「愛のくだらない」「思い立っても凶日」などで知られる
第38回東京国際映画祭のウィメンズ・エンパワーメント部門で上映され、注目を集めた本作。主人公である25歳の深山はるかは、仕事やボランティアに奔走しながら、恋人との結婚を夢見てアクティブに日々を過ごしていた。ある日、同窓会で再会した友人から不妊治療中であることを聞いたことをきっかけに、婦人科を受診し「女性なのに男性ホルモンが多い」と診断される。対症療法的に片付けたはるかは、不調を抱えながら迎えた大切な日に大量の出血に見舞われるも、誰にも悩みを相談できずにいた。そんな折に出会ったのが、薬局で万引きを疑われていた中学⽣・牧優佳里。彼氏に依存し、家族や友人と距離を置く彼女の姿を通して、はるかは今までの自分を見つめ返しながら静かに疾患と向き合おうとする。
井樫彩の監督作「溶ける」で知られる道田里羽がはるかに扮し、「違国日記」の
ひと足先に本編を鑑賞した
なお3月8日の国際女性デー周辺で、著名人や婦人科医の登壇イベントなども予定している。詳細は続報を待とう。
バービー(お笑い芸人)コメント
主演の道田さんの存在があまりにもリアルで、物語が自分の胸の奥にするりと入り込んでくる。仕事も私生活もそれなりに満たされていて、今すぐ子どもが欲しいわけでもない。なのに、婦人科系の疾患から“産めないかもしれない未来”を告げられた瞬間、世界の色が変わってしまう。女性としての機能に“不全”を突きつけられたとき、自分の価値までゆらぐようなあの感覚。言葉にできないその痛みは、他人から見れば「よくあること」なのかもしれない。でも、当事者にとっては、簡単に片付けられるものではない。この映画は、その名付けられない戸惑いや孤独、胸の奥のざわつきまでそっとすくい上げてくれる。観客が“あの瞬間”の呼吸や鼓動までも追体験してしまうような、優しくて残酷なリアルさがある。
山崎怜奈(タレント)コメント
誰にも言えずに抱える身体や心の不安、そのひとつひとつにそっと寄り添いながら、誰もが決して他人事とは思えない温度感で繊細に描こうとしている。そんなやさしさと静かな強さを持った作品でした。自分自身や大切な人の身体を大切にするとはどういうことか、向き合うきっかけになってほしいと思いました。
陣内貴美子(スポーツキャスター)コメント
私自身も不妊治療を経験し、子どもを授かることは叶いませんでした。だからこそ、はるかの葛藤や戸惑いに深く共感しました。決して他人事ではない。自分の心と体に向き合う時間の大切さや誰かを思いやるきっかけを静かに教えてくれる作品でした。
松崎健夫(映画評論家)コメント
社会に生きづらさを感じている人々を描いてきた野本梢監督。マジョリティによる同調圧力が、社会的に立場の弱い人たちを生み出している要因なのだとすることで、マイノリティが存在するメガニズムを映画の中で可視化させてきた。重要なのは、女性が男性から受ける抑圧だけでなく、今作のように同性から受ける抑圧も同等に描いてみせている点にある。そういった多角的な視点によって構築された物語は、わたしたちが無意識のうちに偏狭になりがちであることを自戒させるのだ。
野本梢の映画作品
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映画ナタリー @eiga_natalie
TIFFのウィメンズ・エンパワーメント部門で上映された野本梢の監督作「藍反射」公開(著名人の応援コメントあり)
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