WOWOW「生中継!第92回アカデミー賞授賞式」特集|オスカーは誰の手に!?白石和彌&町山智浩が受賞結果を大予想、番組出演者の意気込みも

第92回アカデミー賞授賞式が、日本時間2月10日に開催。WOWOWは、映画監督の白石和彌と映画評論家の町山智浩をスタジオゲストに迎え、授賞式の生中継番組を放送する。

映画ナタリーでは、白石と町山の受賞予想を紹介。さらに番組案内役として13度目の出演となるジョン・カビラ、8度目の参加となる高島彩、そして今年度レッドカーペットリポーターに就任した河北麻友子に、注目作品を語ってもらった。加えてスペシャルゲストとして現地取材を行う中島健人(Sexy Zone)のコメントも。あなたの予想する作品賞は? 本特集を読んで、年に一度の祭典に備えよう。

白石和彌の受賞予想

Netflix論争に決着か!?
「マリッジ・ストーリー」の素晴らしさにため息

白石和彌

受賞予想

作品賞
「マリッジ・ストーリー」
監督賞
トッド・フィリップス「ジョーカー」
主演男優賞
ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
主演女優賞
スカーレット・ヨハンソン「マリッジ・ストーリー」
助演男優賞
アンソニー・ホプキンス「2人のローマ教皇」
助演女優賞
ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」

コメント

「マリッジ・ストーリー」(Netflixで独占配信中)

「マリッジ・ストーリー」が作品賞を獲ってNetflix論争に決着をつけると予想。素晴らしい俳優陣と監督の強い意志のもとに作られた映画にため息が出ました。

監督賞は「ジョーカー」のトッド・フィリップスと予想しますが、誰が獲っても文句なしのすごい布陣です。個人的には「アイリッシュマン」の(マーティン・)スコセッシ監督のスピーチも聞いてみたいですし、ポン・ジュノ監督率いる「パラサイト 半地下の家族」チームが壇上に集まるのも見たい。

主演男優賞は「ジョーカー」のホアキン・フェニックスではないでしょうか。どのようなスピーチをするのか興味深いです。歴代のジョーカーたちに感謝するのか、兄に向けて語るのか、それとも環境問題など世界にメッセージを送るのか。

助演男優賞は予想が難しいですが、「2人のローマ教皇」のアンソニー・ホプキンスの円熟のお芝居が頭から離れません。個人的には大好きなジョー・ペシ兄貴(「アイリッシュマン」出演)の「グッド・フェローズ」以来の栄冠も見てみたいです。

主演女優賞はスカヨハ(スカーレット・ヨハンソン)。当たり年というか俳優人生の中でもっとも充実期を迎えています。マーベル映画から「マリッジ・ストーリー」「ジョジョ・ラビット」と仕事の振り幅とバランスが完璧で、女優ではない僕がうらやましく感じます(笑)。

助演女優賞はローラ・ダーン。対抗馬は「スキャンダル」のマーゴット・ロビーでしょうか。ローラ・ダーンはなかなか日本にはいないタイプの女優さんです。どの作品でも印象に残りますが、「マリッジ・ストーリー」は特に当たり役でした。

今年も司会者不在ということですが、昨年のアカデミー賞も成功しましたし、大きく盛り上がると思います。ただ、昨年は主要部門に「ボヘミアン・ラプソディ」や「アリー/ スター誕生」などの音楽映画がたくさんあったので盛り上げやすかったですが、今年は果たしてどう演出するのか、見どころです。

ここ数年アカデミー賞を席巻していたメキシコ映画チームが不在の中、今回の受賞作品が今後に何かしらの影響を与える重要な授賞式になると思います。

激動の映画界の今後を占ううえでも外せないアカデミー賞をぜひ一緒に目撃しましょう。

白石和彌(シライシカズヤ)
1974年生まれ、北海道出身。「凶悪」「孤狼の血」で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞。2019年公開作「凪待ち」「ひとよ」はともに第62回ブルーリボン賞邦画ベスト10に選ばれた。

町山智浩の受賞予想

作品賞本命は「1917」あるいは「ジョーカー」が俳優票を集めるか

取材・文 / 浅見みなほ

町山智浩

受賞予想

作品賞
「1917 命をかけた伝令」
「ジョーカー」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
監督賞
サム・メンデス「1917 命をかけた伝令」
ポン・ジュノ「パラサイト 半地下の家族」
主演男優賞
ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
アダム・ドライバー「マリッジ・ストーリー」
主演女優賞
レニー・ゼルウィガー「ジュディ 虹の彼方に」
スカーレット・ヨハンソン「マリッジ・ストーリー」
助演男優賞
ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
アル・パチーノ「アイリッシュマン」
助演女優賞
ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
◯ スカーレット・ヨハンソン「ジョジョ・ラビット」
作品賞
「1917 命をかけた伝令」 ©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

今年は予想がものすごく難しいですが、本命はズバリ「1917 命をかけた伝令」。全米プロデューサー組合賞(PGA)とゴールデングローブ賞も獲っているからです。特にPGAは、投票者がアカデミー会員とかぶっているため、非常にオスカーに近い賞と言われています。本作では、第1次世界大戦での若き兵士の物語をワンカットで見せています。あるシーンでは実際に1.5kmの塹壕を掘って撮影しているんです。徹底的に計算されたセットやコレオグラフが総合芸術として評価される可能性は高い。ただこの作品では、俳優は細かい動きまで全部決められていて、自由な演技はできなかったそうです。その分、俳優のアカデミー会員は票を入れない可能性もあります。

そこで対抗馬と考えられるのは「ジョーカー」です。アカデミー賞はノミネート部門数が多い映画ほど作品賞を獲りやすい傾向があるので、最多11部門の候補となっている「ジョーカー」は有力。コミック原作でここまでアート的評価を受けた映画は初めてですし、興行的にもR指定映画の記録を打ち出すほど成功している。そしてホアキン・フェニックスの鬼気迫る演技も素晴らしいです。ただこの映画は「主人公が凶悪なジョーカーになった、めでたしめでたし」で終わるんです! 観客が凶悪な男に感情移入してしまう作りは見事ですが、ものすごく危険な映画とも言えます。内容があまりにもダークなことが懸念されるのです。

その2作品がぶつかりあった結果、受賞する可能性があるのは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。「グリーンブック」のようなフィールグッドな映画はアカデミー賞で作品賞を獲りやすい傾向にあります。ハリウッド讃歌である本作が賞を獲る可能性は十分にあると思いますね。

監督賞
「パラサイト 半地下の家族」監督のポン・ジュノ。写真は第72回カンヌ国際映画祭の様子。 ©2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

監督賞の評価には2種類あって、1つはプロジェクトを率いる力の評価、もう1つは演出家としての評価です。本命は「1917」のサム・メンデス。ワンカットという実験的なプロジェクト全体を仕切った力を評価されると思います。過去には「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」でアン・リー監督も、プロジェクトリーダーとしての仕事を認められて受賞したことがあります。そして演出面では「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノが高い評価を得ています。「パラサイト」は全米映画俳優組合賞(SGA)で、演技のアンサンブルが称えられキャスト賞を受賞しました。作品賞と同様、その2人がぶつかり合った結果、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のクエンティン・タランティーノが漁夫の利を得るかもしれません。タランティーノは生涯で10本しか映画を撮らないと宣言していて、今回が9本目。ラスト2回のチャンスなので、獲らせてあげたい気持ちもあります。

主演男優賞
「ジョーカー」より、ホアキン・フェニックス演じるジョーカー。TM & ©DC. Joker ©2019 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.

大本命は「ジョーカー」のホアキン・フェニックス。「ジョーカー」は、彼の演技を見せるための映画といっても過言ではない。ホアキンは10年くらいでたらめなことを続けていて、ドキュメンタリー「容疑者、ホアキン・フェニックス」では俳優を辞めてラッパーになると宣言して世界を欺き、業界全体から怒られました。それもこれも、「ジョーカー」への伏線だったんです! ここで賞をあげないと、すべっちゃいますから。ホアキンに賞をあげて、もう馬鹿なことをやめさせてあげてください!
ほかにも主演男優賞は誰が獲ってもおかしくないですが、僕はもう1人、「ロケットマン」のタロン・エジャトンがノミネートされるべきだと思いました。劇中のエルトン・ジョンの歌を、彼は全部自分で歌っていたんですから!

主演女優賞
「ジュディ 虹の彼方に」より、レニー・ゼルウィガー演じるジュディ・ガーランド。©Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

「ジュディ 虹の彼方に」のレニー・ゼルウィガーが獲ると思います。ミュージカル女優ジュディ・ガーランドが再起を懸けた公演を行う物語で、レニーの演技が素晴らしかった。レニー自身もこの10年ほどハリウッドから遠ざかっていて、インタビューではうつ状態になっていたと明かしています。主人公はドラッグや酒でボロボロの状態でステージに上がり、だんだんと歌の魂を取り戻して、最後は凄まじい歌声を披露する。あれはレニー自身が生歌を歌う様子を、ワンカットで撮っているんです。ゾクゾクしました。
もう1人候補を挙げるとしたら、「マリッジ・ストーリー」のスカーレット・ヨハンソン。旦那との出会いを打ち明けるワンカットのシーンでは、笑って話しながら涙を流すという、難しい芝居をやっています。最近の彼女はマーベル映画でのブラック・ウィドウ役のイメージが強いですが、もともと天才子役として出てきた演技派。今回彼女は、助演女優賞とダブルノミネートされています。過去にダブル受賞を果たした例はないですが、今回の予想では両部門で彼女を第2候補に挙げているくらいですから、2冠もまったくありえない話ではないと思います。

助演男優賞
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」より、ブラッド・ピット演じるスタントマンのクリフ。©2019 Visiona Romantica, Inc. All Rights Reserved.

ブラッド・ピットが獲ると思います。彼は、プロデューサーとして「ディパーテッド」「それでも夜は明ける」「ムーンライト」でオスカーを手にしていますが、演技部門ではまだ受賞したことがありません。先日SGAで受賞した際には、アルコール中毒や離婚を自虐的に語っていましたし、ブラピに獲らせてあげないとかわいそうだと思います(笑)。それに「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」では、せっかく脱いでいるし! 56歳であの体ですよ!?

助演女優賞
「マリッジ・ストーリー」より、ローラ・ダーン演じる弁護士のノラ(左)と、スカーレット・ヨハンソン演じるニコール(右)。(Netflixで独占配信中)

「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーンが受賞すると思います。同作で彼女が演じた敏腕弁護士は、ローラ・ワッサーという実在の弁護士がモデルです。本作はノア・バームバック監督がジェニファー・ジェイソン・リーと離婚した際の実話を映画化しているのですが、その奥さん側の弁護をしたのがローラ・ワッサー。この映画では彼女が顧問をやっていますし、弁護士事務所のシーンは彼女の事務所で撮影されています。劇中のセリフも「離婚裁判で母親に求められるのは“完璧”さ。処女性と聖母であること」など、含蓄の深い言葉だらけ。それをセクシーなファッションのローラ・ダーンが語るという面白さがあります。ちなみにローラ・ワッサーは、ブラピがアンジェリーナ・ジョリーに離婚裁判で負けたとき、アンジーを担当した弁護士でもあります(笑)。

総評

ハリウッドの変化を象徴するノミネーション

今回のノミネーションは、ハリウッドが変わって来ているということを象徴していると思います。韓国映画、コミック原作映画、Netflixの映画が作品賞を獲る可能性がある。

「パラサイト」のノミネートと“外国語映画”
「パラサイト 半地下の家族」 ©2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

数年前、アカデミー会員に白人の年配男性が多すぎると問題になり、会員数が増やされました。今回「パラサイト 半地下の家族」が作品賞にノミネートされたのも、その影響だと思います。それから、今年「外国語映画賞」が「国際長編映画賞」という名前に変わりました。例えばアメリカでは20%以上の人がスペイン語を使っているので「外国語って何?」という話になりますし、最近は出資元も国際化しているのでそこでも判断しにくい。“外国語映画”の定義とは何か、という問題になっているんです。今後は作品賞・演技賞に、いわゆる“外国語映画”やそのキャストが、どんどん入ってくると思います。それに国際長編映画賞というくくりすらなくなる可能性もあるでしょう。ちなみに今回、国際長編映画賞は「パラサイト」が堅い。これは圧倒的だと思います。

スコセッシのマーベル批判、その真意は
「アイリッシュマン」(Netflixで独占配信中)

2019年には、マーティン・スコセッシが「マーベル映画は“映画”ではない」と発言して話題になりました。マーベルではありませんが、DCコミック原作の「ジョーカー」は、スコセッシの「タクシードライバー」のような映画ですよね。だからマーベル関係者は「一概に『映画でない』とは言えない」と怒りました。特に「キャプテン・アメリカ」シリーズは監視社会やウォーターゲート事件のような政治的要素を盛り込んでいますから。ただスコセッシが言いたかったのは、もっと具体的な話。「アイリッシュマン」を製作しようとしたら、ハリウッドがお金を出さず、Netflixしか出資してくれなかったという事実があるんです。それはむしろ、中国の問題が大きい。今ハリウッドでは、中国市場で大当たりしない映画にはお金が集まらない。だからスコセッシは、マーベル批判をしたかったというよりも、そういった映画にしかお金が集まらない状況を嘆いていたんです。今、大人向けの映画に出資できるのはNetflixだけ。そうすると、Netflix作品を“ハリウッド映画”として認めなければならない。でも興行側は、Netflixを締め出そうとしている……という、すごく難しい局面に来ているんです。アカデミー会員のプロデューサーたちの考えとしては、興行側を裏切ることになるので、Netflix作品に票が集まりすぎるのはまずい。受賞まではさせないぞ、という空気もあると思います。

オスカーを獲らせて、ホアキンを止めろ!
「フォードvsフェラーリ」©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

作品賞にノミネートされた中でも、個人的には「フォードvsフェラーリ」がすごく好きでした。世代的にも、ああいうカーレースが男たちの憧れだと思っているので。マット・デイモンとクリスチャン・ベール演じる、車好きの子供っぽい男2人が、喧嘩しながらも友情を深めていく少年マンガ的な物語、熱いですよね。僕はトロント国際映画祭の記者用試写で観たのですが、冷静に観ているはずの記者や批評家たちが、レースシーンで思わず拍手していましたからね。
個人的に賞を獲ってほしい俳優は、やっぱりホアキン・フェニックス。彼にあげないと、まずいですよ(笑)。ほかの映画でも狂気的な演技ばかりだし、もう普通の生活ができないレベルに来ているんじゃないかな。婚約中のルーニー・マーラともうすぐ結婚するみたいですし、そろそろ落ち着いたほうがいいと思います。ゴールデングローブ賞のスピーチでは何を言っているのかわからなすぎて、みんなが「大丈夫か?」って顔をしている中、ルーニー・マーラだけケラケラ笑っていました(笑)。とにかくホアキンに賞をあげて、このへんで彼を止めたほうがいい気がします!

町山智浩(マチヤマトモヒロ)
1962年生まれ、東京都出身。アメリカ在住の映画評論家、コラムニスト。WOWOW「町山智浩の映画塾!」、BS朝日「町山智浩のアメリカの今を知るTV In Association With CNN」、TBSラジオ「赤江珠緒 たまむすび」にレギュラー出演中。

ジョン・カビラ コメント

ハリウッドのリアルをぜひ感じ取って

コメント

ジョン・カビラ

今年も高島彩さんとタッグを組むことができてうれしいです。高島さんはもうプロ中のプロですから、なんの不安もなくご一緒できます。案内役を務めさせていただくのは、今回で13回目! ……なんということでしょう(笑)。

アカデミー賞もだんだんと変化してきています。例えば今年は、Netflix作品が最多24ものノミネート数を獲得しました。Netflixの有料会員は今、全世界に1億6700万人以上います。当然、映画ビジネスに地殻変動が起こると予想されましたが、結局劇場の興行収入が減少傾向にあるわけではありません。興行側とNetflixの対立構造ばかりが追求されがちですが、表現者の新たな可能性を広げるという意味では、Netflixの台頭は高く評価されるべきだと思います。マーティン・スコセッシ監督も、Netflixがなければ「アイリッシュマン」が作れなかったのですから。

WOWOWの中継はレッドカーペットから始まるので、視聴者の皆さんには、まず中島健人さんと河北麻友子さんによるインタビューを楽しんでいただきたい。今回のノミネーションは、すでに日本公開されている作品の比率がまれに見るほど高いです。ぜひ映画をご覧になったうえで授賞式当日を迎え、レッドカーペットを観ながら「あ、あの演技をした人だ!」と楽しんでいただければと思います。そのスターはマイクを向けられたとき、どんな表情でどんなことを言うのか。きっと気さくな一面も観られると思います。ハリウッドのリアルを感じ取ってください。

注目作品

アメリカのアワード予想専門サイトでの専門家予想を見ると、作品賞は「1917 命をかけた伝令」だと言われていますよね。そのあとに「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「パラサイト 半地下の家族」「ジョーカー」などが並んでいます。「パラサイト」はパルムドールを獲ったときから当然注目しているので、アジア作品の初受賞という“歴史が動く瞬間”を共有したいと思いつつ………個人的に思い入れがあるのは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」です。舞台となっている1969年に、僕はちょうどカンザスにある親戚の家でホームステイしていたんです。人々がああいう車を乗り回し、ポリエステルのファッションに身を包んでいる時代を体感していました。シャロン・テート殺害事件についても、いとこたちが話していたのを覚えています。ハリウッド黄金期の息吹を伝えたいというクエンティン・タランティーノ監督の思い、そして「こんなに歴史を変えていいの!?」というくらいの遊び心を感じ、楽しませていただきました。タランティーノの監督賞初受賞に期待したいです。

ジョン・カビラ
1958年生まれ、沖縄県出身。テレビ番組MC、スポーツキャスター、ラジオパーソナリティ、タレントとして広く活動中。WOWOWのアカデミー賞授賞式中継番組には、13度目の出演となる。

高島彩 コメント

レッドカーペットは画面の隅々まで楽しめるはず

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高島彩

またジョン・カビラさんとご一緒できてうれしいです! カビラさんとは放送中もあうんの呼吸でやらせていただけるので助かります。そしてその空気の中で、毎回町山智浩さんに弾けていただく、という感じです(笑)。

案内役は今年で8度目ですが、アカデミー賞も少しずつ変わってきているのかなと思います。去年はNetflixの「ROMA / ローマ」が作品賞に初ノミネートされて驚きましたが、今年は圧倒的にNetflix作品のノミネート数が多い。時代はこう流れていくのか、と感じています。私も去年ついにiPadを買い、WOWOWオンデマンドとNetflixを使うようになりました(笑)。考え方次第でもありますが、ポーズボタンを“押せてしまう”ので、出先でもちょっとした合間に映像を楽しむことができますよね。映画の観方の変化を、身をもって体感しています。それと同時に、今回ノミネートされた「1917 命をかけた伝令」のような、大きなスクリーンで観るからこそ迫力を感じられる作品は、絶対に劇場で観たいです。そういった映画館でこそ楽しめるという方向性も、一方で際立ってきているのかなと思います。

アカデミー賞を楽しむために、ぜひ皆さんにも受賞作品を予想していただきたいです! その中で、作品に対する思い入れもどんどん強くなっていくと思います。レッドカーペット中継は、俳優同士でコミュニケーションを取っているところが映り込んでいたり、「あの2人は仲良しなんだ!」と知ることができたりして、画面の隅々まで面白いはず。ハリウッド俳優は海の向こうの大スターという感覚がありますが、この番組を観れば、スターを身近に感じることができると思います。

注目作品

個人的に応援しているのは「パラサイト 半地下の家族」です。アジア作品初の作品賞受賞に期待がかかるところですし、「ジョーカー」にも通ずる“笑いと恐怖の表裏一体感”が面白かったです。俳優として注目しているのは「ジョーカー」のホアキン・フェニックス。あの、悪魔の羽が生えるんじゃないかと思うくらいの、骨ばった体! 23kg減量したという役作りはすごいですし、後ろ姿だけで狂気や悲しみを表現していましたよね。完全悪であると思っていたジョーカーに、こんなに悲しい“そうならざるを得なかった”事情があるなんて。あくまで悪を描いているのに、それでも観ている側が共感してしまうくらいの何かを発していていたので、主演男優賞は堅いのかなと思っています。

高島彩(タカシマアヤ)
1979年生まれ、東京都出身。2010年よりフリーアナウンサーとして活動。バラエティ番組や、情報番組「サタデーステーション」に出演中。WOWOWのアカデミー賞授賞式中継番組には、8度目の出演となる。

河北麻友子 コメント

レッドカーペットではファッションに関しても質問したいです!

コメント

河北麻友子

ニューヨークに住んでいたときは、毎年家族みんなでアカデミー賞の中継を観ていました。日本で言う「紅白歌合戦」のような感じで、アメリカでは本当に誰もが注目しているものなんです。だから今回レッドカーペットリポーターに決まったときは、家族も喜んでくれました! マミーは特に舞い上がっていて、一緒に来ます(笑)。お兄ちゃんもうらやましがっていたので、みんなの思いを背負ってがんばります!

当日は、スターの方々のファッションも楽しみです。特に、毎回華やかなドレスを着ていらっしゃるスカーレット・ヨハンソンさんや、小さい頃からずっと憧れているシャーリーズ・セロンさん。この日のために何十着、何百着の中からドレスを選んでくると思うので、レッドカーペットではファッションに関しても質問したいです。

そのほかにも「今回の授賞式に緊張していますか?」「今日のためにがんばってきたことはありますか?」といった、観ている人たちがスターを身近に感じられるようなことを聞きたいです。英語で直接インタビューするのは緊張しますが、日本語の敬語のような難しさはあまりないので、相手が楽しんでくれるような状況にできたらいいなと思っています。

今回参加する方々は特に豪華ですよね。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で共演したレオナルド・ディカプリオさんとブラッド・ピットさんが同じ場所にいるっていうのもすごく贅沢だし、特別なアカデミー賞になりそう!

本番は、中継を観ている方々も、私の興奮を一緒に味わえるようなレポートをしたいです。少しでもたくさんの方に、がんばって声を掛けたいです! スターの方たちの、映画の中とは違った一面を引き出せるような取材ができたらいいなと思っています。

注目作品

「ジョーカー」は最近観た映画の中でも一番衝撃を受けました。ホアキン・フェニックスさんはもともと大好きな俳優さんだったので、レッドカーペットでお会いできるかな、とドキドキしています。スタッフの皆さんと協力して、意地でも捕まえたいと思います!(笑)

河北麻友子(カワキタマユコ)
1991年生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身。日本テレビ系「ヒルナンデス!」「世界の果てまでイッテQ!」といった番組で活躍中。2019年には「名探偵コナン 紺青の拳」でゲスト声優を務めた。

中島健人(Sexy Zone)コメント

世界のスターのすごさを感じ、皆さんに伝えたい

コメント

中島健人(Sexy Zone)

この(芸能)活動を始めた頃は、遠い国の一大イベントという印象でした。でも、自分がデビューさせていただいて、映画に参加させていただく過程の中で、海外の映画に対する関心が少しずつ深まっていきました。その中で、アカデミー賞は、“そこ”から始まるトレンドだったり文化だったりから影響を受けて僕らもモノづくりをしている部分もあるので、リスペクトすべき場所だと思っています。

(現地では)クリスチャン・ベールに会いたいですね。緊張して、いろんなことは聞けないと思うんですけど(笑)。レッドカーペットを歩くときの気持ちだったり、授賞式前の高ぶる気持ちや、「今、一番誰に感謝したいですか?」といったシンプルなことをまず聞きたいですね。なぜ会いたいのかというと、クリスチャン・ベールの出演作の「マシニスト」がすごく好きで。作品によって自分を変幻自在に変えていく姿がすごく印象的で、どういうふうにお芝居に対して人生を捧げているのか? 今回の映画(「フォードvsフェラーリ」)もものすごくいいので、会えるかどうかはわからないですが、ひと作品ごとの情熱についても聞きたいですね。

当日は、「今年はこういう映画が素晴らしかった」というのをわかりやすく伝える、映画ファンの皆さんのサポーターという意識で臨みたいです。自分もいち映画ファンとして、現地に行かせていただけるというありがたい機会をいただいたということで、その場に立たせていただけることに対してしっかりと感謝しながら準備して行きたいと思います。僕はアイドルとして、日本でステージに立たせていただいているときは歓声をいただく立場ですけど、今回は、世界のスターのすごさを自分が感じることによって、よりそのすごさを視聴者の皆さんにお伝えしたいと思います。

注目作品

先日、KinKi Kidsの堂本光一くんとお会いして、「フォードvsフェラーリ」の話で盛り上がりました。アンバサダーも務められているので(参照:「フォードvsフェラーリ」堂本光一、計50億円の車に囲まれ「この空間がたまんない」)。男たちが心騒ぐ映画というか、本当に燃えましたね。もちろん退屈する瞬間がないし、競争する男たちが好きだなと。新たなヒーロー像が生み出されていく中で、王道のバディもので、人々が好きなもの──競争、絆といったものが描かれていて、そこでもまたクリスチャン・ベールに注目しました。

中島健人(ナカジマケント)
1994年生まれ、東京都出身。Sexy Zoneとしてのアーティスト活動を行いながら、俳優としても活躍。「心が叫びたがってるんだ。」「未成年だけどコドモじゃない」「ニセコイ」といった映画に主演した。

2020年2月4日更新