジに寄せた「星間飛行(Live in アルカトラズ)」。終盤のサビが転調するレアなバージョンだ。その後歌われた「虹いろ クマクマ」をはじめ、この日のセットリストには「サヨナラノツバサ」からの楽曲が複数盛り込まれていた。これについて中島は「前回はテレビ版の『マクロスF』のイメージでセトリを組んだんですけど、今回は劇場版のランカちゃんのイメージで」と説明。さらに、これまでのライブであまり歌われる機会のなかった楽曲を多くセレクトしたとこの日の選曲意図を明かした。
体調不良との向き合い
中盤のバラードコーナーで歌われたのは、2012年発表の2ndアルバム「Be With You」収録曲「恋」と、2009年の「劇場版 マクロスF 虚空歌姫 ~イツワリノウタヒメ~」公開時に発売されたランカ・リー=中島愛名義のアルバム「CMランカ」に収められていた「そうだよ。」の2曲。歌い終えた中島は「いい曲ですね。とても」としみじみ噛み締める。そして「サヨナラノツバサ」からアップテンポなナンバー「放課後オーバーフロウ」でパフォーマンスを再開すると、3rdアルバム「Thank You」収録曲「Wish」を勢いよく畳みかけ、ライブをクライマックスに導いていく。しかし、最新アルバム「green diary」収録曲「水槽」、「サヨナラノツバサ」楽曲「 ホシキラ」と続けるうちに中島は歌いづらそうな様子を見せ、時折声を詰まらせてしまう。「自分に挑戦するセットリストだったんですけど、どうしても声が出なくなってしまって……あまり言わないのも無理かもなと思って言っちゃいますけど」と、中島はこの2、3年抱えていたという体調不良について話し始める。「続けられないかも、と思うくらい……ごめんなさい、鼻水出ちゃった。そういうことは言わないつもりだったんですけど、今後に影響があるかもしれないので言いました。でも、歌える限りがんばっていきたいと思います。みんなもがんばってることがいっぱいあると思います。無理せず、自分が崩れないように無理せずがんばってください」と涙ながらに打ち明ける中島に、客席からは優しい拍手が送られた。「いろんな気持ちを込めて、今日の最後の曲を聴いてください」と、中島はライブの定番曲「金色~君を好きになってよかった」を歌い、ステージをあとにした。
「まめぐ!」コールを受けて再度登場した中島は、おそろいのライブTシャツに着替えたバンドメンバーを呼び込み、改めて1人ひとり紹介。「この曲も意外とひさしぶりにやる曲なので」と事前にコール&レスポンスの復習をしたうえで「愛はめぐる」を披露した。この曲は、中島が2014年3月に活動を休止したのち、2017年2月に再始動一発目のシングルとして発表した「ワタシノセカイ」のカップリングに収められていたナンバー。当時の彼女の活動再開を祝福するようなフレーズ「Love is coming, coming back!」がコール&レスポンスで繰り返された。場内にハッピーなムードが広がる中、中島は「新曲があります。密かに準備を進めて参りました曲がありまして」と宣言。「実は私、この曲で初めてのことをしています」と、新曲が自身の声をベースにしたボーカロイドソフト・VOCALOID Megpoid GUMIとのデュエット曲であることを明かす。作編曲およびGUMIの“調教”を担当したバンマス西脇はVOCALOID4 Megpoidのボイスバンク制作のための収録にも立ち合っていたとのことで、当時のエピソードから新曲制作に至る流れを解説した。新曲「リルロマンティック feat. GUMI」はシティポップテイストの軽快なポップサウンドに乗せて中島とGUMIが掛け合いで歌い、サビでユニゾンするスタイル。新曲の初披露を終えた中島は、ダブルアンコールの予定を変更し「おかわりさせてください」と、本編終盤にうまく歌えなかった「水槽」と「 ホシキラ」に再挑戦することに。
夢は25年後の「還暦パーティ」
自身の体調への向き合い方、この日のライブを通して感じた思いを改めて口にし、「やっぱり無理はみんなもしないでほしいし、無理してやることが美徳だった時代は終わった感じがしますので。私は前時代的な考え方で『無理してがんばるほうがいい』と思っちゃうこともあるんですが、いいものを見せられるように、そのときの自分に合わせて長く続けられるほうの選択を取っていきたいと思います」とメッセージを送ると、中島は「水槽」「ホシキラ」を続けて披露した。やはり時折声が詰まってしまう場面もあったが、今度は笑顔で歌いきり、最後にもう1曲、個人名義のデビューシングル「天使になりたい」のカップリングに収められていた「Be MYSELF」をパフォーマンス。バンドメンバーを見送ったのち1人ステージに残った中島は、「『Be MYSELF』をリリースした頃は深く考えず、単純に明るくて楽しくていい曲だなという感じで歌ってましたけど、この年齢になってからのほうが沁みますね……」としみじみつぶやき、「自分の歌は自分が歌い継いでいくことしかできないから、それには自分が元気でいることが大事かなと思いますので、これからも一生懸命がんばっていきたい所存です。こんなたくさんの方にライブを観ていただける環境が10年以上続いているということも、すごくありがたいことだと思います。これからも皆さんと一緒に、それぞれの歩幅で歩んでいけたらと思っていますので、皆さんも気負わずに。何よりも毎日を大切にしていただいて、その時々に私の歌や演じたキャラクターがいてくれるといいなと思っています」とメッセージを送った。そしてライブのタイトルにもなっている自身の年齢に触れ、「やっぱ『40』ってライブもしたいですよね。夢は還暦パーティなので……あと25年か。ちょっと長いな~。なかなか遠い未来ですけど、還暦パーティを目指していきましょう。そのあたりまで気長にお付き合いお願いします!」と明るく締めくくった。
なお、この日のライブの模様が生配信されたStreaming+では、6月29日23:59までアーカイブ映像が視聴できる。
セットリスト
「中島愛 15th Anniversary Live FINAL ~35~」2024年6月23日 日本橋三井ホール
01. Love! For Your Love!
02. Sunshine Girl
03. そんなこと裏のまた裏話でしょ?
04. 星間飛行(Live in アルカトラズ)
05. 虹いろ クマクマ
06. マーブル
07. Carry Out!
08. 思い出に変わるまで
09. 恋
10. そうだよ。
11. 放課後オーバーフロウ
12. Wish
13. 水槽
14. ホシキラ
15. 金色~君を好きになってよかった
<アンコール>
16. 愛はめぐる
17. リルロマンティック feat. GUMI
18. Be MYSELF
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中島愛 @mamegu_staff
素敵な写真とレポートありがとうございます🫶またすぐライブしたいよ〜〜!! https://t.co/JmE2xjKswd