第92回アカデミー賞ノミネート一覧
作品賞
「フォードvsフェラーリ」
絶対王者に挑んだ男たちの実話、レースシーンは大迫力
1966年のル・マン24時間耐久レースで、6連覇中の絶対王者フェラーリに挑んだフォードの男たちの実話を映画化。天才カーデザイナーのシェルビーをマット・デイモン、無鉄砲で型破りな凄腕レーサーのマイルズをクリスチャン・ベールが演じた。メガホンを取ったのは、「LOGAN/ローガン」のジェームズ・マンゴールド。ぶつかり合いながらも絆を深めていく男たちの姿と、迫力満点のレースシークエンスは必見だ。大企業ならではのしがらみに共感する日本人も多い。
「アイリッシュマン」
豪華スター競演!Netflixが生んだ傑作サスペンス映画
マーティン・スコセッシが監督したNetflixオリジナル映画。劇中では実在のヒットマン、フランク・シーランの姿を通して、戦後アメリカの裏社会とある未解決事件が描かれる。フランク役のロバート・デ・ニーロのほか、助演男優賞にノミネートされているアル・パチーノやジョー・ペシ、そしてハーヴェイ・カイテルらが出演。3時間超えの大作だが、豪華キャストの競演に目が離せなくなる。受賞すれば、Netflix作品として初の作品賞に。
「ジョジョ・ラビット」
ナチス信奉者の少年が主人公、笑って泣ける風刺映画
「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティによる、第2次世界大戦下のドイツを舞台とした人間ドラマ。ヒトラーユーゲントの立派な兵士になろうとしている10歳の少年ジョジョが、自宅に匿われていたユダヤ人少女と出会い、成長していく。ジョジョの空想上の友人・ヒトラー役でワイティティも出演。昨年度作品賞の「グリーンブック」と同様、アカデミー賞前哨戦・トロント国際映画祭で観客賞を受賞している。
「ジョーカー」
哀しきDCヴィランの誕生を描き、米国では社会現象化
バットマンの宿敵として知られるDCヴィラン、ジョーカーの誕生にフォーカスしたクライムドラマ。落ちぶれたコメディアンの男が狂気の道化に変化していくさまをホアキン・フェニックスが熱演し、第77回ゴールデングローブ賞のドラマ部門主演男優賞を受賞した。アメリカでは社会現象化し、キャラクターの凶悪さが与える影響が懸念され、ロス市警などが声明を発表したほど。日本でも興行収入50億円を超えるヒットを記録。今年度最多の11部門にノミネートされた。
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
あの「若草物語」を、旬なキャストで“今”の映画に
ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説「若草物語」を、「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグがアレンジを加え映画化。南北戦争時代のアメリカで力強く生きるマーチ家の4姉妹の成長をみずみずしく描き出す。25歳の若さでアカデミー賞常連と呼ばれる演技派シアーシャ・ローナンが、作家を夢見る次女ジョーを演じた。脚色賞にもノミネートされているガーウィグの、現代の観客を意識したバランス感覚も特筆に値する。
「マリッジ・ストーリー」
涙なしには観られない、夫婦役2人の名演光る人間ドラマ
「フランシス・ハ」のノア・バームバックが監督したNetflix作品。離婚に向かう1組の夫婦が苦悩するさまを、辛辣かつ温かい目線で描く。円満な協議離婚を望んでいたはずの夫婦だったが、弁護士の介入や、溜め込んでいた不満の噴出によって事態が思わぬ方向へ進んでしまう。妻役のスカーレット・ヨハンソンと夫役のアダム・ドライバーは、ともに主演賞にもノミネート。作品賞を受賞すれば、Netflix作品として初の快挙となる。
「1917 命をかけた伝令」
兵士の1日をノンストップで味わう、異次元の映画没入体験
「007 スカイフォール」のサム・メンデスが手がけた戦争映画。第1次大戦時を舞台に、前線部隊へ重要なメッセージを届けるという任務を与えられた、若きイギリス兵士の姿を描く。ミッションを託された兵士2人の1日をワンカット風のノンストップ映像で見せる本作は、観客にリアルな没入感を与え、まったく新しい映画体験をもたらす。撮影監督を務めたのは、アカデミー賞ノミネートの常連であり「ブレードランナー 2049」で初受賞を果たしたロジャー・ディーキンス。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
タランティーノが愛した“あの頃のハリウッド”を堪能
クエンティン・タランティーノが監督し、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという2大スターが初共演を果たした作品。1960年代のハリウッドを舞台に、落ちぶれた俳優とそのスタントマンの物語を活写する。ハリウッドで実際に起こった女優のシャロン・テート殺害事件について知ってから鑑賞すると、展開をより深く味わえる。第77回ゴールデングローブ賞ではミュージカル / コメディ部門作品賞、助演男優賞、脚本賞の最多3冠に輝いた。
「パラサイト 半地下の家族」
名コンビがアジア映画初の受賞目指す
「殺人の追憶」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組んだ人間ドラマ。半地下の住宅で暮らす極貧一家と、超裕福な一家の人生が交錯し、予想もつかない事態に発展していくさまが映し出される。第72回カンヌ国際映画祭でパルムドール、第77回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞を受賞。米国が製作に入っていない純粋なアジア映画として、初となるアカデミー賞の作品賞受賞に期待がかかる。
主演男優賞
- アントニオ・バンデラス「ペイン・アンド・グローリー」
- レオナルド・ディカプリオ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
- アダム・ドライバー「マリッジ・ストーリー」
- ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
- ジョナサン・プライス「2人のローマ教皇」
主演女優賞
- シンシア・エリヴォ「ハリエット」
- スカーレット・ヨハンソン「マリッジ・ストーリー」
- シアーシャ・ローナン「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
- シャーリーズ・セロン「スキャンダル」
- レニー・ゼルウィガー「ジュディ 虹の彼方に」
助演男優賞
- トム・ハンクス「A Beautiful Day in the Neighborhood(原題)」
- アンソニー・ホプキンス「2人のローマ教皇」
- アル・パチーノ「アイリッシュマン」
- ジョー・ペシ「アイリッシュマン」
- ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
助演女優賞
- キャシー・ベイツ「リチャード・ジュエル」
- ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
- スカーレット・ヨハンソン「ジョジョ・ラビット」
- フローレンス・ピュー「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
- マーゴット・ロビー「スキャンダル」
長編アニメーション賞
監督賞
- マーティン・スコセッシ「アイリッシュマン」
- トッド・フィリップス「ジョーカー」
- サム・メンデス「1917 命をかけた伝令」
- クエンティン・タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
- ポン・ジュノ「パラサイト 半地下の家族」
第92回アカデミー賞関連ニュース一覧
2020年2月4日更新