本作では、仲違いしていた兄が病に倒れたことを知った老人アルヴィン・ストレイトが、仲直りのため時速わずか8kmのトラクターに乗って6週間の旅に出るさまが描かれる。キャストには
予告のナレーションも担当した声優・
あわせて場面写真も解禁。アルヴィンが町を出ていくシーンに加え、彼の旅を心配する地元の友人や、旅の途中で出会う双子の修理工の姿などが切り取られた。
「ストレイト・ストーリー 4Kリマスター版」は、1月9日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開される。
森川智之(声優)コメント
毎日、仕事に追われるように走っていると、ふと、「自分はどこに向かっているんだろう」と思う瞬間があります。
そんな時に、偶然出会ったのがこのデヴィッド・リンチ監督作品「ストレイト・ストーリー」でした。
トラクターに乗って、たったひとりで兄に会いに旅をする老人。
その姿は一見、奇妙にも、無謀にも見えるけれど、彼のゆっくりとした旅路を見つめているうちに、いつのまにか自分の心が落ち着いていくのを感じました。
忙しい毎日の中で忘れていた“大切なもの”をそっと思い出させてくれる──そんな映画です。
スピードではなく、心で進む旅。
「ストレイト・ストーリー」、ぜひ静かな気持ちで観てみてください。
山中瑶子(映画監督)コメント
遅さに身を委ねてこそ浮かび上がる、かすかな輪郭の気配が美しい。生きていくこと、老いていくことが少し楽しみになった。
森直人(映画評論家)コメント
いま改めて観ると、途轍もない名作。涙が止まらない。誰がこれを「リンチらしくない」などと言ったのだろう。
晩年のリンチは、スピルバーグの「フェイブルマンズ」でジョン・フォード役を演じた。そのつながりの答えに当たるものが、フォード映画のスタントマンを長年務めた本作の主演俳優、リチャード・ファーンズワースが米中西部を旅する姿にある。
児玉美月(映画批評家)コメント
大学時代、デヴィッド・リンチを偏愛していた先生が悪夢的な映画の世界に学生たちを招き入れながら、
「しかし私たちは夢を、寝ているときに見ているのか、それとも目覚めているときにこそ見ているのか、どちらなのでしょう」と問いかけた。
リンチのフィルムのなかでも真っ直ぐな愛を描く「ストレイト・ストーリー」は、人生の最期に微睡みながら見る夢のような作品だった。
そしてこの映画の遅さ、弛緩、まどろっこしい歩みは、あまりにも忙しない今を生きる私たちにこそ、必要なものである。
辰巳JUNK(ライター)コメント
暗く不思議な作風で知られるデヴィッド・リンチが贈る、ストレートな逸品。兄に会うためトラクターで560kmを横断した老人を描く「感動の実話」ものとして伝統的な構成をとっているからこそ、監督のマジックが際立つ。たとえば、道中出会う人々との心に残る対話はロードムービーのお約束。しかし不思議なことに、物語が進むにつれ、交流相手の年代も上がっていく。こうした仕掛けによって、観客もまた、主人公の過去と現在をめぐるスピリチュアルな体験に包まれていく。何より、日常の美やおかしさ、神秘をとらえる魂は、ほかのリンチ作品と変わらない。監督自身が「キャリアで一番実験的」と銘打っただけある、映画の魔法がここにある。
ISO(ライター)コメント
この素朴で感動的な物語が最も異色な作品なのだから、やはりデヴィッド・リンチは特別だ。時速8kmのトラクターにまたがり、560kmも離れた場所を目指す老人の旅路で、過ぎ去った時代への哀愁を滲ませながら未来への希望も予感させる。この驚くほどストレートに胸に迫る人生讃歌を鮮明な映像で観られるなんて、なんと幸せなことだろう。

映画ナタリー @eiga_natalie
「ストレイト・ストーリー 4K」に山中瑶子らがコメント「老いていくことが少し楽しみに」
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