香港アクション映画「
本作は、売れっ子アクション監督として活躍するも、撮影中の事故でスタントマンを半身不随にしてしまった森(サム)の物語。現在は業界を離れて小さな整骨院を営んでいる彼が、かつての仲間に頼まれて現場に復帰し、現代の厳しいコンプライアンスや俳優との衝突などに直面していく。
高岩成二が語る、6階から飛び降りた実話
劇中で登場人物が6階相当の高さから飛び降りるシーンについて触れられると、坂本は「6階から飛び降りたことある人ー?」と問いかけて場内を和ませつつ、「最近だと危ないからワイヤーを着けるけど、昔は段ボールに飛び降りたり、人力マットでキャッチしていました」と振り返る。高岩も同様の高さからの落下経験があるそうで「1階分を3mとして、僕が経験したのは18mの高さから。ヒーロースーツを着ての落下で、視界も悪くて。映画の中で屋上から下を映すカットがありますが、本当に人間があれぐらい小さく見える。段ボールマットも、いざ見下ろすと小さいんですよ」と当時の不安を吐露。坂本は「その距離になると、マットがたばこの箱くらいにしか見えない(笑)」と補足し、「自分がどんな姿勢で落ちているか空中で把握できないと、マットがあってもけがを防げない」と危険性を説く。
坂本浩一が解説「落ち方には3種類ある」
また坂本は、スタントマンの落下テクニックについて「大きく分けて3種類ある」と切り出す。まず1つ目は、頭から落ちて背中で受ける「ヘダー」。2つ目は、腹から落ちて着地寸前で回転して背中で受ける「フェイスオフ」。そして3つ目は、ジャンプして最初から背中で落ちる「ポセイドン(英語圏では『スーサイド』)」だ。客席から興味深そうなどよめきが起こると、坂本は「皆さん、これだけは覚えて帰ってくださいね」と笑いを交えて締めた。なお高岩が18mから落下した際は、フェイスオフを使ったという。本来は高所が苦手らしく「(落下は)大っ嫌いですよ」「できることならテストなし、本番一発で終わらせたい」と本音を漏らしつつ、観客に「非常時があったときは(これらの落下テクニックを)ぜひ」とユーモアたっぷりに呼びかけた。
「スタントマン・ネバー・セイ・ノー」の裏側にある葛藤
劇中には「スタントマン・ネバー・セイ・ノー」というセリフが登場。これはドキュメンタリー「カンフースタントマン 龍虎武師」でも証言されていた言葉で、高岩は「“やらされる”ほうとしては、アドレナリンしかない状態なので。僕らの若い頃は『ノー』が言えない。というか、言わないんです」と共感を示す。坂本も「プライドですよね。スタントマンとして失格だと思っちゃう。どんなシチュエーションが来てもできるように常に練習するし、『ノー』と言えば次の仕事が来なくなる」と振り返ると、高岩は「映画を観て、身につまされる思いでした……本当にこんな感じだったので」とうなずく。また坂本は「この映画を観て、プレイヤーだった頃のヒリヒリ感を思い出しました。そして自分がアクション監督として指示する立場になってからの、スタントマンにけがをさせてはいけないという気持ちと、『行けー!』という思いの葛藤。そのドキドキ感がよくわかって吐きそうになるくらいでした」と真剣なまなざしで語る。本作の監督を務めた
イベント終盤には、坂本がカンフー映画におけるリズムの付け方や、武術と格闘技の違いについて解説するデモンストレーションのコーナーも。「武術は近いところから順番に破壊していくため利き手を前に構える」「格闘技は攻撃を受け止めてから破壊するため利き手と逆の手を前に構える」という実演を、観客は前のめりになって見入った。
「スタントマン 武替道」は全国で上映中。
高岩成二 @seiji_takaiwa
本日 #スタントマン武替道 の上映トークイベントに登壇させて頂きました。
自分などが香港映画を語るなど烏滸がましいのですが、短い時間の中 自分の思う「スタントマン」をお話しさせて頂きました。
本来スポットの当たらない世界を描いた作品❗️
是非 劇場で観て頂きたい作品です❗️
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